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ひなた

 わたしの名前はたかなし ひなたといいます。


 お父さんの仕事で、新しいお家にひっこしてきました。

 それからお家のすぐ隣にあるお家に、ひっこしの挨拶に行きました。

 そこには、とてもきれいで美人なおねえさんがいました。

 おねえさんのなまえは、たかぎ れいな。その日から、れいなおねえちゃんって呼ばせてもらっています。

 

 れいなおねえちゃんは、冬休みというすこし長い休みらしく、よくひなたと遊んでくれます。

 きれいでやさしくて、いろんな事を知っているれいなおねえちゃんを、ひなたはすごく好きになりました。



 「きょうもね、れいなおねえちゃんにいっぱい本を読んでもらったの!」


 「そうかい、それはよかったね。日向は本当に玲奈ちゃんのことが好きなんだね」


 「うん、大好き!」



 と仕事から帰ってきたお父さんに、今日もれいなおねえちゃんと遊んだ事を話します。 

 他にも、おままごとをやったり、ゲームをやったりといろんな事をしますが、本を読んでもらうのが1番スキです。

 たまに、ひなたの知らない難しいことばとかを教えてもらって、ちゃんと分かると頭をナデナデしてもらえるからです。

 やさしい手つきで、ひなたの頭をなでてくれる手はあたたかくて、とてもきもちいいのです。

 それだけじゃなくて、いい匂いもして一緒にいると安心できて、ポカポカするのでダイスキです。






 そして、もう少しでれいなおねえちゃんに、卒業式という日をむかえる、そんなある日。



 「あ、れいなおねえちゃんだ!」



 ちょうど、じぶんの部屋にいたひなたは、2階のまどかられいなおねえちゃんが帰ってくるすがたを見かけました。

 れいなおねえちゃんと一緒にいたくて、たまらなくなってお母さんにれいなおねえちゃんの所に行くことを伝えて走って向かいます。

 まえに、れいなおねえちゃんのお家に行ったときインターホンがならせなくて困っていたことがあって、玄関まえにひなたせんようの棒が置かれるようになりました。

 それを手にとってボタンをおします。



 「うんしょ」


 ピンポーーーーン



 すると直ぐに、れいなおねえちゃんの声がきこえてきました。

 ウズウズ、ウズウズ。

 待ちきれないひなたは、ドアがあいたしゅんかんに足に抱きつきます。 



 “れいなおねえちゃんのイイにいおい”



 さいきんは、このにおいを嗅ぐと安心します。

 お父さんやお母さんのにおいもダイスキだけど、れいなおねえちゃんのにおいが1番スキです。


 家に入れてもらい、ソファーに座りながられいなおねえちゃんが入れてくれたオレンジジュースを飲みました。

 ジュースはおいしいけど、れいなおねえちゃんと一緒に飲むともっとおいしいです。

 先に飲みおわったひなたは、一緒にソファーに座っているれいなおねえちゃんの横に落ちている手紙を見つけました。

 たぶん、れいなおねえちゃんのポケットから落ちたようす。



 “なんでしょう、これは”



 ひなたは気になって、れいなおねえちゃんに聞いたらラブレターというものらしいです。

 ラブレターは好きな人におくる手紙です。

 もしかしたら、れいなおねえちゃんが誰かに? 大好きなれいなおねえちゃんが、他の人にとられちゃう? 

 心配になってきいてみたら違うようでした。

 恋の話をきいて、ひなたもれいなおねえちゃんが好きだと言ったのですが、ちがうといわれてしまいました。あとで、お母さんにきいてみようと思います。

 ひなたがなやんでいるとれいなおねえちゃんがナデナデをしてくれました。

 すると、こころがポカポカするきがしました。れいなおねえちゃんが言う好きというのは、こんな感じなのかもしれません。


 そういえば、このラブレターを書いた人は、れいなおねえちゃんが好きで手紙をかいたんですよね。

 もしかしたら、れいなおねえちゃんもその人の事を好きに好きになったり……。

 きいてみましたが、違ったようです。

 すこし不安になっていたひなたを、



 「私は日向ちゃんの方がずーーーと好きだよ」



 そう言って膝のうえにのせてギューーーとだきしめてくれました。

 いまのことば、ちゃーんとおぼえていてくださいね♪







 ついに、れいなおねえちゃんの卒業式です。

 お祝いようのプレゼントために、お母さんとお父さんにお花屋さんに連れてきてもらいました。

 きれいなお花さんがたくさんあって、どれがいいのか分からなかったので店員さんに色々とおしえてもらいスイートピーというかわいいお花を1輪かいました。

 お金は、ひなたがお手伝いしてためたお小遣いです! れいなおねえちゃん、よろこんでくれますかね?



 先に帰ってきた、れいなおねえちゃんのお母さんたちとお家で帰ってくるのをまっていると、ついにれいなおねえちゃんが帰ってきました!



 「れいなおねえちゃん、ごそつぎょうおめでとうございます! どうぞ、これを受け取ってください」



 なんども練習したお祝いのことばをかまずに言えました!

 手に持っていたスイートピーを渡してあげると、いままでにないくらいの笑顔でお礼をいってくれました。



 「ありがとう日向ちゃん!」



 さらに、ひなたのお小遣いで買ったことを言うと、おもいっきり抱きしめられちゃいました。

 えへへ、喜んでもらえてよかったです。

 



 それから、ひなた達はみんなでお食事に行くことになりました。

 そこで、ひなたは卒業式についていっぱいききました。ひなたが色々ときくと、れいなおねえちゃんは嬉しそうにおしえてくれます。


 

 「ねぇ玲奈。誰からか告白とかされなかったの?」



 と、れいなおねえちゃんのお母さんが聞きます。

 やっぱり、きれいなれいなおねえちゃんはモテモテでいっぱい告白されたみたいです。



 “れいなおねえちゃんが、ほかのひとに取られちゃう?”



 れいなおねえちゃんが居なくなっちゃう、そう思ったら、さっきまでたのしかった気持ちもどこかへ行ってしまいました。

 そんなのはイヤです。れいなおねえちゃんは、誰にもわたしたくありません。

 ……もしかして、このきもちが恋なのでしょうか?






 お食事もおわり、家に帰るとお母さんが話しかけたきました。



 「ねぇ日向。どうした? 元気が無いようだけど」


 「お母さん……恋ってなんですか? 好きな人を誰にもわたしたくないって思うきもちは恋なのでしょうか」

 


 ひなたは、ぎもんに思ったことをききます。



 「恋? 確かに誰にも渡したくない、自分だけのモノにしたいって思うわね。日向はお利口さんだから理解出来ると思うけど、だから今日、3人の男の子が玲奈ちゃんを自分のモノにしたくて告白したのよ」



 やっぱりこのきもちは恋のようです。

 ひなたは確信しました!

 そうなると、モテモテなれいなおねえちゃんのことです。また、たくさんの人に告白されるにちがいありません。

 これはゆゆしきじたい、というやつです!



 「告白すれば、じぶんのものになるんです?」


 「告白をして、いいよってお返事が来たらね」



 なるほど!

 でも、れいなおねえちゃんがお手紙をもらったときのように、ごめんなさいって言われるときもあるのです。

 ごめんなさいされたら、ひなたのモノにならないので、それはいやなのです。




 「お母さん、どうしたら、ちゃんとじぶんのモノにできますか?」


 「そうねぇ……。日向は女の子からだったら、唇にキスをしてあげれば一発よ! なんと言っても、私はそれでお父さんをゲットしたもの」


 「くちびるですか? おでこやほっぺじゃなくて?」


 「そう、唇よ! これで一撃必殺の技よ!!!」


 「なるほど! 分かりました!!!」


 「あとね、ムードも大切で―――――――」



 こうしてひなたは、お母さんからいちげきひっさつのワザを教えてもらいました。

 いちげきひっさつって何なんでしょう? でも、すごいワザなのはわかりました!


 あとは、じっこうあるのみです!

 待っていてくださいね、れいなおねえちゃん♪



 ひなたは、れいなおねえちゃんを手に入れるために、さくせんを練るのであった!

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