番外四話 四月十六日
「えぇぇ!?」
四月十六日の朝一番、五奇の大声が木霊した。というのも……。
「今日が鬼神さんの誕生日だなんて、訊いてないよ!?」
そう。今日が鬼神乙女の誕生日だったのだ。それに気づいたのは偶然で、鬼神宛に届いた荷物を五奇が受け取ったら、それがプレゼント用の包みだったために不思議に思い本人に訊いてみたところ返ってきた答えが、
「……家族から……その、誕生日だからって送られてきたんだよ! 文句あんのか、このヤロー!!」
その話を聞き、さきほど五奇が上げた大声によりリビングに降りて来た等依と空飛に相談することにした。もちろん、鬼神への誕生日プレゼントを買うためだ。
当の鬼神は断ってきたが、ここでプレゼントを用意しないというのは三人の選択肢にはなかった。
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「とゆーわけで……来たわけっスけど……。なぁ空飛ちゃん?」
等依が珍しく困惑した声色で尋ねれば、空飛が不思議そうな顔で答える。
「なんでございましょうか? 早く、選びましょうでございます!」
彼らが今いるのは、大型ショッピングモールのぬいぐるみコーナーだ。
「その……確かに鬼神さん、ぬいぐるみ好きみたいだけどさ? 空飛君……男三人でこのコーナーにいるのは……キツイっていうか……」
「ん? 別に問題ないでございましょう? 僕は育った孤児院に送るためによくこういうコーナーに来ますでございますし! さぁて、どれがいいでございましょうかね?」
話を全く聞いていない空飛に、閉口するしかない五奇と等依は空飛に選ぶのを任せることにした。
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「……おい」
帰宅した三人を不機嫌そうな、でもどこか期待しているかのような複雑な顔をした鬼神が出迎えた。そんな彼女に、三人を代表して五奇が買ってきたぬいぐるみを手渡す。
「鬼神さん! ハッピーバースデー!」
プレゼントしたのは大きいピンクのうさぎのぬいぐるみだ。彼女はめんどくさそうな表情で受け取ると、小さく、
「……ありがとよ……」
そう返した彼女に三人は微笑み、準備を始めることにした。
彼女の誕生日パーティを行うために──。




