美形年下武人殿下は慌てる
久しぶりで申し訳ございません。
TS 転生エルフは引きこもりと只今リンク中です。
平成25年10月19日投稿分よりしばらくリンク予定です。
こちらは美形年下武人殿下側視点となっております。
よろしくお願いいたします。
セツラが誘拐された?
それはなんの冗談だ?
「オズ坊、わしは今からカササダ竜騎兵団を召集する、そしてこの国を攻め滅ぼしてやる。」
イグサ老が切れまくった目で言った。
「イグサ老、落ち着いてください。」
私は言った。
イグサ老が先にきれたお陰できれそこねた。
「『ルレーアス・ヘーイル・チエアイス王弟殿下とセツラ・イアルダス姫の結婚式への招待状』?なに考えてるんですかね。」
ヤヒコ事務員がため息をついた。
先ほど届いた豪華な招待状を見ているようだ。
ルレーアスとは、どんな男なんだ?
「申し訳ございませんー、今真相究明中ですー。」
デーケシ卿が言った。
なんか、気の抜ける男だな。
「どこにいるか見当はつくか?」
私はさりげなく得物の長柄の剣の柄に手をおきながら言った。
いざとなったら…この男を脅しても
取り戻さねばならん。
「いいえ、見当もつきませんー。」
デーケシ卿が言ったところでイグサ老が刀を突きつけた。
「お前!お前らもぐるだろう?可愛いセツラを誘拐など!カササダ竜騎兵団の頭領姫を誘拐するなど許さん!」
イグサ老は完璧に切れまくってる。
「僕は無関係ですよー、セツラさんが頭領姫なのはしってましたがー、本人は知りませんよねー?」
デーケシ卿が震えながら言った。
セツラがカササダ竜騎兵団の頭領姫なのはアイルパーン王室、上級貴族では周知のことだ。
本人は知らないが、実はセツラの行き遅れはそのことでお互い牽制しあったことにある。
セツラを手に入れたものが最強の傭兵団を手に入れるのだからな。
まあ、イグサ老が隠居してのちの頭領姫だから、次代と言うことになる。
王都に駐留するカササダ竜騎兵団は一部に過ぎない…真のカササダ竜騎兵団は実はイアルダスに住んでいる…国境地帯にいる一騎当千の連中のことだ。
そのカササダ竜騎兵団を動かせるのは当代頭領のイグサ老か次代のセツラと言うことになる。
イグサ老は団長も兼ねてたがな。
「オズ坊、お前冷静すぎないか?」
イグサ老が刀をかまえたまま言った。
「イグサ老、実はきれそこねました。」
今さらきれても仕方ないような気もするが…。
「わしが先にきれたからか?遠慮せず切れろ!セツラが誘拐されたんだぞ!」
イグサ老が叫んだ。
「しかも…貞操の危機ですよ、団長。」
エアスディアが言った。
セツラの豊かな胸に知らない男が顔を埋めたり…あんなことやこんなことを…。
膝の上に乗せて口移しで食べさせたり。
私ですらしたことがないのに!
「すぐにカササダ竜騎兵団を召集しましょう。」
セツラにそんなことしていいのは私だけだ!
「おお、すぐに呼ぶぞ!ウタシロに駆けつけさせるのが早いな。」
イグサ老が言った。
「わー、待ってくださいー今、ラルーナ国王陛下が帰ってきますー、必ず助け出しますー、貞操の危機も結婚式までは大丈夫ですー…たぶん。」
デーケシ卿が震えながら言った。
「たぶんだと?」
私は得物の剣をデーケシ卿の首に突きつけた。
「お二人で威嚇しないでくださいー。」
デーケシ卿が震えながら言った。
「仕方ないんじゃないですか?愛しい相手を誘拐された男なんてこんなものです、ラルーナ国王陛下はやはりオズワルト殿下を避けられていたにですね。」
ヤヒコ事務員がため息をついた。
覇王ラルーナ・アルージェス・チエアイスがお出ましになって来るのを待っている暇はない。
「デーケシ卿、我々はすぐに動く、カササダ竜騎兵団から国境地帯にいるものを数名呼ぶ予定だ、構わないな!」
ここにいるものでは足りない。
「ええー?こ、こまりま…。」
デーケシ卿が言ったところで剣をさらに近づけた。
「オズ坊、回りくどいことせずにいっそ一気にやるか?」
イグサ老が言った。
それではまた大戦が起こってしまう。
それはセツラも望んでいないだろう。
「気がつかれてセツラを害されては困りますので。」
そう言う、問題もあるしな。
「そうか、それもあったか…若造!答えは!」
イグサ老が叫んだ。
「は、はいー、わかりましたー。」
デーケシ卿が真っ青な顔で言った。
セツラ、待ってろ!
すぐ、助けにいく!
だから、あんなことやこんなことをされても絶望せず待っていてくれ!
何があっても私はセツラを愛している!
すぐにウタシロに連絡だ。
読んでいただきありがとうございます。




