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三つの個室と仔猫たち。ー後編

「..............どう、熱くない? 」

「.....................大丈夫、です」

ボクっ娘の先輩―――望乃夏さんに支えられて、少し熱めのシャワーを肩から浴びる。奥底を貫いた望乃夏さんの質問に足腰を砕かれたぼくは、すっかりと芯まで冷えきっていて、「このままだと風邪引かすから」って残ってぼくのことを面倒見てくれている。..............ちなみに茉莉花のやつは、さっき逃げるようにそそくさと風呂場を出ていった。こんな時でもタオルは離さないんだから、見上げたもんだよ.......ったく..............

「ん、これであったまったかな?」

「..............はい、もう、大丈夫です」

そう答えると、望乃夏さんがシャワーを操作して止める。かと思えば、ぼくのことはまだしっかりと支えたまんまで、

「..............なんか、羨ましい」

と、ぼくの胸を横目で見つめていた。

「なんもいい事ないですよ、こんなもの」

「そうかなぁ? 」

と、自分のささやかなそれと見比べては悩んでいる。何がしたいんだこの人は。

「..............ま、それはそれとして..............出よっか」

「はい」

一応念の為、と肩を貸してもらって脱衣所まで歩いていく。自分のロッカーまで送ってもらうと、

「着替えも手伝おっか?」

「流石にそれは一人でできます」

バスタオルで全身を拭き取ってから、さっそく例のものを身につけていく。..............うん、ここに姿見とかなくてほんとよかった。今になってなんだか恥ずかしくなってきたし..............

「ふむ? ふーむ..............」

「って、ちょっ!?」

なんでまじまじと見てるんですかぁっ!?

「いや、けっこう受け入れてる方なんだなって。そんな可愛いのを素直に穿いてるしさ」

「う、受け入れてるって..............」

ぼくがどんなに悩んでたとしても、流石にこの二種類を身につけないという選択肢はさすがにない。..............それじゃただの変態だし.......

「ボクは去年はそういうの使わなかったしなぁ..............今でこそこうだけど」

と、自分のものを見せつけてくる。..............寄せて上げるやつ、かな。いや、問題はそこじゃなくて、

「..............まさか、ノー」

「いやいやいやっ、別に穿いてなかったとか付けてなかったって意味じゃないからねっ!? ..............そんな可愛いのは使ってなかったってこと。ディスカウントショップで三枚いくらのやつ」

「あー.......実はぼくもです.......こういうのは、今日が初めてで.......」

「ふーん? なにかキッカケがあったのかな? 」

「まぁ、そんなとこです」

自然にサラサラと言葉が出てくる。.......なんだろう、望乃夏さんと話してると、言いたいことが包み隠さずなんでも言える気がする。

「あっ、髪濡れっぱなし」

バサッとかけられたバスタオルからは仄かにバラの香りがして、

「それ使って。風邪ひかないようにしっかりと拭いて、.......そうだね、上の談話室で待ってるから」

それだけ言うと、望乃夏さんは半乾きの髪をそのままに、脱衣場から廊下へと消えていった。

(.....................自分を受け入れる、か.......)

鏡の前で髪の水気をとりながら、さっき留めたパジャマのボタンをそっと二つ外してみる。

..............くすっ、やっぱし似合わないや。でもゆみりなら..............なんて言うのかな、これを見せたら。

「似合ってるー」かな、それとも「大人っぽーい」かな、いやそれとも.......

ぼくの口角がいつの間にか上がってたことに気がついたのは、それから少しして茉莉花が呼びに来た時だった。

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