もっと仕事中です。(あのー、来られても困りますー。)
なんで、ハブータエ皇女殿下が直売所に居るんだろう?
ますます、変な店だよ、やめてほしい。
「あら、いがいとこじんまりしてますのね。」
ハブータエ殿下が言った。
オダーウエ聖騎士団、団長服(今日はズボンらしい。)
をきてキョロキョロと店内を見回した。
後ろにはオダーウエ聖騎士団の騎士が控えている。
当然、天竜できやがったんだよ。
「なにかごようですか?」
愛想笑いがひきつった。
「そうよ、セツラ・イアスダス!聞きたいことが有るわ!」
ハブータエ殿下がビシッと指差した。
「なんですか?そのやさいなら、炒めものがおすすめです。」
指差した指した先の方にあったピーマンでしらばっくれた。
「違うわ!アースリース様とどういう関係ですの?」
ハブータエ殿下が言った。
「許嫁の親というだけですが?」
あと、困った、求愛者?
「ちがうわ、どうして、あなたに執着してるかよ!」
ハブータエ殿下が言った。
ああ、営業妨害だよ。
客が目を丸くしてるし。
「知りません。」
お引き取りしてもらおう。
「そう?ならば、私の提案を受けなさい、チエアイス武王国に、ウェルス・オピ・ケーケシと言うラルーナ国王の側近がいるの。」
ハブータエ殿下が言った。
チエアイス武王国って現在敵方じゃないですか?
その国王側近?
「その男と結婚しなさい!国のためよ!」
ハブータエ殿下が言った。
ええ?敵方の国王側近と結婚はいやだ。
「いやです。」
だいたい、ハブータエ殿下は
今んところ王妃じゃないし。
王妃だって勝手に決められないよ。
「そう、じゃ、私の部下にメイーセントと言う男がいるわ、その男と結婚しなさい!」
ハブータエ殿下が言った。
「団長、副団長には婚約者がいます。」
ついてきた騎士が言った。
「そう、ならキイト!あなたが結婚なさい!」
ハブータエ殿下が叫んだ。
「…そうにきたか…オレ、オズワルト殿下に殺されたくないんでお断りします。」
キイトさんが言った。
「この腰ぬけ!」
ハブータエ殿下が言った。
「店長、早くお引き取りをしてもらってください。」
惣菜担当のレイモンドが今日の目玉の秋刀魚の南瓜チーズ巻きのバットを持ちながら言った。
「そうだよね…。」
大体、美形年下武人殿下がいなくなってから来るなんて…。
時間差攻撃こまるんで一緒に来てほしかったです。
そうじゃなくったって『カササダ竜騎兵団御用達』いらん評判のせいで
本来こないはずの貴婦人だのシンパの人たちだの来てるんで。
本来の主婦、主夫系の人たちがな…。
常連が貴族って本来のコンセプトから外れるんですが?
今、一番カササダ竜騎兵団員が見られるスポットってなに?
「ハブータエ殿下、セツラになにか御用か?」
店舗入り口から颯爽と美形年下武人殿下が入ってくる。
今日の当番のエアスディアさん(たまにどうしても入るらしいです…アーレント君よりましです。)
が付いてきている…連絡したらしい。
まったく…ますます収集がつかないよ。
「未来の息子にふさわしくない子に縁談を持ってきただけです。」
ハブータエ殿下が言った。
「私にふさわしいのはセツラだけです。」
美形年下武人殿下が言った。
そのまま、私に近づいて子供抱きをしやがった。
「あのさ…困るんだよね。」
うん、客が引いてるじゃん。
「もう、あきらめろ…セツラ。」
美形年下武人殿下が耳元で囁いた。
あいかわらず、ぞくっとするほど美声だよ。
「大体、なんでそんな子がもてるのかしら?」
ハブータエ殿下が言った。
そんなの事いっても知りません。
「店長は…可愛いから…。」
ミッセルちゃんが青唐辛子を並べながら言った。
「団長…いい加減恥ずかしいので帰りましょう。」
キイトさんが言った。
「可愛いセツラさん?あなた、なにがお得意なのかしら?」
ハブータエ殿下が言った。
「店長さんは…商売上手なの。」
ピピルさんが魚の切り身を持って来ながら言った。
「商売?ならば…それで勝負を…。」
ハブータエ殿下が言った。
「あー、団長無理だからやめましょうね、まだ、パン食い競争の方が可能性がありますよ。」
キイトさんが遮った。
「なんでですの?」
ハブータエ殿下が言った。
「団長、副団長呼びますんで…ああ、新団長でしたっけ、相談しましょう。」
キイトさんが言った。
「メイーセントはキノウエシのかの方を迎えにだしたと皇帝陛下が言ってました…重要な任務ですものすぐこれませんわ。」
ハブータエ殿下が言った。
「まあ、通信するだけ、しときますよ、ご迷惑おかけしました。」
キイトさんが言った。
「ともかく、アースリース様の半径十キロ圏内に近づかないでほしいですわ。」
ハブータエ殿下はそう言うと颯爽とオダーウエ聖騎士団の団長服をひるがえして去って行った。
十キロ…王宮内に十分いられますが…美形年下武人殿下の部屋は無理かもしれない。
「セツラ…婚姻を急がなければならないかもしれないな。」
美形年下武人殿下が言った。
「美形年下武人殿下と結婚してもなんか言われそうだから…イアスダスにかえろうかな…。」
うん、帰りたい。
「私はセツラを一生涯離すつもりはない。」
美形年下武人殿下がそう言うと私を抱えたまま入り口に歩きだした。
「分かったから…下ろして。」
まったく…困った美形年下武人殿下だよ。
「今日は離したくない…。」
美形年下武人殿下が抱きこんだ。
「逃げないから…ね。」
私が頭を撫でると美形年下武人殿下が仔犬のような顔をした。
「セツラ…。」
美形年下武人殿下が嬉しそうに微笑んだ。
わーん、ほだされてるよー。
商売第一なのにー。
困るよー。
「店長…頑張ってください。」
シレルーアさんがハムを並べる手を止めて生温かい目で言った。
気が付くと店内の客と従業員みんな生温かい目でみてる?
…生温かい目で見ないで助けて下さい。
お願いだから…。




