94話 彼女たちの覚悟
「寺都、一つ聞きたかったんだけどな」
「なに?」
「遥が持ってる『輝石』だったか、あれって寺都が作ったんだよな?」
「そうだけど」
「『美少女』じゃなくても異能力を使えるって話だけど」
「正確には、擬似異能力を。異能力ほど威力は高くない。それと、あれが使えるのは元『美少女』だけ。『美少女』やただの人間には扱えない」
今のひなこや優也に使うことはできない、と。
「アンたちなら……」
言いかけて、優也は止めた。
自分自身でその過ちに気が付いたし、なにより彼を見る一人の人物の視線を感じたからだ。
その人物はアンたちのリーダーであるカメリア。彼女の目を見る限り、名案だと喜んでいるようには思えない。
「この子たちの『結晶』を壊すなんて言い出すんじゃないわよね?」
「…………」
図星だ。
今使っている『原石』では前に起きたように暴走を引き起こしてしまう副作用がある。
その危険性を取り除こうと優也は考えたのだが、代替えとなる『輝石』は、あくまでも代替品。副作用はないにしろ、それなりのデメリットがある。そしてそれを扱わせることは、一つの気持ちを踏みにじることと同じであった。
「この子たちが、ユウヤに協力しようと決めた覚悟を無駄にするようなことは、例えユウヤが相手でも、このあたしが許さない」
「……ごめん」
「謝ることはないわ。あたしも言い過ぎたし。その気持ち、分からないでもないもの。この子たちのこと思ってくれたんでしょ。あたしだって、この子たちには『美少女』じゃなく、普通の女の子として暮らしてほしいわよ」
けど、とカメリアは言葉を続ける。
「これだけ覚えておいて。あたしたち第一部隊は本気でユウヤに協力してる。そんなものに頼るような生半可な志なんかじゃない」
「カメリアも必要ないか?」
今の彼女は『美少女』でない。いわば普通の人間と同じだ。それでいて優也たちに協力をしてくれている。それは危険極まりないことだろう。
「本当に必要になれば使わさしてもらうけど、今は遠慮しておくわ。あたしが人間でいて欲しいと願う人もいるし、死ぬ気で人間に戻してくれた人もいるからね」
「そうか。わかった」
それが誰であるのか、言わずとも知れていた。




