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第27話

総司の療養所―


総司は、姉みつに監視されながら、昼ごはんを食べていた。


総司「…姉さん、そんなににらまないでよ…。ちゃんと食べるから…」


みつは首を振った。


みつ「だめよ。そんなこと言って、いつも残しているじゃないの。」


総司は首をすくめて、必死に飯をかきこんだ。

京では、一人で食べていたため、こうして人に見つめられて食べることはほとんどなかった。

食べたくないものは残して、知らん振りをしていればよかったものを…。


正直、今の総司の食事は、病人用のように味が薄かった。そして、いつも食べなれない「豚」の肉…。

口に入れれば最後、どんなに噛んでも、いつまでも口の中に残っているのである。

総司はそれを、いつも茶で飲み下していた。


みつ「…ねぇ、総司…。そんなにまずそうに食べないでよ。」


みつに言われ、総司はぎくりとして姉の顔を見た。


総司「…これ、姉さんが作ったの?」


みつは吹き出して、首を振った。


みつ「違うわ。…でもね、人に作ったもらったものを、そんな顔して食べるものじゃないわ。」

総司「…そうだね…」


総司はそう言いながらも、同じ表情でご飯を食べていた。

が、突然、顔をあげ、みつを見て言った。


総司「…姉さんの作った食事が食べたいな。」


みつは驚いた。


みつ「…私の?」

総司「うん…」


みつは正直とまどっていた。


みつ「…でも、私の味付けって…いつも濃い目で…あなたの体には合わないと思う…」

総司「私の体に合うとか、合わないとか…そんなこと、どうでもいいんだ…。姉さんの手料理が食べたい。」


総司の真剣な表情に、みつの目に涙が溢れた。


みつ「わかったわ。…じゃぁ、今晩のおかずは私が作るわね。」


総司の目が輝いた。が、みつは表情を厳しくして言った。


みつ「このご飯を全部食べないと、作らないわよ。」

総司「!」


総司はぎくりとした表情をしたが、やがて微笑んだ。


総司「わかりましたよ、姉上。」


そう言うと、総司は一生懸命に食事をはじめた。まるで子どもの時を思い出させるような総司の反応に、みつは溢れる涙を抑え切れなかった。

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