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第26話 「正宗監禁事件」

「ここがホープタウンの冒険者ギルドなんですねぇ」


 ぽわぽわとした娘が、冒険者ギルドの前をうろついている。

 年は13歳ぐらいだろうか。

 ずいぶんと甘ったるい声の少女だ。


 彼女がひょこひょことおっかなびっくり冒険者ギルドを覗くたびに、ふわふわとピンク色の髪が揺れ動いていた。


「どうかしたか?」


 危険性はないだろうと判断した俺が声をかけると、少女はぴょんとその場で飛び上がった。

 それから小動物のような顔をこちらに向けてくる。


 くりくりとして大きな瞳が特徴的だ。

 ビジュアル(だけ)がすぐれた女に囲まれている俺だが、この子は久々に大当たりの部類に入るだろう。

 ふわっと広がる花柄のワンピースから見るに、いいところのお嬢様か。


 冒険者ギルドの前でうろうろしていると、変な男たちに捕まっちまうぞ。

 ホープタウンには頭のおかしなやつしかいないからな。


「はわわ、ぼ、冒険者の方ですかぁー?」

「ああ、そうだが」

「ほっ、声をかけてくれたのが優しそうな方でよかったですぅ」

「そういう評価をもらえるのは生まれて初めてのような気がする……」


 嬉しいとかそうじゃないとか以前に。ただただ戸惑っている俺がいた。


 人好きのするような愛嬌のある少女だった。

 ニコニコとした彼女は、俺の手を取る。


「あ、あのあのぉ、あたし、知り合いがいるって聞いてここにやってきたんですけどぉ……。もしかしたら、知っていたりしますかぁ?」

「ほう」


 わざわざホープタウンに尋ねてくるような知り合いか。

 となると外からやってきた、ナルやジャック、キキレア辺りが怪しいところだな。


「そいつの名前は?」

「その子はぁ、えっとぉ」

「――こら、勝手にどこかに行くんじゃない!」

「ぴょっ」


 発せられた叫び声に、少女は飛び上がって驚いた。

 ぎこちない動作で振り返ると、そこには長身の女性が立っている。


 剣呑な雰囲気はキキレアに似ているかもしれないが、立ち振る舞いはナルのそれだ。

 徒手だが、恐らく近接戦闘職なのだろう。革鎧を身に着けていた。


「ごめんなさぁい、ユズハちゃん」

「まったく……。目を離すとすぐにこれだ」


 珍しい取り合わせだ。

 お嬢様と、そのボディーガードなのかもしれないな。


 ユズハと呼ばれた女性は、この世界では珍しい長い黒髪を耳にかけ、こちらをじろりと睨みつけてくる。

 ふむ。


「……この子がなにを言ったかは知らんが、それはすべて圧巻のジョークだ。そうだ、この子は帝都イクリピアから来た圧巻のコメディアンなのだ。近々この辺りで公演を行なう。その際はよろしく頼む」

「お、おう」

「ユズハちゃん、前から思っていたけどそのごまかし方はムリがあるよぉ……」

「無理などない。圧巻のごまかし方だ。では失礼する」


 そいつは頭を下げると、少女の手を引いた。

 少女は後ろ髪を引かれるような顔をしながらも、こちらに小さく手を振る。


「またね、お兄ちゃん」


 つられて俺も手を振り返す。

 ……お兄ちゃん、か。


 なにはともあれ、俺は眉をひそめる。


「またなんか、変なやつが現れたもんだな……」




 ギルドの中に入ると、愁いを帯びた顔の美少女がいた。

 美形っていうのは、いい風に解釈されるから得だよな。


 ようするに、キキレアが暇そうにぼーっとしていたわけだが。


 俺はエマに紅茶を頼み、チップの銅貨を手渡すと、同じテーブルに腰を下ろす。


「ようキキレア。薬草摘みにいかないのか?」

「やめてよね……。もうしばらく薬草は見たくないわ」

「そういえばさっき、冒険者ギルドの前に女の子が来たんだけどさ、お前の知り合いか?」

「ん……、どんな子?」


 俺はざっと外見の特徴を説明するが、キキレアはピンと来ない様子だ。


「ちなみにかわいい子だった?」

「そうだな、結構なもんだったよ」

「じゃあやっぱり心当たりないわ。私、顔がいい子は妬ましいから、絶対に覚えているはずだもの。私の知り合いじゃないわね」


 いつものキキレアだな。

 なんだか逆に、話していて落ち着くよ。


「じゃあナルの知り合いかね」

「あ、ナルルースって言えば――」


 と、そこで、エマが紅茶を運んできた。

 初めて見る者なら一撃でノックダウンされそうな、完璧な笑顔を浮かべていた。


「お待たせしました、お客様。こちらお熱くなっておりますので、お気を付けくださいませ。うふ、なんだったらフーフーいたします?」

「いや、いい。置いといてくれ」

「うふふ、かしこまりました。――あ、そこのチップも払えないようなスーパー貧乏なお客様はとっとと出ていってくださいすよ。貧乏がうつるんでー」

「うっさいわ死ね」


 去ってゆくエマと毒づくキキレアを見比べ、俺は紅茶をすする。


「キキレア、お前ジャックからもらった金貨はどうしたんだよ」

「全部フラメル神殿に捧げたわ。おかげで一文無しよ」

「じゃあさっさと薬草取って来いよ、スーパー貧乏人」

「なんなの!? なんでそんなに私のこの野良仕事ひとつしたことがないような手をボロボロにさせたがるの!? せっかくファイアボール覚えたんだから魔物の討伐にいきましょうよ! あんた暇してんでしょ!」

「やだよ。だって俺は金あるし」

「きさまああああああああああ!」


 首を絞めてこようとするキキレアをいなしている、と。

 冒険者ギルドの扉が音を立てて開いた。


「まっさむっねく~ん♪」


 緑色の髪をしたエルフの美少女アーチャー。

 ナルが浮かれポンチのような、満面の笑みで入ってきた。


 彼女は躰をモジモジとしながら、俺の隣に腰を下ろす。


「ねえねえマサムネくん、マサムネくん、ああマサムネくんに会えるなんてきょうはいい日だなあ、ねー、ねー♪」

「お、おう」


 なんだこいつ……。

 俺の左腕をぎゅっと掴んで、そのまま自分の胸元に押し付けるようにしてくる。


 ナルはとびっきりの貧乳エルフだから、感触はまったくないが……。

 手のひらをその細い指でずっとこちょこちょされているため、とにかくこそばゆい。


 見ろよ、キキレアも引いているじゃねえか。


「……な、ナル、あんたどうしたの」

「えっ、あっ、やだなあキティー。あたしはなんでもないよ♪」

「そ、そお……? あ、もしかしてあんた、気分が前向きになるポーション飲んでる?」


 ああ、そういうことか。

 しかしナルは、笑顔を崩さない。

 おもむろに財布を取り出した。


「ねえねえキティー。ちょっと雑貨屋でお水買ってきてくれないかな?」

「はあ? 水ぐらいここで注文すれば」

「銀貨一枚あげるから」

「いってくるわ」

「いってくるす!」


 キキレアはナルの手から銀貨をひったくるように奪い、走ってゆく。

 なぜかエマも一緒に冒険者ギルドを出て行ったが、いいのか。給仕が誰もいなくなっちまうぞ。


 ナルは俺の胸元を指でつんつんとつつく。

 そのままぐりぐりと鎖骨を撫でまわすように。


「ね、マサムネくぅん……これで、ふたりっきり、だよね?」

「お、おう」


 ナルは手に持っていた水筒をキュポッとあける。


「ね、ね、喉乾いてない!?」

「……は?」

「ね、乾いているよね、ね、ね! わー、ちょうどよかったー、あたし今とってもおいしいジュース持っているんだやったねー!」


 ナルは強引に話を進めると、コップにその液体をそそぐ。

 毒々しいし、なんか泡立っているし、変な臭いするし……。


「ね、ね、ね、ほら、飲んで、ね、いっきに、いっきに、ね、ね!」


 ナルの目がぐるぐると回っている。

 なんだか知らないが、やばい予感しかしない。


 なんだなんだ。

 俺に何を飲ませようとしてやがるんだ、こいつ……。


「な、なあ、これ、なんか変な臭いするんだけど……」

「良薬は口に苦しって言うでしょ! 大丈夫! 心配無用! 言語道断! へーきへーき! とぉってもいい気分になれるんだから!」


 別にそんな気分になりたくない……。


「よ、よかったらナルが先に飲んでくれよ。別にお前を信じていないわけじゃないんだが、ちょっと不安でさ」

「えっ――」


 ナルの頬がぽっと赤く染まる。

 こいつはわなわなと震えながら、手元の液体に視線を落とした。


「あ、あ、あ、あ、あたしがこれを……?」

「お、おう」

「そ、そんなっ、だめだよマサムネくん! あたしがこれ飲んだら、これ飲んだら、だって! 絶対ヘンになっちゃうもん! ムリだよ! これ以上ごにょごにょしちゃったら死んじゃうもん!」

「てめえは俺に何を飲ませようとしてやがったんだああああああああ!」

「やあああああああああああああああああああああ!」


 俺はナルの口にその液体を無理やり突っ込む。

 ったく、油断も隙もねえやつだ。


「ああああああああああ」


 口の端からぼだぼだとよだれを垂らしながら、ナルはその場に突っ伏していた。

 エルフの濡れた瞳が、俺を捉える。


「ううううう、マサムネくんのぉ、マサムネくんのせいだからねぇ~~~~…………」

「ざっけんな! 五百パーセントてめえのせいだろ!」

「マサムネくんが悪いんだからあああああああああ!」


 立ち上がったナルが吐息を吹き出し、揺らぐ。

 その次の瞬間だった。


「――」


 ナルが俺の視界から消え失せる。

 後ろに回り込まれたのだと気づいた時には、もう遅かった。


「――おま」


 凄まじい衝撃が首筋に叩き込まれて――。

 ――俺の意識は闇に落ちた。





 ――目覚めたのは、暗闇であった。

 いや、うすぼんやりと蝋燭の火が揺れている。

 なんだろう、ここは。


 思わずピッカラを使おうと思ったが、しかし腕が動かない。

 誰かに見られている気配を感じる。

 なんだなんだ……?


 目を凝らすと――。

 そこでぬっと姿を現したのは、ランプを手に持ったナルだった。


「うおう!」


 彼女はニコニコと微笑みながら、俺を見下ろしている。

 妙に嬉しそうな笑顔であった。


「お、おい、ナル。なんだお前、なにやってんだおい、ここはいったい!? って、なんだこれ!? 手錠!?」

「えーへへへへへへ――」


 俺は地下牢のような場所に大の字になって寝かされていた。

 両手両足は手錠でくくられていて、びくとも動かない。


 ナルは歯車の外れたおもちゃのように笑っている。

 こええ。


「おい、ふざけんな、ナル! なんで俺がベッドに縛り付けられてんだよ! 今すぐこれを外さないと容赦しねえぞ! おいナル!」

「だーめ♪」


 ナルの人差し指が俺の唇の上に乗せられる。

 その笑顔には食虫植物のような毒があった。

 お前はそんな顔をするような娘じゃないだろう、ナル。


 さてはあの液体か。

 あそこに謎の成分が入っていたのか――!


「えへへへえ、マサムネくんが悪いんだからねぇ……。勝手に奥さんを作ったり、キティーを口説いたり……。あたしがこんなにマサムネくんのことを想っているのにぃ……」


 ナルはわけのわからないことを言い、俺にしなだれかかってきた。

 美少女の良い香りが俺の鼻腔をくすぐる。

 脳髄がとろけるような感覚であった。

 こいつ、こんなに色っぽかったのか……?


 って、惑わされている場合じゃない!


「いいから手錠を外せ。な? な? 今なら悪いようにはしない。百叩きで勘弁してやるから、な? ほら、ナル、いい子だから」

「やぁだぁ」

「嫌だと!?」


 ナルの白い指先が俺の胸元を撫でる。

 それはそのまま、ゆーっくりと俺の胸を辿ってゆき……。

 ちょ、ばか、やめろ! どこまでいくつもりだ!


「ええい、ナル! 俺の言うことを聞け!」

「マサムネくんだってあたしの言うこと聞いてくれないじゃん! でもそんなところも好き! 好き! 大好き!」

「さっきからお前の目に光がねえんだよ!」


 こええんだよ……。


 くそ、いいじゃねえか、この野郎。

 だったら実力行使だ。


「来い、バインダ――」


 と、俺は動かない手でなんとかバインダを呼び出す、が。

 それをナルにひょいと奪われてしまった。


「ああっ、貴様!」

「もう何度も何度もマサムネくんの力、近くで見ているんだよ? あたしはマサムネくんのこと、なんでも知っているんだからぁ……」

「だったらこれもかよ!」


 ナルの手の中のバインダが消えて、再び俺の手の中に収まった。

 呼べば何度だって来るんだよ、このバインダはな。


 さて、お仕置きの時間だ――。


 だが今度は、ナルに手のひらをすっぽり覆うような枷をはめられる。

 レイピアのナックルガードのようなものだ。


 ……。


「だーめ♪」


 カードを使うためには、手のひらに持たなければならない。


 うむ。

 ……うむ。


 ナルは満面の笑みで、俺の腰の上にはしたなくべたんとのしかかってくる。

 女の子の体重がもろにかかってきて、体温が伝わってくる感触に、俺は顔をそむけた。

 ナルはその指で、俺の頬をもてあそぶように撫でる。


「ねえ、マサムネくん……♪ 大丈夫だよ、あたしがずっとずっとマサムネくんのそばにいるからね……。ね、ふたりで幸せになろ……? ねえ?」


 くたりと寄りかかってきたナルは、俺の耳をはむはむと甘噛みする。

 背筋に電撃が走るような感触が、こそばゆい。


 俺は目を閉じて、深い深いため息をつく。

 くそう……。ナルのくせに……。


 ――こうして俺の監禁生活が始まった。



 食事はナルが運んできてくれて、俺にあーんをする。

 最初こそ抵抗をしていた俺だったが、意地を張ったところで意味がないと気づいてしまった。


 まあ、俺とナルがいなくなったと気づいたら、キキレアかミエリ辺りが、探しに来てくれるだろう。

 そういうことで、なんかもう俺は達観していた。

 どうせ出られないしな……。


「ナル、味付けはもうちょっと濃いほうがいいな」

「はぁい♪」


 ナルは献身的に尽くしてくれているし……。

 なんか、考えるのも疲れるし……。




 監禁生活二日目。


「うううううううう……」


 ナルは牢屋の隅っこで頭を抱えていた。

 なんでも、クスリが切れたらしい。


「いったいなんだったんだよ、ナル」


 俺はベッドに横になりながら(というか、それしかやることがないからだが)ナルに話しかける。


 ナルはぐすぐすと鼻をすすりながら、こちらを見た。


「あのぉー……実はぁ……」

「ん」

「エルフには、代々惚れ薬の作り方が、伝わっているんだよね……」

「ほう」


 エルフと惚れ薬とか、あんまり接点ないような気がするんだが。

 しかし、ナルは首を振る。


「エルフってほら、長命な種族でしょ……? だから、繁殖期とかないんだよね。そのときになったら、おクスリを飲んで、子供を産む準備をするの。それでなんだけど……」

「はあ」


 ナルはその場に正座して、顔を真っ赤にしていた。

 ようやく恥じらいの心が戻ってきたようだ。


「……うう、あたしがどうかしていたんだよお……。まさかマサムネくんに、あんなの飲ませようとしちゃうなんて……。人の心をクスリでどうにかしようだなんて、あたしが間違っていたんだ……。うううう……」

「まあ結局お前が飲んじまったけどな」

「うううううううう……」


 これ以上ないほど恐縮したナルは、こちらを上目遣いに窺う。


「……怒っている、よね?」

「んー」


 俺は首をひねる。

 確かに昨日は怒っていた気もするが……。


「別に……」

「別に!?」


 ナルはずざざざと俺の足元にやってくる。


「だ、だってミエリさんやキティーと、離れ離れにさせちゃって……」

「いや、あいつらは別にどうでも……」

「どうでもいいの!?」


 よくはないかもしれないが、まあ気にならないな。

 あいつらはあいつらで生きていけるだろうし。


「だ、だってミエリさんやキティーのこと、好きなんじゃ……」

「いや、特には……」

「そうなの!?」


 さらにさらにナルが距離を縮めてくる。

 ナルの唇は震えていた。

 首を伸ばせばキスすらできそうな距離だ。やらないが。


「だ、だったら、……あ、あたしと……。ここでずっと、……暮らす……?」


 彼女らしくないか細い声を前に、俺は。


「それもいいかもなあ」


 そんなことをつぶやいた。




 監禁生活三日目。


 相変わらず、ナルはかいがいしく世話をしてくれていた。

 腹が減ったと言えば食事を用意してくれて、眠いと言えば膝枕をして子守唄を歌ってくれる。


 ナルも楽しそうだし、嬉しそうだ。

 俺たちはふたり、この牢屋で過ごしていた。


 ああ、そうか。

 俺の求めていた楽園はここにあったのかもしれない。


 ここでは誰かに突っ込みを入れることもなければ、怒鳴ることもない。

 手に入れた屑カードにため息をつくこともない。


 いいじゃないか。

 もうここで暮らせばいいんじゃないかな。


 うん。

 いいじゃないか。


「じゃあマサムネくん、ちょっとお買い物にいってくるね。いい子にしているんだよ」

「ふぁい」

「えへへ、いいこいいこ……」


 俺の頭をなでる指の感触が、心地よい。


 さて、また寝ようかな。

 それとも天井のシミでも数えて待とうか。

 ナルがいなくなると、一気に暇になっちゃうんだよな。

 早くナル帰ってこないかなあ。


 ナルが夕食の買い物へと出かけている間に。

 ――俺のもとにやってきたのは、頭に刃を生やした謎の少女であった。


「頼むから、もう出て行ってくれんかの……。ふたりでどんどんダメになっているのを見ていられんのじゃー……」


 リューだった。






 ふー。

 俺は手首をさすりながら、町を歩いていた。


 なんだか長い夢を見ていた気がする。

 辺りが夕暮れだから、なおさらそう感じるのかもしれないな。


 かくして俺はリンゴを食べたわけでもないのに、楽園を追い出されてしまった。


 三日ぶりの外か。

 とりあえず冒険者ギルドに顔を出してみるか。

 捜索届とか出されていたら、困るしな。


 そんなことを考えながらのんびりと歩いていく。

 ああ、夕焼けが美しいなあ。


 おっと、走り回っていた近所のガキが勢い余って俺の足にぶつかっちまったな。

 こらこら、前を見ないと危ないぞ。ははは。


 さ、冒険者ギルドの前だ。

 みんなは元気にしているかな、と。


 ドアを開けた俺が見たものは――。


「ついに見つけたぞ、お前が噂の男だな、――マサムネ」


 壁際に追い詰められたジャックと。

 ――その前に立つ、あの長身黒髪の美女。ユズハの姿だった。


 何事。


 


 作者より一言:


 なんだか手首が痛いので、明日の更新はおやすみします。

 痛いよー、キーボード打つと痛いんだよー。

 一日たっぷり休めばよくなると思うからー。ごめんねー。

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