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2-5 紅の鉄巨人

 リオンです。レイクサイド召喚騎士団の宿舎の雰囲気が微妙な感じです。ハルキ様も生きてたし、ペニー副隊長の土下座なんて面白いものも見れたから良かったんですけどね。フィリップ様とヘテロ様とテト隊長が号泣してたところに現れたジェイガン姿のハルキ様。めっちゃ恥ずかしかったらしく、その後はエジンバラ領主館にお借りしている部屋に籠って出てきません。気持ちは分かります。

 あの後、まさか朱雀が瞬殺されていたなんて。さすがはハルキ様!そんなに恥ずかしがらなくてもすぐに帰ってくればよかったのに!・・・おかげで3人は本人の目の前で感動の寸劇を繰り広げることとなり、被害は甚大です!レイラ先輩の興奮も止まりません・・・。


「あー、ハルキ様は生きておられたが、もはや戦力にはならない。この地域の魔物討伐は我らだけで行うこととなった。」

 フィリップ様はかなりの精神力で耐えておられるようですが、他の2名は恥ずかしくてお互いの顔も見れないようです。筆頭召喚士ともなると責任感が違いますね。

 他のレイクサイド騎士団の方々も合流したので、本格的に魔物の討伐開始です。すでに南方の地域の村々には魔物の被害がでているとの事。人口の少な目な場所ですが、見捨てるという選択肢はありません。我らレイクサイド召喚騎士団がワイバーンを使って非難の誘導を行い、魔物から守る作戦をとることとなりました。エジンバラの町を守る隊と南方の村々の人たちの避難をする隊に分かれます。そして我らが第4部隊は・・・。

「第4部隊は他にその魔力スポットがないかどうかの探索だ。ハルキ様たちが1つはつぶしたという事だが、1つとは限らん。現にエジンバラに迫る魔物の数は減っていない。」

 各方面に散らばる部隊員たち。騎士団の方からも破壊魔法が使える人を選抜して2人1組の体制で臨みます。発見次第、魔道具通信で連絡が取れるように、何班かに分かれて集合場所と時刻を設定します。魔道具がたくさんあれば良かったんですけどね。


「それで、なんで私だけこっちなんでしょうか?」

「それは、発見された魔力スポットを破壊する係だからだ。」

集まってるのはレイクサイド召喚騎士団筆頭召喚士「鉄巨人」フィリップ=オーケストラ様、レイクサイド騎士団団長「破壊の申し子」シルキット様、レイクサイド召喚騎士団第3部隊隊長「聖母」ヒルダ様です。なんで、そんなレジェンドな人々の中に私が呼ばれているんだろう?

「それはお前がハルキ様の代わりだからだ。」

はい?なんで私がハルキ様の?というか、無理でしょそんなの。ハルキ様に個人指導を受けてからというもの、自分の立ち位置ははっきりと理解しておりますよ。

「総魔力では俺はお前よりも高いが、ウインドドラゴンの召喚契約はできておらん。各地の魔力スポットが確認され次第破壊に向かわねばならんのだから、ゴーレムで穴を塞ぐ者を最速で連れていかねばならん。」

あー、そういう事ですか。それであっちはテト隊長を中心とした班ができてるんですね。たしかにヘテロ様まで加わってるし。なんか、お互いに気まずい雰囲気だけど。

「では行くぞ、我々は魔力スポットの探索も任務のうちだ。」

・・・我々って言うか、「私の」ウインドドラゴンの任務ですね・・・了解。


「定時までにここから南方の探索を行おう。実際に光の柱を見たのはお前だけだ。あったら教えてくれ。」

「まあ、でも見たら分かると思いますよ。ほら、あんな風に・・・って!発見しました!」

エジンバラの町から南東に向かった場所にそれはあった。前回同様に光の柱が天に昇っている。あのふもとには光の穴があるに違いない。

「あれか!?こんなに近くにあるとはな!」

「フィリップさま、あんまり近くないですよ。ワイバーンだったら3時間はかかる距離ですわ。」

「細かい事はどうでもいい!行くぞ!」

筆頭召喚士に突っ込みを入れるなんて、さすがはヒルダ様。そして夫のシルキット様ってこんなに大人しくてお優しい感じなんですね。「フレイムレイン」で大虐殺してるイメージしかなかったです。


 やっぱり、光の穴の周囲には大量の魔物がいますね。しかし飛行している魔物はほとんどいないようです。ゆっくり作戦が立てられます。

「アイアンゴーレム!」

 えぇー、フィリップ様!?いきなり召喚ですか?しかもクレイゴーレムじゃなくてアイアンゴーレムを!?どうせ強制送還なのに魔力もったいない!

 フィリップ様の召喚したアイアンゴーレムが光の穴に落ちてクレーターを形成します。その威力はクレイゴーレムの比ではないです!凄いです!しかも、もっとすごかったのが、その空爆に使われたアイアンゴーレムが強制送還されてないんですよ!なんて頑丈なんでしょうか!あっと言う間に穴を塞いでしまいました。この人さすがに筆頭召喚士です!すごい!

「周囲の魔物の駆除だ。二手に別れよう。ヒルダとシルキットはワイバーンで北側を、俺とリオンはこのままウインドドラゴンで南側を探索する。1時間後にここに集合だ。」

おおお!できる男です!


 ヒルダ様とシルキット様と別れて、フィリップ様と魔物退治です。 

「あそこにキラーエイプがいるぞ。」

「はい!了解です!どうしましょうか?」

「ハルキ様のウインドドラゴンに乗っていたんだろう?召喚魔法は効率が悪い。ハルキ様のように使い方を上手くしない限り、破壊魔法には太刀打ちできないぞ。ウインドドラゴンで最も効率の良い使い方はあれをつかんで上空に放り投げてやることだ。数千メートルの高度から落下して死なない魔物は飛行能力を持つものだけだからな。」

 なるほど!そういえばハルキ様はよく「フライアウェイ!」って叫んでましたね。私もがんばりましょうか!キラーエイプを強襲して、・・・こいつを見るとハルキ様の顔面にこびりついた糞を思い出しますが。

「フライアウェイ!」

「・・・何も掛け声までハルキ様の真似をしなくてもいいんだぞ。」

「えっ!?そうですか?でも、こっちの方が効き目がよさそうな気がしますよ。」

「この高度であれば効き目もくそもない。」

「まあ、そうですけどね。」

あ、あっちにグレートデビルブルが!背中をむんずってつかむと文字通り手も足も出ませんね。

「フライアウェイ!」

「・・・・・・。」

「ところで、フライアウェイってどういう意味なんですか?」

「・・・さ、さあな。知らん。」


 それから何匹かの魔物を討伐してから帰還します。

「こっちは結構な数の魔物が討伐できましたわ・・・あら?」

「そ、そうか。では他の隊の集合場所まで行くとしよう・・・。」

「・・・ふふふ、私たちはこのままワイバーンで向かいますね。」

「なっ!?なぜだ?ウインドドラゴンのほうが早いのではないか?」

なんでフィリップ様の顔が赤いのでしょうか?

「ふふふ、たまには夫婦水入らずで飛んでみるのもいいものですよ。こっちの事情です。こっちのね。」

「ヒ、ヒルダ!!」

なんでシルキット様も苦笑いをしているんでしょうか。でも、このご夫婦は仲がよさそうでうらやましいですね。



 翌日、ヒルダ様がお部屋に行かれてから、ハルキ様が完全復活してお部屋から出てきました。なにやらフィリップ様の周辺で歩き回り、機嫌が非常に良さそうです。さすがはヒルダ様ですが、ハルキ様に何を言われたのでしょうか?



「フィリップ、魔物の討伐した後の素材の事なんだが・・・・・あっ!リオンだ!」

「なっ!?」

「ぎゃははははははは!!分かりやすい!ぎゃははははは!!」


フライアウェイで打ち抜かれる鉄巨人

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