第3話
総司の療養所―
夜―
総司は床に横になっていた。
寒いにもかかわらず、障子を開いたままにしている。
部屋を覗きに来た老婆が閉めようとしたが、総司はそのままにしておくよう頼んだ。
なぜなら、満天の星空が見えるからであった。
今夜は月がない。その分暗いだけあって、よく見えた。
総司(死ねば、星になる…なんて言ってたの誰だっけ?)
総司は思い出そうとした。が、どうしても思い出せない。
総司(そんなことを言いそうなのは、案外土方さんだったかもな…。いや、永倉さんだっけ?)
「まぁ、いいか…」と呟いて、考えるのをやめた。そして、手を伸ばして、一つ一つ星を数え始めた。
総司「中條君はあれかなぁ…あのひときわ大きいやつ」
そう言って、くすくすと笑った。そしてまた数え始める。
総司「…たくさんだなぁ。…私が殺めた人も…あの中にいるのだろうなぁ…」
総司はふと、星のまたたきが自分を呼んでいるような気がしてきた。
総司「行きたいんだけれど…行けないんだ。…まだ…会いたい人がいるから…」
総司は手を下ろした。…会いたい人…。
その顔がふと浮かび、涙があふれ出てきた。
総司「…だめだなぁ…すっかり涙もろくなってる…。」
そう呟いた。
そして、手の平で涙を拭った。
総司(礼庵殿…今、どうしているのだろう…?)
そう思って、またあふれる涙を拭った。




