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3-4 レイクサイド大収穫祭

『さあさあ今年もやってまいりましたレイクサイドぉぉぉぉぉっ大っ収穫祭ぃぃ!!!!!司会は私、謎の男ストロング=ブックヤードが務めます!!例年のトーマス騎士団長とは違うんで!皆、盛り上がって行こうぜぇぇぇぇぇ!!!!』

「うおぉぉぉぉぉ!ウォルターぁぁ!!」

「「「レイクサイド!レイクサイド!レイクサイド!レイクサイド!」」」


 レイクサイド領領主館周囲の町。今年も収穫祭が執り行われている。

『では!まずは我らがレイクサイド召喚騎士団を紹介するぜぇぇ!!最初は第5部隊の登場だぁ!!』

ヘテロ=オーケストラ率いるフェンリル部隊が会場の周囲をぐるっと走り回る。中には会場内にも飛び入るものもあり、そこそこ盛り上がってるようだ。そして召喚される大量のノーム。彼らの手には大量の飲み物が。お酒が中心であるが、それ以外もたくさんだ。会場には多くの人間が参加しており、その外にまでテーブルやら屋台やらが所狭しと並んでいる。ノームが全員に酒を配っていく。

『さあ!皆!!飲み物は行きわたったか!!??これは領主アラン=レイクサイド様のおごりだ!乾杯するまで飲むなよ!』

拡声器魔道具に乗せてストロングの司会が続く。

『でわ!乾杯のご挨拶を騎士団長トーマス=レイクサイド様にしていただこう!トーマス様、3秒でお願いします』

『え、えー、ほ、本日はお日柄もよk』

『かんぱぁぁぁぁ~~~いぃぃぃ!!!!!!!』

こうしてレイクサイド大収穫祭は開始された。


 毎年のことながら、召喚騎士団の面々が紹介されていく。人数が増えたからちょっとずつであるが、それでも民衆からの歓声は鳴りやまない。特に部隊長クラスはものすごいぞ。

『今年はたくさんのゲストがいるぞぉ!!新たに大森林からの参加だ!ビューリング=ブックヤードと獣人騎士団たちを紹介しよう!皆知ってのとおり、ハルキ様は人種で人を差別されないお方だ!というかむしろヴァレンタイン王室の方が嫌いだけどな。』

ビューリングと獣人騎士団が壇上にあがる。すでに皆の人気者だ。特に蜂蜜の受けが良いとのこと。しかし、その時の舞台裏では・・・。

「おい、ハルキ。どういう事だ?」

「いや、えっと?なんの事でしょうか?あ、でもクロっさんはちょっと嫌だったかな。」

「ふむ、クロス叔父上か。まあ、あれは仕方なかろう。俺は違うだろうな。」

「も、もちろんアイオライ王子を嫌うわけがないでしょう。あ、あんたは別枠です。」

「ふふん、そうか。」

その間もストロング節は続く。まじでやめてくれ。

『ここに並んだ料理の中でも大森林原産のものは多いぞ!多くの資源をアリガトゥー!!』

「「「ありがとうー!!」」」

すでに皆出来上がっている。

『続いて、遠くヒノモトの国から「魔王」テツヤ=ヒノモト様だ!!今回はお忍びでレイクサイド領にきているぞ!!』

ウォルターよ、それではお忍びの意味がないぞ。

『なんと我らがハルキ=レイクサイド様とはマブダチとのことだ!!では!テツヤ様どうぞぉ!』

数日前に、テツヤが来ていた。アイオライに合わせるとまずいと思ったが、阻止できず。あっと言う間に意気投合しやがった。今回の収穫祭にテツヤもアイオライもゲスト出演するなんて予定はなかったのに・・・。

「んじゃ、ハルキ、アイオライ、先に行くぜ。」

「うむ。俺もはやく料理が食いたい。」

「はっ、そこかよ。」

テツヤが壇上に上がる。なぜか巻き起こる大歓声。

『あー、ヒノモト国魔王、テツヤ=ヒノモトだ!よろしくな!』

自己紹介だけなのに、巻き起こるテツヤコール。

「「「テ・ツ・ヤ!!テ・ツ・ヤ!!テ・ツ・ヤ!!」」」

ヒノモト国は食糧の輸出先として上得意様だしな。最近、テツヤもできるだけ有名になろうとしているし、ようやく人気もでてきたか。これで嫁さがしもはかどるというものだ。

『我がレイクサイド領の食糧をたっくさん買ってくれる上得意様だ!皆!たたえろ!!』

ストロングのあおりもちょっと酷い。

『そして!更にスペシャルゲスト!!なんと王都ヴァレンタインより第3王子アイオライ=ヴァレンタイン様が来ているぞぉ!!』

次はアイオライ王子の番だった。しかし・・・。

「・・・・・え?」

「だれ?」

「ヴァレンタイン?何しにきやがった?」

これはまずい!このままではアイオライ王子が壇上にあがったらブーイングが起こってしまう。頑張れストロング=ブックヤード!!

『アイオライ王子はハルキ=レイクサイド様のマブダチとして来られた!ちなみに我らの天敵であるクロス=ヴァレンタインとは仲が悪いそうだっはっは!今回の料理の半分以上はハルキ様と一緒に討伐してきた物だ!!ありがたく残さず食べるがいい!!では、アイオライ王子!どうぞ!』

クロス=ヴァレンタインと仲が悪いと聞いて、手のひらを返す群衆。

「「「アイオライ!アイオライ!アイオライ!アイオライ!」」」

よし、なんとか形になったな。

「うむ、では行ってくるぞ。」

いってらっさい。気を遣いまくるな、この人といると。

『アイオライ=ヴァレンタインだ。今回は非公式の訪問であるが、レイクサイド領の歓迎には非常に満足している。』

歓声があがる。半分がブーイングだが、アイオライ王子が気付いている様子はない。

『さて!!皆お待ちかね!わが領地の次期当主のお出ましだ!紹介はいらないよな!!』

「「「「ハルキ!!レイクサイド!!ハルキ!!レイクサイド!!ハルキ!!レイクサイド!!」」」」

ようやく俺の出番だ。のど乾いた。

『今年もみんな頑張ってくれた。特に大森林が併合したためいろんな部署に無理があったと思う。夏の初めの引き継ぎも問題なくこなしてくれてうれしい限りだ。今日はたくさんの魔物の肉をアイオライ王子と一緒に取ってきた。皆よく食べよく飲み、楽しんでくれ!』

ホントは討伐したのはほとんどテトだけど。

「「「「ハルキ!!レイクサイド!!ハルキ!!レイクサイド!!ハルキ!!レイクサイド!!」」」」

湧き上がるハルキコール。なぜかよく耳にするために慣れてきているが、それでもむず痒い。

「おい、ハルキ。なぜ王子の俺よりも歓声がすごいんだ?」

「ここがレイクサイド領であなたがクロっさんの甥だからですよ。」

「ふん、あのくそ叔父め。いらん事しやがって。」


『さあ!最後は我らが領主!アラン=レイクサイド様だ!今年はお孫さんのロージー=レイクサイド様を抱いての登場だぞ!!』

 アランがロージーを抱いて登場する。群衆は大盛り上がりだ。だができればやめてあげて、アランコールじゃなくてロージーコールするの。誰か!アランコールを!

「「「ロージー!!レイクサイド!!ロージー!!レイクサイド!!ロージー!!レイクサイド!!」」」



 こうして今年もレイクサイド大収穫祭は大盛況のうちに幕を閉じた。これから冬に入り、食糧の確保もすこし悪くなる時期だ。一通りの料理も食べた事だし、これでアイオライ王子も帰り平和になることだろう。・・・しかし、実際はそうだったのだが、そうでもなかった。

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