ただいま散策中(どうやって逃げようかなー?)
うーん、いい加減イライラしてきた。
この人なんとかしないとね。
「セツラはどんなものを食べて大きくなったのかな?」
ニヤニヤしながらエラスラ公が言った。
王家に連なる大貴族らしい。
なんでそんなことが気になるのさ。
美しい花の咲き乱れる庭園は
さすがプロの仕事でうちの微妙にカササダ竜騎兵団のおっさんたちがたむろしている
バーベキュー、飲み会の会場とはえらいちがいだった。
「イアスダスの恵ですよ。」
まあ、ほぼイアスダスから出たことないからね。
カササダ竜騎兵団のおっさんたちがたまに変わったお菓子とかお土産に買ってきてくれてさ。
地方には色々変わったものがあるんだなと
なら、どうもぱっとしない。
故郷の特産物をアピールしたいと思って直売店つくったんだけどな。
「ふーん、おっきいのはそのせいなのかな♪」
私の胸を舐めるように見ながらエラスラ公が言った。
こいつ、変態だ。
まごうことなく。
しまった!ただのお茶会だと思ってたから、情報収集してない。
「私と結婚したら、大人っぽいドレスをきてほしいな。」
エラスラ公が言った。
今日の胸が見えないディドレスはおきに召さないらしい。
冗談じゃない。
「私は結婚しません。」
特にこいつとは。
「イアスダス領はどうするんだい?」
エラスラ公が腕を引っ張った反動でエラスラ公の腕の中に転がり込む。
「セツラは思った通り柔らかいね。」
うっとりとエラスラ公が私を抱き込んだ。
だいたい、なんで呼び捨てなのさ。
「もう、離さないよ、王宮で見掛けたときから、どんなにこうしたかったか、ただ、王子と言うだけで、セツラを独占するなんて!」
きつく抱き締めてエラスラ公がうわ言のように言った。
苦しい…。
私はエラスラ公の背中を引っ掻いた。
「セツラ、ごめんよ、楽しい事をしよう。」
エラスラ公が暴れる私を肩に抱き上げた。
いつか、美形年下武人殿下にもされたけど
こっちのほうが怖い!なんか怖い!
「いや、離して!」
どうしよう!国王陛下なみより怖いんですけど!
「大丈夫、一生離さないから。」
熱にうかされたようにエラスラ公が言った。
いや、絶対に!
美形年下武人殿下じゃなきゃいや!
もう、わかった!
あの国民と国の事最優先の男が好き!
あの人じゃなきゃ嫌だ!
でも、あの真面目男は今日はチエアイス武王国の空のしただよ。
ああ、じいちゃんに護身術、真面目に習っとくんだった。
「さあ、行こう。」
エラスラ公がいいながら腰を撫でた。
いやだ、こっちの人じゃいや。
「はなして!」
手足をばたつかせる。
「お転婆が過ぎるよ。」
エラスラ公に足を押さえ込まれた。
どうしよう!
もう、終わりなの?
どこからか風が吹いた。
「エラスラ公、申し訳ありませんね、オレももう、絞められたくないんで!」
そういう声がしてエラスラ公の腕がゆるんだ。
「こんなことして許されると思ってるのか?」
エラスラ公が言った。
後ろを振り返るとアーウィングおじさんが
天竜にのって槍を突きつけてた。
「いやがる婦女子に強要はよくありませんぜ。」
アーウィングおじさんが言った。
風が次々吹く。
天竜が降り立つ。
「エラスラ公、ご同行願います。」
天竜騎士団が降り立った。
カササダ竜騎兵団に押されてあまり表に出てこない。
本当の国営の竜騎士団だ。
警察機関をまとめている。
町で地竜にのって巡回してくれてるのはその下部組織の地竜騎士団なんだよね。
「私が何をした?」
エラスラ公が笑った。
「ミレーユ・オチレイアさんへの誘拐未遂または暴行未遂ですね。」
竜騎士団の人(女性)が言った。
ええ?なにそれ?
「ミレーユ・オチレイア?かつての交際相手だが、結婚しないと言っただけで犯罪者か?」
エラスラ公が言った。
「監禁されかけたと聞いています、ご同行願います。」
天竜騎士は言った。
天竜騎士団の団員がエラスラ公を取り囲んだ。
結果的に言うと、まあ、エラスラ公は
巨乳好きの変態だけでなく。
何人かの女性が被害にあってる束縛暴行男だったらしい。
お母さん~、きちんと調べてよ~。
まあ、アーウィングおじさんが間に合ったのもお母さんがじいちゃんに連絡してくれたおかげだけどね。
かねてから、エラスラ公の捜査の協力要請を受けてた天竜騎士団に連絡してくれたのは信頼回復を図ってたアーウィングおじさんです。
「まあ、無事で何よりだぜ。」
まだ、内出血が少し残る顔でアーウィングおじさんが言った。
「まったく、ハフィアさんにも困ったもんだ。」
じいちゃんが言った。
「お母さんのせいじゃ…少しだけそうだけどないよ。」
それより、自覚かな、美形年下武人殿下が
好きって言う。
私は風に揺れる庭園の花を眺めた。
「じいちゃん、チエアイス武王国に行けるかな?」
今、私が出きることじゃないかもしれない。
「おい?セツラ?」
じいちゃんがたじろいだ。
「私、チエアイス武王国に行って、アイルパーン竜騎国をアピールしてこようかと思うんだ、美形年下武人殿下がやりやすいように。」
うん、それが私の好きな人へのエールだよね。
きちんと交易できれば、
友好条約が有利に結べるかも知れない。
私の一番、大事な人。
大好きな人が犠牲になるのだから。
二つの国が永遠に友好的で有るように。
出きることをしよう。
「セツラ、お前、本気か?」
じいちゃんがやっと言った。
「うん、特産品持ってアピールしてくる。」
私はしっかり、じいちゃんの目を見て答えた。
頑張るんだ。
国のためじゃなく。
大好きな、オズワルト・エスローアス・アイルパーン殿下、美形年下武人殿下の為に!




