おもてなしは故郷の味を(竜乳か…すきずきですよー?)
うーん、竜乳か…。
まあ、食べるって言えば食べるよね。
「ケーケシ卿が、アイルパーン竜騎国の名物は竜乳だとお調べになりまして。」
チエアイス武王国の王宮料理人が言った。
「まあ、そうですけど、すきずきですぜ。」
レイモンドが言った。
この間の男性客は王宮料理人だったらしい。
美形年下武人殿下の接待についに
故郷の味攻撃をするらしい。
美形年下武人殿下、何してるんだろうね?
「あと、故郷の方たちとの会話もいいかなーって思うんですよー♪」
能天気にウェルス・オピ・ケーケシ卿が言った。
国王陛下の側近で内務省長官らしい。
「いつ頃、陛下はお戻りになるのですか?」
王宮料理人がすがるように言った。
もう、おもてなしはかんがえつくしたらしい。
「陛下次第ですー、でも帰ったら忙しいことになりますよー。」
デーケシ卿が言った。
ふーん、そうなんだ。
やっぱり、お見合いなのかな?
「レイモンド、竜乳のチーズとヨーグルトあったよね、あとはミルクも、持ってきて。」
美形年下武人殿下は特に竜乳が好きっていってなかったけどね、
王宮にいたときはむしろ、私に押し付けてたような気がするけど。
アイルパーン竜騎国人だからといって、
みんな、竜乳が好きなわけじゃないんだけどね。
「あとはみつくろってもらってー、是非、店主さんにはオズワルト殿下とはなしてもらいたいですー。」
デーケシ卿が言った。
「ええ?おそれ多いですよ。」
うん、あったらなんか言いそうだよ。
「上手く、故郷への旅愁を誘っていただいてー、帰っていただかないとー。」
デーケシ卿が言った。
どういう意味だろう?
「友好条約を結んでからですよね♪オレ、アイルパーンに料理の勉強かたがた観光いきたいんですよ、このお店で興味しんしんです。」
王宮料理人が言った。
まあ、それはいいんだけどさ。
目的達成でね。
最近、お客も増えたし。
従業員増やそうかなって思ってるくらいだしさ。
「いってくればいい、オズ坊も寂しいだろうよ、案外いい方に向かうだろうぜ。」
じいちゃんが向かいの串揚げ屋から
ウインナーチーズ串を買い食いしながら帰ってきた。
まったく、食い意地は健在なんだから。
「では、迎えにきますねー。」
デーケシ卿がそういって去っていった。
王宮料理人も山ほど、食材を買っていった。
うーん、もと許嫁がいっても良いのかな?
「ドレスは持ってるよな。」
じいちゃんが言った。
「持ってないよ。」
はっきり言って商売に来たんだし。
「………レイモンド、わしとセツラは買い物に出る、すまんが店番頼んだぞ!」
じいちゃんが私のてを引いていった。
「了解致しました、団長。」
レイモンドがカササダ竜騎兵団の略式礼をした。
「じいちゃん、私、行かないよ!」
うん、心が痛くなるし。
「何いってる、人生一度きりだ!やれることはしやがれ、オレをチエアイス武王国までつれてかなきゃ、めし食わせねーと脅した気概はどこいきやがった!」
じいちゃんが言った。
まあ、脅したけどさ。
美形年下武人殿下に会うつもりはなかったんだよ!
「ハナエルさん、すまんが、うちのアホ孫の正装を見繕ってくれ!」
じいちゃんがビルのテナントの高級ブティックに飛び込んで言った。
「イグサさん、お任せください、やっと、モデルオッケーしてくれたのね、お孫さん!」
ブティックのオーナーさんな女性が嬉々として言った。
「ふん、まあな、あとでおごれよ!」
じいちゃんが偉そうに言った。
わ、私、じいちゃんに売られた?
「こっちにいらっしゃい、化粧はしたのインディさんとかに頼んで…。」
ハナエルさんがうむを言わさず私を試着室にほおりこんだ。
お母さんとドレス作ったときは気力減退
呆然自失だから感じなかったけど。
なんか疲れた。
他の意味で呆然自失だよ。
「ま、似合うわね、その薄紫のドレスぴったりよ!」
ブティックハーエットのハナエルさんが言った。
「紫系で統一バッチリね。」
インダ化粧品のインディさが言った。
「揺れる宝石が今のトレンドなのです。」
ジュエリータイアスのオルアさんが言った。
「ヒール、もっと高いのにしたかったわ。」
ピエアン靴店のケイゼーラさんが不満そうに言った。
「パーティーバッグだからあまり入れないでくださいね。」
ジーアヂシバッグのライカさんが言った。
まあ、私にしては綺麗な私が鏡に写ってた。
「これで、大丈夫だな、しっかりオズ坊とあってこい!」
じいちゃんが言った。
「ええ?困るよ。」
私は呟いた。
「むかえがきましたぜ。」
レイモンドが声をかけた。
どうしよう、でも、
会いたい、迷惑だろうけど。
会いたいよ。
だって、一番好きな人なんだもん。
「いってこい!セツラ。」
じいちゃんが言った。
…たぶん、あっても
あの真面目な人はかわらない。
だったら、会ってもいいかな?
まだ、他の人のものになってないうちに。
こんど会えるときは、
この国の王配殿下なんだかたら。
うん、会ってこようかな。
たんなる、アイルパーン竜騎国の物産の直売所の店主として。
そのくらい、良いよね。




