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同床。

 「……ふぅ,やっと終わったぁ」

「ほとんどぼくが問題解いたけどね……」

 壁の時計の針が一周するかしないかのうちに,やっとゆみりの宿題が終わる。

「ありがとすずちゃんっ♪またよろしくねぇ」

「もう二度とやんねぇ」

「そんなこと言わずに~」

「怒るよ?」

 なんて話しているうちにあくびが零れる。もうそろそろ寮の消灯時間だな。

「そろそろ寝よっか」

「だな。……そういえばぼくはどこで寝るんだ?客間か何かあるの?」

「え?」

 きょとんとするゆみり。

「すずちゃんは私と一緒に寝るんだよ?」

「あ,そうなのか。じゃあ布団とかもらってこないと。……この辺でいいのかな?」

 ゆみりの近くはちょっと怖いなぁ。寝てるうちに転がり落ちてこないといいけど。

「えと,すずちゃん?」

「ん?」

「すずちゃんは,私と一緒にこのベッドに寝るんだよ?」

「………ごめん,もう一度いいかな?」

 今,一緒の布団に寝るって聞こえたけど。

「だから,すずちゃんと私は一緒のお布団だよ?」

 ………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

「じゃあ私は奥の方ね」

 そう言うと,ベッドの壁際にごろーんと寝ころんで毛布をかぶるゆみり。

「ちょ,ちょっと!?」

「え,壁際の方が良かった?」

「そうじゃなくて」

 こ,この小さなベッドにゆみりとふたりで……

 ……大丈夫かな……ぼくの心臓,もつのかな……

 ……うだうだ考えててもしょうがない,寝るしかないんだから覚悟決めないと。

「お,おじゃまします?……」

 恐る恐る毛布のスキマに身体を滑り込ませると,すぐに温かさに包まれて。

「えへへ,ちょっと狭いね」

「そ,そうだな……」

 ち,近いし,暖かい……ゆみりから離れようとしても,これ以上行くとベッドから落っこちてしまいそうで。仕方ないから内側に寄るんだけど,そうするとゆみりとくっつくわけで。ベッドから落ちるかゆみりに堕ちるかの二択を迫られて,ぼくはゆみりを選んだ。

「すずちゃんの身体冷たいね」

「へ,部屋が寒いからじゃないの?……それよりも,おんなじ部屋に居たのにゆみりは何であったかいの?」

「ん-なんでだろー」

 首をかしげるゆみり。こつん,とぶつかる頭の先にはぱっちりまつ毛がくるんと巻いてて。

「ほ,ほら,寝るんだから電気消さなきゃ」

「あ,じゃあすずちゃんお願いね。そこにスイッチあるから」

 恐る恐る歩いて行って,スイッチを押してまた恐る恐る帰ってくる。布団に入るのも恐る恐る,つま先でゆみりを探ってくっつきすぎない程度に寝転がる。

「すずちゃん,こっち向いてよ。せっかくおんなじお布団なんだから」

「や,やだっ,それにぼくは寝るときはこっち向きって決めてるから」

「えー」

 もちろんウソ。だって向こう向いたら……ゆ,ゆみりのこと,間近で見ることになるし……

「つまんないのー」

 すねちゃったのか,ごろんと向こう向いてそれっきり黙っちゃうゆみり。これ幸いとぼくも瞼を閉じて,夢の中へと逃げ込んだ。


 ……寝れなかった!!

 (くそっ,こんなの寝れるわけないじゃん……)

 枕元の携帯を覗けば,布団に入ってから時計の針が二回り。お隣さんは既に夢の中,とは言っても……

 (く,首がこそばゆい///)

 いつの間にこっち向いたのか,さっきから寝息が首のとこに当たってほんとにくすぐったい。こんなことなら髪切んなきゃよかったなぁ……なんて。

 ……だめだ,このままじゃ絶対寝れない。かと言ってゆみりを転がして反対に向けるのは……うん,無理だな。ゆみりの重さからして。どうしよう,このままじゃなぁ……

 もぞもぞむずむず,くすぐったい。……ダメだ起きよう。

 上半身を起こして,何も知らず寝息を立てるゆみりを上から眺める。ちぇっ,人の気も知らないですやすや寝てらぁ。

 ……しょうがない,一旦仕切りなおすか。

 部屋を出て廊下に立ってから,そういえばこの家にはどこに何があるのか全然知らないことに気づいた。いや,今日……昨日?来たばっかりだから当たり前だけどさ。はてさて洗面所はどこですかね……こっちかな?

「すずちゃん?」

「ひょぁぁ!?」

 慌てて振り返ると。

「ゆみり……もう脅かさないでよぉ」

 見知った顔で安心した半面,脅かされた恨みと変な声出た恥ずかしさ,あと怖いものニガテなのバレた恨みがもう半分。……よし,腰抜かさなかったぞ。

「どうしたのこんなところで」

「ちょっと目が覚めちゃって」

 ほんとは寝れないんだけど。

「おトイレはあっちだよ?」

「そ,そう……」

 とりあえず何事もなかったふりして歩き出す。すると,

「すずちゃん,そんな高い声出せたんだね」

「うっさい,今すぐ忘れて」

 立ち止まってゆみりの両ほっぺを掴んでびよんびよんと引っ張る。むにむに。ついでに頭もシェイクしておこうかな。

「……もしばらしたら,ゆみりの本当の体重ばらしてやる」

「そ,そんなのどこでっ」

「……お風呂上りに乗ってた体重計,電源切り忘れてたよ?ほんとはろくじゅ」

「わー!」

「ちょっ,大きい声出すなって」

 慌ててゆみりの口をふさぐ。むぐむぐ。

 ひとまず言われたとおりに洗面所を見つけたけど,念のためトイレのドア前でゆみりに待っててもらった。

 ……いや,別に一人が怖いとかそんなんじゃないからな?

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