お仕事再開しました。(送迎派手すぎです~。)
イアスダスからの直売店は
案外順調だよ。
「なんで、毎回天竜で送るのかな?」
私は天竜から美形年下武人殿下に抱えられて下ろされながら言った。
天竜がいくら小柄でもきちんと
竜乗り場が無い街中で乗り降りするのは
大変で、いつもこの状況なんだよね。
「この方が安全だ。」
美形年下武人殿下が微笑んだ。
「目立ちまくって困るんです、しかも、監視役も天竜でくるし!隠密行動出来ないんですか?」
まったく、困るよ!
天竜のいる直売店ってなんだろうね。
「…牽制になるぞ。」
美形年下武人殿下が言った。
「商売に牽制はいらないんです、早く下ろして!」
いつまで抱き上げてるつもりなんだろう?
「断る。」
美形年下武人殿下はやっと覚えた?
お姫様抱っこのままあるきだした。
「おはようございます、オズワルト殿下、店長。」
青果部門のミッセルちゃんがニヤニヤしながら言った。
毎朝やめて欲しい。
「おはよう、もういいですよね。」
早く降りて仕事したいんだよね。
「嫌だ、最後まできちんと奥まで送る。」
美形年下武人殿下が言った。
なんかますます過保護…うん自分の気持ちを吐いた
美形年下武人殿下はすがすがしいほどの独占欲だよ。
「セツラ、今夜は、わかってるとおもうが。」
美形年下武人殿下が耳元で囁いた。
うーん、相変わらず美声で背筋に振るえが走るよ。
「わかってるよ、ハブータエ皇女殿下の歓迎会と言う名の陛下とのお見合いでしょう?」
陛下のせいでじつは延期されてたんだよね。
まったく、大人げないんだから…。
まあ、あの人じつは私と12歳上の37歳だし…若いんだよね…多分。
…一方美形年下武人殿下は19歳…若いよ…カラさんはたしか21歳だったよね。
私は25歳だから…大分年上なんだよね。
ちなみにアサギは18歳です。
うちの姉妹、歳はなれてるんですよ。
「…早めに迎えに来る。」
美形年下武人殿下が額にキスした。
「キャー、素敵。」
鮮魚担当のピピルさんが言った。
ちなみにピピルさんはおねえと言う人種だ。
ごつい身体に可愛い振り振りエプロンがにあっている。
「…さびしいが行ってくる。」
美形年下武人殿下がそう言って今度は頬にキスした。
そして店の奥でやっとおろした。
さっそうと庶民的な店を歩くカササダ竜騎兵団団長…似合わない…。
「さてとレイモンド、今日は白身魚ケーキが目玉商品だよね。」
惣菜担当でイアスダスから呼び寄せたレイモンドに言った。
なかなか、王都だと地元の人が搬入にきてくれないから大規模には出来ないんだよね。
「あら、この野菜はどうに食べるの?」
買い物に来た若奥様が言った。
「煮物がお勧めです、このベーコンと煮込むと最高ですよ。」
肉担当のシレルーアさんが言った。
「そうなの?」
若奥様が言った。
「ええ、カササダ騎士団の英雄で食通のイグサ前団長がイアスダスで一番おいしいと太鼓判を押した、マエラウス牧場のベーコンです、桜チップでスモークした一品ですよ。」
シレルーアさんが言った。
「冬瓜もおいしいですよ。」
ミッセルちゃんが言った。
うん、とろとろしておいしいよね。
「トマト味がお勧めです。」
そういって煮込み用ソースのはいった容器を見せた。
小さい手作りの店が作ってるからあんまり作れないけど…美味しいんだよね。
「もう、この商売上手さんたちったら。」
若奥様がニコリとした。
みんな買ってくれるらしい。
レシピメモ無料も付けないとね。
「珍しいのか案外入るな。」
レイモンドが白身魚のケーキをならべながら言った。
「あら、天竜が来るからじゃないの?」
ピピルさんが魚をならべながら言った。
「まあ、朝からあれは印象的だからな。」
レイモンドが言った。
「ごめんね、過保護でさ。」
私は護衛と言う名の監視にきた
カササダ騎士団団員アーレント君を見てため息をついた。
「セツラ様なにか問題がありましたか?」
まだ若いアーレント君が近づいてきた。
たしか…美形年下武人殿下より二つ下の17歳だよね。
「大丈夫だよ。」
まったく、ため息一つつけないよ。
「団長がセツラ様の変化は逐一報告しろとのことでしたので…。」
アーレント君が言った。
まったく…ストーカーかよ。
でも…仔犬なあの顔が…。
あー…ダメだ…まけた…。
「がんばろう、店長。」
レイモンドが私の肩をぽんと叩いた。
「セツラ様になにをする!」
アーレント君がレイモンドの首に剣を突き付けた。
「アーレント君、親愛のしぐさだから。」
私はため息をついた。
…ねー、どんな育ち方したらこんなに固固しい男の子になれるのさ。
「…セツラ様にふれるな。」
アーレント君が剣を引いて言った。
「おっそろしい子だな…。」
レイモンドが言った。
ああ、迷惑だよ…。
客は今のショーかなにかと思って拍手してたけど。
どうして…こんな子送るのさ…。
ま、がんばるしかないか…。
「セツラ帰るぞ。」
美形年下武人殿下が言った。
案の定午後一で来た。
「まだ、大丈夫なんじゃない?」
私は試食の白身魚のケーキを押しつけた。
「…うまいな…早くない、盛装には時間がかかるとローレン女官から迎えにいくように言われた。」
美形年下武人殿下が試食を食べながら言った。
「わかったよ。」
私の本業直売所の店主なんだけどね。
あ…一応、美形年下武人殿下の許嫁だけどさ…。
いそいそと抱きあげないでほしい。
最近運動不足なんだからね。
太っちゃうよー、もともと華奢じゃないのに…。
帰りも…天竜か…。
なんか顔隠せる帽子かショール買っておこうかな?
普通に地竜車で通いたいよー。
カササダ竜騎兵御用達の店と言う噂なんていらない。




