第81話
総司の夢の中―
総司は土方の傍にいた。
土方は床もひかず、畳の上で横になり、ぐっすりと寝入っている。
ふと見ると、足先に白布が巻いてあった。
総司「怪我をしたのかな?…なんだか土方さんらしくないな…。」
総司がそう呟いた時、それが聞こえたのか土方がいきなり目を見開いた。
そして、驚いた表情で総司を見つめている。
総司「おはようございます。土方さん。」
総司がそうからかうと、土方はがばっと飛び起きた。
土方「総司…!!おめぇ…まさか!?」
総司「死んでなんかいませんよ。私もどうも生霊のようです。」
総司がにこにこと微笑んで言った。
土方「…ばかやろう。驚かすな…。」
土方はほっとしてそう呟いた。そして、起き上がった。
総司「足を怪我したんでしょう?無理しないでいいですよ。」
土方「たいした怪我じゃねぇよ。」
土方は忌々しそうにそう呟いて、怪我をしている足を見た。
土方「松本さんが、治るまで動くなっていうんだ…。今、無理をしたら、また動けなくなるぞ…だと。」
総司「お医者様の言うことは聞くもんです。私にいつもそう言っていたではありませんか。」
土方「おまえに言われるとはな…。」
土方は、片頬をいがめて笑った。
総司はその土方の癖を見て、何か懐かしい思いがした。
総司「ねぇ…土方さん。…近藤先生は?…近藤先生はどうしたのですか?」
土方がぎくりとした顔をした。




