表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/101

第92話

東の養生所―


朝早くに帰ってきた礼庵は、自室の部屋の壁にもたれたまま、寝入っていた。

黒猫と約束したとおり、袴も服もそのままにしている。


……


礼庵は、ふと目を覚ました。

すると、袴が見えた。

驚いて見上げると、総司がにこにこと微笑んで立っていた。

それも出会った頃の、元気な姿の総司だった。


総司「礼庵殿」


礼庵はただ驚いて、その総司を見上げている。体は金縛りにあったように動けなかった。


総司「もうお別れしなければなりません。どうぞお元気で…」

礼庵「総司殿?」


総司は微笑を残し、礼庵に背を向けて去っていく。そして、障子を開かずにそのまま姿が消えてしまった。


礼庵「総司殿!!」


……


礼庵ははっと目を覚ました。


礼庵「夢…?」


礼庵はしばらくぼんやりとした。何か胸騒ぎがした。


礼庵(総司殿は、もしや…)


礼庵はあわてて薬の入った箱の取っ手を持ち上げ、袴のしわも構わず養生所を飛び出した。


「礼庵!?どうしたっ!?」


東の声が背中でしたが、礼庵は答える余裕もなく、ただ走った。

その礼庵の走っていく前に、黒猫が飛び出してきた。


礼庵(!?まさか!)


礼庵はあわてて立ち止まり、自分の前で座った黒猫の元にしゃがみこんだ。


総司「黒猫殿!?」


黒猫は踵をかえし、おもむろに走り出した。


礼庵「!!」


礼庵はつられるように、黒猫を追った。黒猫の走る先には、総司の療養している納屋がある。


礼庵(最期を看取ってやりたい!)


礼庵は祈るように黒猫を追って走っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ