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美少女はじめました  作者: 針山田
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87話 それぞれの目的の為に


「よう、寺都芽久実じとめぐみ

「貴方たち……」


 寺都が、研究所第六研究室に入ると、そこには優也とひなこの姿があった。


「今度は何の用?」

「お前が探してんの、わかったぜ」

「…………」

「ここの室長だった岡谷おかや太一たいちって男だろ?」

「貴方たち、何か知ってるの?」

「残念だが知らん」


 本心を言えば、その男の行方に興味はない。


「そう。それにしても、後輩を使って色々と私のことかぎ回ってたみたいね」

「気づいてたのか」


 何か白雪がヘマをしたとは考えづらい。純粋に、寺都の感覚が鋭いだけだろう。


「岡谷を探す理由はなんだ? 単に、昔の知り合いだからとかか?」

「前にも言ったけど、貴方たちに答える義理はない」

「それは俺らが敵かもしれないからか?」

「何が言いたいの?」

「だったら、岡谷を探すのを俺らも協力する」

「は?」


 予想外の優也の提案に、寺都は自身の耳すらも疑った。


「協力? 私に? またなぜ」

「その代わり条件が二つある。一つは、寺都、お前の目的を話してくれ」

「もう一つの条件は?」

「それは詳しく話せないが、人をかくまってほしい」

「どういうこと?」

「この提案をのんでくれて、お前の素性が知れたら説明するかどうか決める」

「なにそれ。内容も聞かないのに、交渉に応じろっていうの?」

「二つ目に関しては詳しく話せないことでもあるんだ。理解してくれ」


 むやみやたらに話せば、優也の命、いや、存在そのものに危機が及んでしまう。


「それで。交渉は成立か? 決裂か?」

「考えるまでもなく、決裂」

「なぜだ?」

「この交渉の結果、私に対するメリットがわからないから」

「メリットならある」

「なに?」

「この建物を好きに調べてもいい」

「それだったらすでに——」

「お前も薄々気が付いてるかもしれないが、ここには今誰もいない。その理由は言えないが、この建物は俺らが占拠してる状態だ。たしかに立ち入るのに俺らの許可は必要ないが、ここは俺らも調べてる。俺らの仲間と出くわすのはお前としても具合が悪いだろ?」


 自分たちと手を結べば、そんなことを気にせずに研究所を調べ尽くすことができる。

 ちなみに、そのことを、ここの調査隊のリーダーともいえるカメリアに確認してすらいないけど。

 しばらく悩んだ様子で黙っていた寺都。


「……やっぱり決裂」

「なんでだよ」

「この交渉、たしかに私へのメリットもあるかもしれない。けど、蓋を開けてみれば、不平等。明らかに貴方たちへの利点の方が大きい」

「どういうことだ?」

「だって、貴方たちからの提案は半永久的なもの。対する私への利点は岡谷を見つけ出せば終わってしまうもの。貴方たちの方が得をしている」

「それなら、岡谷を見つけたら、俺らから手を切ってもいい。それまで協力してくれ」

「手を抜いて、協力を引き延ばされる可能性がある」

「最善を尽くす。そう誓う」


 一体寺都は、どこまで心配性なんだか。しかし、きっとそうではなく、優也が信用されていないのだろう。


「それを信じろっていうの?」

「そこはお前に任せる」


 しばしの沈黙。

 正直断られてしまっても仕方がない。優也と寺都は、つい先ほどまで赤の他人。なんなら、今もその関係に変わりはない。

 そんな関係の相手が、協力するから手を組もうと提案してきてるのだ。

 信じてくれ、と頼む方が土台無理な話である。


「…………わかった。貴方たちに協力する」

「本当か⁉︎」

「ただし。さっきの言葉は忘れないこと。岡谷の捜索が最優先。彼を見つけたら、悪いけど私は手を引かせてもらう」

「それでもいい。ありがとう」


 それまでの協力者だというのならば、それでいい。彼女と縁を切った後、新たな人を探すまでだ。


「これからよろしくな、寺都」

「こちらこそ。『石崎』優也に、『明元』ひなこ」


 協力者の証と言わんばかりに手を差し出す寺都。

 そんな彼女の言葉に、優也は応じかけた手を止めた。


「……なんで、お前、俺らの名前を」


 前に彼女に伝えたのは、『橋田』優也と、『原』ひなこだ。完全なる偽名である。


「貴方たちのことは、最初から知ってた」

岡谷おかやからか?」

「それもあるけど、ここには貴方たち二人のことを書かれた書類もあるから」

「そうだったのか」


 それでいて、知らなかったとはいえ、あの時優也は迷うことなく偽名を伝えたのか。

 通りで彼女からの信用が皆無に等しいわけである。


「改めて、俺は石崎いしざき優也ゆうや

「わたしは、明元あかりもとひなこ」

「寺都芽久実。短い間だろうけど、よろしくお願い」


 双方手を握り、協力を誓い合った。


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