表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/101

第7話

総司の療養所―


朝、総司が目を覚ますと、縁側にすずめが来ていた。


総司「おや…?」


おかしいな…と総司は思った。

庭を見てみると、黒猫の姿がない。

総司は少し体を起こして、庭を見渡した。

やはりいない。

ふと、床の脇を見ると、米粒の入った小皿があった。


総司「…あ…ごめんよ。今あげるからね。」


総司は縁側へ出、あぐらをかいて座った。

そして、米粒を庭に撒いた。


総司(そう言えば、最近、黒猫殿を見ないなぁ。振られたかな。)


すずめが米粒をつついているのを見ながら、総司は思った。

何か寂しい気がする。


その時、聞きなれた声がして、ふすまが開いた。

みつである。もちろん、総司にはわかっていた。


みつ「おはよう、総司。」


総司は振り向かないまま「おはよう」と答えた。


みつ「?どうしたの?総司…」

総司「姉さん…黒猫を知らない?」


みつは驚いた表情をした。


みつ「…あの黒猫のこと?」

総司「うん…」

みつ「…庭に入らないようにしてもらったのよ…この家の人に…」


総司は「え?」と言って、姉に振り返った。


みつ「…だって…縁起が悪いんだもの…」


総司はふと眉を曇らせた。そして、もうすずめがいなくなった庭を見た。


総司「…そうだね…」


みつは、総司の何か寂しそうな背中に、よけいなことをしたのではないかと思った。

が、気を取り直すかのように、明るい声で言った。


みつ「さぁ、髪を直して上げるわ。それから、ひげもそらなきゃね。」


総司はふふっと笑った。


総司「そるほど生えてないよ。髪だって・・」

みつ「だめだめ。いつお客様が来るかわからないでしょう?いつもちゃんとしておかなきゃ。」

総司「うん。」


総司が明るい顔でみつに振り返った。

その顔を見て、みつは少しほっとした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ