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第23話

総司の療養所―


近藤の訪問は短い時間だった。

涙に暮れる総司の肩を何度も叩き、


近藤「早く元気になって、また私を助けてくれ。」


と言いながら、総司と同じように涙を流していた。

そして、見送る総司の姿に何度も振り返りながら、帰って行ったのだった。


総司は、近藤が帰ったあと、ぼんやりと縁側に座っていた。

夢のような気もする。近藤の手が自分の体に触れ、そしてその声を直に聞くことができたこと…。


総司「近藤先生…。きっと…いつか必ず…先生のおそばへ参ります。」


総司はどこを見るともなく、そう呟いた。


その時、突然の訪問者にどこかへ隠れていた黒猫が姿を現した。

ぼんやりと遠くを見ている総司を、庭にお座りをして、きょとんとした目で見つめている。


総司はその黒猫に気づき、にっこりと微笑んで「おいで」と膝を叩いた。

黒猫は、ひょいと縁側に飛び乗り、総司の膝の中に丸くなった。


総司「黒猫殿…。私は今、夢のような時間をすごしていたんだよ…。会いたかった人が…わざわざ会いに来てくれたんだ…。夢かうつつか…今でもわからないんだ…」


総司は黒猫の体を撫でながら、そう言った。黒猫は目を閉じ、じっと総司の膝に丸くなっている。


総司「…そうだ…黒猫殿のことを紹介するのを忘れていたよ。…近藤先生に…。」


総司は丸くなっている黒猫を抱き上げ、顔の前へとかざした。


総司「また、会えるかなぁ…。…今度は私の方から、先生に会いに行かなきゃね。」


黒猫はまんまるに目を見開いて、総司の嬉しそうな顔を見つめていた。

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