第22話
総司の療養所―
近藤は、自分の前にひれ伏している総司の肩を叩いた。
近藤「よしてくれ、総司。…さぁ、顔をあげて…」
近藤に言われ、総司は濡れた顔をあげた。
近藤「…何を泣いている…総司…?」
近藤にそう聞かれ、総司はしゃくりあげながら、近藤に言った。
総司「…もう…もう…会えぬと思っておりました。…先生の夢は見ても…二度と会えぬと思っておりました。」
近藤「…総司…」
近藤も目に涙を浮かべて答えた。
近藤「すっかり、気が弱くなっているようだな、総司。…憶えているか?お前は、どんなことがあっても、私と歳さんについていく…と、江戸を出る時、言っていたんだぞ。」
総司「はい!…そのつもりでおりました。…でも…この体では…先生の足手まといになるばかりだと…」
総司はぽとぽとと畳に涙を落としながら言った。本心だった。
近藤は、総司の背を撫でながら言った。
近藤「おまえが私の足手まといになるとは思わん。…でも、総司…お前をそれほどまでに気弱にさせている病をなんとかせねばな。」
総司は黙ってうなずいた。
近藤「早く元気になってくれ。…そして、京でいた時のように、私を助けてくれ…。その日を…楽しみにしているぞ。」
総司「はい、先生!…きっと…きっと先生のおそばに…!」
総司は泣きながら答えた。近藤は、涙を目に浮かべながら、何度も何度も総司の背を叩き、うなずいていた。




