そのお値段プライスレス!
サニーのおまじないのおかげで安らかな眠りについたカイリ。そしてダンジョンへ向かう当日の日を迎える。
チョンチョン……ユサユサ……ツンツン…….……。
「ムゥ〜……ムゥ?」
ん……んん? あれ? 何で俺寝てるんだ?
疑問に思いつつ身体を起こして辺りを見回したところで、今に至る経緯を思い出す。
「あ、そっか。今日もバルグさんのところで、お泊まりをしていたんだった」
……って、そんなことよりもだ! 昨日のあれは一体何だったんだよ!
ツンツン……
「ん?」
突かれた方に顔を向けて見ると、プル太郎が「おはよう」と言いたそうな感じで触手を振っている。
「ああ、おはようプル太郎。そういえばルルがいないけど、どうしたんだ?」
プルプルッ!
「えっとぉ……起きて部屋出て行った。って言いたいのか?」
隣ではサニーさんがスヤスヤ寝ているけど、マナさんの姿が見当たらない……ってことはだ。
「もしかして、マナさんと一緒に部屋を出たのか?」
そう聞くと、プル太郎は「うん!」と答えるように触手を上下に振った。
ルルだけで行った訳じゃなさそうだから、迷子になるような心配しなくてよさそう。
「でも、何でルルはマナさんに付いて行ったんだ?」
……プルンッ!
「……さぁ?」って言いたそうにしているけど、隠してないかコイツ?
そんなことを思っていると部屋のドアが開く音がしたので、そちらに顔を向けるとミレイさんがルルを抱っこしながら、サシャさんと共に入って来たのだ!
「あれ? マナさんと一緒の筈のルルが、何でミレイさんと一緒にいるんですか?」
「マナが私のところに連れて来てくれて、ナデナデしてあげてたら懐かれちゃったの」
「キャンッ⁉︎」
ルルが「おはよう!」と言いたそうな鳴き声をあげた。
「あ、ああ、うん……おはよう。それよりも、どうして一緒にいるんだ?」
「キュ〜ン」
え? 「遊んで貰った」ああ、なるほど。俺よりも早く起きて暇だったから、相手して貰ってたのか。
「お前は早起きだなぁ〜……ご飯はもう済ませたのか?」
「キャンッ⁉︎」
「まだだよ!」と言いたそうな返事が聴こえて来るのと同時に、ミレイさんが驚いた表情でこっちを見てくる。
「前から思っていたんだけど、もしかしてカイリちゃんはルルちゃん達と話せるの?」
「何となくイメージが伝わって来る感じなので、明確にはニュアンスで捉えている感じですね。でもルル達は会話を理解しているんで、普通に話しても大丈夫ですよ」
「そうなの? ルルちゃん?」
「キャンッ⁉︎」
ルルが「うん!」と言いたそうな感じの鳴き声で返事をする。
「そうなのね。じゃあ、お腹の中にいるカイトくんが産まれて来たら、仲良くしてあげてね」
「キャンッ⁉︎」
ルルの「はぁ〜い!」みたいな返事に、ミレイさんは嬉しそうな顔で俺の目の前まで来た! てか、今日はカイトくんって呼ぶんですね。
「ねぇカイリちゃん! ルルちゃんが、“私、産まれて来た子と絶対友達になるよっ!” って返事をしたよねぇ?」
「キュ〜ンッ‼︎」
「いや……そこまでは言ってないです」
ルルもそう言いたそうにしているし。
「奥様、そんなに興奮するとお腹に響きますよ」
「大丈夫よぉ! お姉様が妊娠していた頃は、もっと激しく動いてて、浮気した
旦那様のことをハイキックしてたみたいで……」
「それって、本当に大丈夫なんですか?」
下手したら、へその緒が切れる可能性がある案件じゃないか?
「奥様、皆さまはダンジョン向かわれるのですから、朝食を済ませた方がよいかと思われます」
「あら、そうだったわね。カイリちゃん。サニーを起こしてちょうだい」
「奥様、それは大丈夫だと思われますよ」
「あら、どうして? カイリちゃんと一緒に行くのだから、起こした方がいいんじゃない?」
「奥様、サニー様は起きておりますよ」
えっ⁉︎ それってマジですか?
そんなことを思っていたら、サニーさんが身体を起こしてこっちを向いて来る。
「メイドにはバレてたようねぇ〜……おはようカイリ」
「おはようございます、サニーさん……って、何で寝たふりなんてしていたんだ?」
「ああ〜……カイリ達の会話が面白くってねぇ〜。ついつい聞いて楽しんじゃった」
今の会話が面白かったぁ? そんなことないだろ。
「とにかく、ご飯の用意が出来てるんでしょ? ちゃっちゃと食べて準備しましょう」
サニーさんはそう言って、立ち上がり背伸び姿にエロさを感じてしまうのは、俺だけだろうか?
「そうですね。カイリ様も私に付いて来て下さい」
「あ、はい」
「NOとは言わせませんよ」と言いたそうな顔していたので、素直にサシャさんの後ろに付いて行き、食堂に着いた。
朝食に関しては、ルルやプル太郎が俺の食べ物をねだって来た。なのでちょっとだけ分けてあげた。その後は部屋に戻ってダンジョンに向かう為、準備を整えるのだけれども……。
「どうしてサシャさん達が、俺の部屋に来ているんだ?」
それに今日同行しないマナさんまで部屋に来ているし。
「「「まぁまぁまぁ」」」
「まぁまぁまぁ。って言葉で誤魔化そうとすんなよ!」
コイツら俺がちゃんと用意出来ているのか見に来たのか?
「カイリって、アイテムボックススキルがあるんだよね?」
「ああ、うん。マナさんの言う通りだけど、それがどうしたの?」
「じゃあ……ランタンとか持ってる?」
ランタン? キャンプで使うようなやつだよな。
「持ってないけどぉ……」
「ダンジョンによってね。明るい階層もあれば周りが真っ暗な場所もあるの。アイテムボックスがあるのなら、入れといた方がいい道具よ。
今回は私達が持って行くから、次に行く時までに用意しておいてね」
「あ、はい。分かりました」
ランタンの価格、今度調べておこう。
「それとテレポートカードを用意しておくのも忘れないで下さいね」
「テレポートカード?」
一体なんぞや? と言いたそうな顔をしているカイリに対して、サシャ達は困惑した表情で互いの顔を見つめた。
あれ? これって常識範囲内のアイテムなのか?
「カイリ、テレポートカードは瞬間移動が出来るカードなんだよ。ただ、野外とダンジョンで効果が違うから、気を付けた方がいいものなんだけどぉ……何処がどう違うか分かる?」
「え? あ……そのぉ〜…………」
ここはチュートリアルに頼るべきか? ……いや待て! テレポートカードを知らないのに効果だけは知っているなんて、流石におかしいと思われるんじゃないか?
「ゴメンなさい。分かりません」
「テレポートカードはダンジョンで使うと、入り口まで戻れるの。外の場合は一番近い街に飛ぶようになってるの」
「へぇ〜、便利なアイテム」
「うん。便利なアイテムだけど、1枚につき一回しか使えないカードだから乱用はダメなんだよ」
そこは予想してた通りだった。
と思っていたら、サニーさんが絵柄の入ったカードを1枚差し出して来た。
「はいこれあげる。使い方は至ってシンプル。魔力をカードに込めた後、足元に置けば転移魔法陣が出て来て帰還出来るわ」
「それ1枚で10人ぐらい転移させることが出来るから、使う時は声を掛けるようにしてね」
「ありがとうございます、サニーさん……このカードって、いくらぐらいなの?」
俺の予想では、かなり高いと予想している。
「1枚500レザ」
「500レザッ‼︎」
薬草5枚集めて500レザだから……薬草摘み1回やってカード1枚計算。
「高いのか安いのか分からない……」
「何を言ってるのよ。昔はこれ1枚で5000とか8000レザぐらいしていたのよ」
「倍以上の値段ッ‼︎」
「今は簡単に作る方法が出来たから、安く手に入ることが出来るようになったのよ。でも今のカイリにとっては、お財布に優しくないから大切に使うのよ」
「は、はい……」
サニーさんに返事をしながら、アイテムボックスの中へと仕舞うのであった。
こうして、カイリはダンジョンに向かう準備を整えるのであった。




