皇女殿下に目をつけられました。(邪魔しないです~。)
オーレウス帝国の皇女殿下。
私、邪魔なんてしませんよ。
「セツラ様、陛下が謁見に来るようお命じになりました。」
ローレン女官が言った。
最近美容だなんだと色々してくれてるんだよね。
あの二の腕引き締め体操効くのかな?
「辞退させていただきます、えーと、熱出ました。」
仮病使おう。
美形年下武人殿下が恐ろしいんですよ。
拘束用の鎖まで準備された日にゃ。
絶対逆らっちゃダメだと思いましたね。
ま、説得はするつもりですが。
「わかりました、ヤーイス女官長、強制執行のようでございます。」
ローレン女官が言うとぞろぞろと侍女を引き連れて中年の女性が入ってきた。
既婚者らしく髪を結っている。
「セツラ様、女官長を拝命いたしております、ヤーイスでございます、王命でございます、失礼いたします。」
そう言うと侍女が見事な連携で私に群がった。
「熱が出てるんです~。」
私は叫んだ。
なんかむなしい。
美形年下武人殿下が呼び出されたのって
もしかして策略?
用心深く部屋に残したのもの逆効果?
私、女性まみれで圧死したくないんですが…。
なんか意識が遠のいてきた。
「まあ、よくお似合いですわ!」
ローレン女官が言った。
この人もお世辞言うの大変だな…。
「そうですね、合格点です。」
ヤーイス女官長が言った。
髪に銀の鈴の花の髪飾り、
薄桃色の羽根のようにかろやかなオーバードレスはアンダードレスの薄紫の生地が透けて綺麗だ、それに銀のハイヒールです。
普段、もっとしっかりした生地の服の私には破きそうで怖いです。
ハイヒールも転びそうです。
「では、参りましょう、ローレン女官、手をもって差し上げて。」
ヤーイス女官長が言った。
生態系バレバレです。
前回の晩餐時も転びかけて衛兵さんに助けてもらったんです。
「あの、本当に困ります。」
私は両側から支えられながら言った。
一方はローレン女官さんもう一方は侍女さんです。
前を誘導するのはヤーイス女官長。
私の後ろには侍女の行列。
どこに連行って感じです。
謁見室なんでしょうが。
「セツラ様がおいでになりました。」
立派な扉の前にくるとヤーイス女官長が言った。
扉が開いてなかには、国王陛下がいました。
って謁見室だもんね。
「セツラ嬢、今日も可愛いな。」
国王陛下が言った。
今日は正装のようです。
美形年下武人殿下の父上だけあって
綺麗だな…。
「あの、体調不良なので部屋に戻りたいのですが?」
うん、その線でいこう。
「そうか?それは大変だ。」
国王陛下がわざわざ壇上からおりてきた。
「部屋にかえ…。」
国王陛下に抱き上げられた。
美形年下武人殿下に殺される~。
「顔色が悪い、すぐ、寝室へ。」
国王陛下が言った。
「下ろしてください。」
わーん、怖いよ~。
「陛下、ハブータエ・アイゾーラ・オーレウス皇女殿下がおいでになりました。」
声がして扉が開いた。
「ついに参りましたわ!私のアースリース様。」
麗しい顔の押しの強そうな女性が入ってきた。
「私は貴女のものになった覚えはないが?」
国王陛下が言った。
「まあ、そんなことおっしゃいますの?」
女性…ハブータエ皇女殿下が花のように笑った。
皇帝陛下の叔母上らしいけど、若いな…。
データ上は、国王陛下より少し年上で
オーレウス帝国、オダーウエ聖騎士団の団長してたとか…。
あそこは文明化されてて、結婚年齢高いから初婚らしい。
「歓迎しよう、ハブータエ殿、ゆっくり滞在されるがいい。」
国王陛下が私を抱えたまま出ていこうとした。
皇女殿下に従って入ってきた大臣?たちが慌てる。
お父さんにいたっては目をまわしそうだ。
「陛下、ハブータエ皇女殿下は陛下の王妃になるためにおいでになられたのですぞ。」
年配の白髭の大臣が言った。
「そうですわ、その腕の中の女は誰ですの?」
ハブータエ皇女殿下が私を睨み付けた。
わーん、とばっちりだよー。
「セツラ・イアスダス、宰相シキ・イアスダスの令嬢で、カササダ竜騎兵団、先代団長イグサ・イアスダスの愛孫、そして私の愛しいものだ。」
国王陛下が言った。
皇女殿下が完璧に敵意をもった目で私を見てる。
怖いよ、この人もだけど、美形年下武人殿下が特に、どこにいったんだろう?
「父上は愛しい姪のようなものとおっしゃりたかったのです、皇女殿下。」
完璧王太子の正装をした美貌のカーラアスト殿下、カラさんがカササダ竜騎兵団の正装をした美形年下武人殿下を連れてやって来た。
「姪なのですわね。」
ハブータエ皇女殿下が疑わしそうに言った。
「お前たちはハブータエ皇女殿下に従ってきた文官と聖騎士の対応を命じたはずだが…。」
国王陛下が言った。
わー、抜け目ないー。
「ええ、でも未来の母上のご尊顔を見たかったものですから。」
カラさんがニコニコ言った。
「父上、私の許嫁が世話になりました。」
美形年下武人殿下がそう言うとお姫様ダッコ状態の私を抱き取った。
ああ、赤ちゃんダッコだよ。
「オズワルト。」
国王陛下が言った。
「父上、セツラは調子が悪いようなので失礼いたします。」
美形年下武人殿下はそういって歩き出した。
なんか助かった。
後が恐ろしいけどね。
美形年下武人殿下がなにいいだすか…。




