直売所はじめました。(売れるかな~?)
アイルパーン竜騎国とチエアイス武王国って
本当にお互い知らないんだな。
「店長、魚と玉ねぎのキッシュできました。」
ついてきてくれたレイモンドが言った。
チエアイス武王国の首都ティンスのビルのテナントが借りられてラッキーです。
それにしても…都会だよね。
「新しい店だね。」
お客さんがきたみたいだ。
「いらっしゃいませ~。」
私は営業スマイルを浮かべた。
「今、話題のアイルパーン竜騎国の直売のお店なんだね。」
お客さんは男性のようだ。
「はい、アイルパーン竜騎国の直売所です。」
今、話題なんだ。
「へぇ、新鮮な野菜がたくさんあるね、天竜で輸送してるの?」
ケインアス領産のキャベツを手にとりながら
お客さんが言った。
「普通に地竜便ですよ。」
天竜なんか使えないしね。
あとは、空竜かな?
天竜より大きい種で
でも、ゆっくりなんだよね。
でも、そこまで、まだ、多量に運ばなくてもいいしね。
「ふーん、アイルパーン竜騎国って言えば天竜じゃないんだ。」
お客さんが今度は首都デアシルートのパン屋で
つくってもらった。
フワフワレーズンチーズパンの試食をつまみながら言った。
「天竜はカササダ竜騎兵団とか天竜騎士団が使ってます、一般的には扱いづらいので。」
うん、絆がものを言う関係だからね。
天竜、一体につき、絆をきづいた
人間一人みたいな感じかな?
「ふーん、じゃ、王宮にいるアイルパーン竜騎国の人たちはエリートなんだね。」
お客さんが言った。
籠にキャベツとかイアルダス産ベーコンとかたくさん入ってる。
「ええ、国の代表ですから。」
そうだよね。
「ぜひ、縁談がまとまってほしいよね。」
お客さんが言った。
「ソウデスネ。」
なんか笑顔が固まった。
あの人のためにがんばると誓ったのに!
「でも、肝心の相手が地方にいってるんじゃ、アイルパーンの王子も大変だね、王宮で連日連夜の接待するのも大変だけど。」
お客さんが言った。
連日連夜の接待なんだ。
綺麗所が集まってるのかな?
うーん、想像がつかないな。
「このキッシュ美味しいね、そっちのアスパラと卵のグラタンも美味しそうだな♪」
お客さんがキッシュを試食をしながら言った。
「よかったら、この鶏肉のキノコソースもどうぞ。」
レイモンドがニコニコ言った。
レイモンドは元々、カササダ竜騎兵団の
団員だったんだけど。
料理が好きでついに転職したんだよね。
「うーん、故郷の料理でおもてなしって言うのも良いよね。」
お客さんはそんなことをいいながら多量に品物を買って帰っていった。
「チエアイスはすげえな。」
じいちゃんが他の店見学から帰ってきた。
色々買ってきたみたいだ。
「随分買い込みましたね。」
レイモンドが言った。
実は、小規模店舗なので
店員はレイモンドと私しかいない。
他の店員は今求人しているんだ。
しかし、よく、出国許可出たと思うでしょう?
『セツラちゃん、頑張ってね。』
妙にあっさりとカラさんが裏で手を回してくれたんだよね。
国王陛下の妨害は…じいちゃんが何とかしたらしい。
それより、カササダ竜騎兵団の
おっさんその他がうざかったです。
「珍しい、菓子もたくさんあったぞ、ヤーセイア青樹国なんぞ、早々いけないぞ、友好条約いいかもしれんな。」
じいちゃんが木の枝みたいなお菓子を出してかじった。
そうか…世界は広いんだね。
「オズワルト殿下は王宮で接待三昧らしいですぜ。」
レイモンドが言った。
「まあな、美味しいもんたくさんだろうよ。」
じいちゃんが言った。
すぐ、そこにいくんだ。
ああ、すぐ、目と鼻のさきにいるのに
美形年下武人殿下と会えない。
でも、アイルパーンに興味がある人がいるんなら目的達成できるよね。
ちゃんと、大好きな人の外交の
助けに少しはなってるかな?
うん、頑張ろう。




