表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/101

第25話

総司の療養所―


総司はいつものように、縁側に座り、外を眺めていた。

まだ、近藤の訪問を夢のように感じている。


その時、総司の部屋に入るふすまの前で、姉のみつが表情を固くして座っている。


実は、主人が遣えている庄内の藩主が江戸を引き払い、帰ってしまった…という話を聞いたからである。

藩主が帰ってしまったのなら、藩士である夫も帰らねばならない。

…ということは…総司をおいて、江戸を出なければならないということになるのである。


みつ(…どうしよう…)


みつは、総司をおいて江戸を離れたくない。しかし、この時代には、夫から離れるわけにもいかなかった。


みつ(その時になるまで黙っておこう…)


みつは結局、そう決心した。

どうしても今は、総司には言えない話であった。


みつは、必死に表情を明るくして、ふすまを開いた。


みつ「おはよう、総司。」


総司はいつもの微笑でみつに振り返った。


総司「おはよう。姉さん。」

みつ「今日は顔色もいいようね。…さぁ、汚れ物を出して。洗ってあげるから。」

総司「うん。…いつもごめんね…。」

みつ「いいえ。どういたしまして。」


みつはつとめて明るく見せた。総司との別れが迫っている。しかし、総司にそれを悟られたくなかった。

…それでも…必ず別れの日は来てしまうのである。

今のみつには、その時のことを考えないようにするしかなかった。


総司「姉さん、今日はいい天気だね。…だんだん暖かくなってきたし…」


総司が明るい声で、みつに言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ