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第118話:未来に向けて

 アンジェルムの街へ向かう俺とメルは、日のあるうちに歩き進め、夜は地下でやり過ごした。


 最初は気を使ってくれていたメルだけど、猫ハウスを作ることが決まってからは、ウキウキモードでご機嫌状態。どんな形にするのか話し合ったり、要望を聞いたりして、早くも完成予想図を描き終えている。小さな家を建てるだけだし、建設作業だけなら一日で完成するだろう。


 メルが住むに相応しい可愛い猫ハウスにするため、数日かけて装飾を作りこむつもりだけどな。


 なお、本拠点はリズが帰ってくるまでに出来上がればいいので、後回しにする。メルの生活環境を整えることが、最優先だ!


 そんなこんなで一週間経過すると、アンジェルムの街に到着。メルが拠点に向かうことを急かすなか、先に冒険者ギルドに足を運んで、エレノアさんに事の経緯を説明した。


・王都でこなした依頼のこと。

・リズが魔法学園に留学すること。

・卒業したら遊んでやってほしいこと。


 依頼を受けて戻ってきたのはいいものの、リズと一緒に帰ってこなかったから、エレノアさんは少し寂しそうだった。ノルベール山を採取したことを伝えたときは怒られるかと思ったけど、「無事に帰ってこられたのなら、クレス王子の顔を立てましょう。おかえりなさい、ミヤビくん」と、暖かく迎え入れてくれた。


 ギルド職員である以上、詳しい依頼内容を知っていただろうし、ずっと心配してくれていたんだと思う。クラフターの除名騒動もあったけど、国や生産ギルドがお手上げ状態になるほどの街道整備なんて、本来は、相当危険な依頼に分類されるはずだから。


 思わず、エレノアさんに「ただいま」と、心の底から安堵するように声が漏れてしまったよ。しばらくは俺も冒険者活動を中止するけど、定期的に顔は出そうと思う。


 冒険者ギルドを離れた俺とメルは、次に商業ギルドに立ち寄って、元々ある屋敷を取り壊すことを報告した。


 色々と書類を作らなければならないみたいだけど、元々取り壊し可能だったため、俺がやることはほとんどないらしい。取り壊しや建設時に近隣の方に迷惑をかけないように……的な注意事項が書かれた書類にサインをして、すぐに終わらせることができた。


 暇そうなメルに、何度も袖を引っ張られたけどね。冒険者ギルドでは大人しく付き合ってくれたのに、もう限界だったみたいだ。こういう我慢できないところは子供っぽいんだよなー。


 取り壊しの許可を得た俺たちは商業ギルドを後にして、すぐに拠点へと向かった。


 到着すると、猫ハウスを楽しみにしているメルがタタタッと駆け出して、地面を指で差す。


「……入り口のすぐ横がいい」


 番犬みたいなポジションだな、と思いつつも、本拠点の邪魔にならない場所なら全然アリだ。メルの意志を尊重して、入り口付近に猫ハウスを建設しよう。


「じゃあ、猫ハウスはその辺りにするけど、新しく建てる本拠点のサイズとも相談したいから、先にボロ屋敷を取り壊すよ。完成図を明確にイメージしないと、住み心地が悪くなるんだ」


「……今日中にできる?」


「さすがにそれは厳しい。限られた場所に大きな建物を建てる場合、微調整が必要になる。猫ハウスに住むのは、頑張っても明日の夜かな」


「……頑張れ、ミヤビ!」


 文句言わずに応援できるなんて、メルは偉いっ!


 メルの応援パワーでやる気をみなぎらせた俺は、ボロ屋敷を撤去するため、ブロックで足場を組んでいく。それが完成したら、あとはピッケルを使って、上から順番に取り壊し始める。


 異世界にやって来て、ようやく自分が住み続けるマイハウスを建てられるようになるとは、感慨深い。領主邸に配慮して、それより小さいものでなければならないけど、リズとパーティ拠点で使う程度なら、かなりの広さになる。


 問題は……リズにどういうサプライズを用意するか、だよな。領主邸よりも小さい時点で驚きは減少するし、巨大な架け橋を作った以上、新しく猫ハウスができたぐらいでは、リズも驚きはしないはず。


 半年後、久しぶりに会ったリズに「で、他に何があるの? ミヤビのことだから、もっと驚く仕掛けがあるんでしょ?」なーんて言われても困る。


 内装をこだわるにしても、最近は王城の客間で過ごしていたし、魔法学園の寮は貴族が生活するため、綺麗な造りになっていた。冷え性のリズは夏の方が過ごしやすいだろうし、どうしたら喜んでくれるものか……。


 いったんボロ屋敷の解体を中断して、ボーッと見学するメルの元へ近づいていく。


「半年後にリズを驚かせるための作戦を考えたいんだが、ちょっと相談してもいいか?」


「……相談に乗る」


 この日、アンジェルムの街に戻ってきた俺たちは、ボロ屋敷を解体しながら、リズを驚かせる方法を考えた。半年後、勉強を頑張って戻ってくるリズに喜んでもらうために。


 それが、非常識と言われ続けた俺の求められていることだと思うから。


「……屋根で肉を焼く」


「確かにそれは驚くと思う」


 相談する相手を間違えたかもしれないが、期間は半年あるんだ。ゆっくりと考えようかな。

『あとがき』


第三章、これにて完結です!

今まで寒い季節でお送りしてきましたが、次回は、リズが戻ってくる半年後。

季節は夏! 冬編が終わり、夏編へと移行します!


まだ執筆中ですけれども!!!!


今後の更新については、いったん休載して、『今年の7月再開予定』で、進めていきたいと思います。

その間に書籍化作業もありますが……、WEB本編の執筆とプロット修正作業が一番大変だったりします。


この作品、WEB版を書籍化作業レベルで作っているので、めちゃくちゃ時間がかかってるんです……。

去年の10月頃から執筆を始めて、平日6時間・休日10時間くらい作業して、毎日執筆を続けてきました。


なので、心身ともに休めたいんですよね。

これだけ毎日執筆作業に時間を割くなら、作者も書くことを楽しみたいので。

(それゆえに、何とぞ感想はあまあまで……!!)


ということで、次回は本編に合わせて、夏に更新できるように頑張っていきます。

書籍版も良い報告ができるように執筆していきますので、よろしくお願いします。


ちなみに、異世界転生転移ランキング下半期3位になりました。ぶへへへへ。

ご愛読いただきありがとうございますヾ(o´∀`o)ノ


※一時的に完結設定にしますが、第二部の夏編は『7月開始予定』に変更ありません!!


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