99.
聖騎士の竜一の持つ、特別な聖なる剣。
複数能力を発動させられる、凄い代物だ。
しかし欠点がある。
それは同時に能力を使えないってことだ。
「ふ……だからなんだ……?」
竜一は余裕の表情をしてる。
それが何よりも、俺の推測が正しかったと裏付ける証拠となる。
「おまえはバカだな」
俺は手で印を組んでおく。
暗殺者の仕事は、的の不意を突くこと。
影呪法はそれにもっとも適してる能力といえる。
能力が複数あろうが、使い手に適していなくては意味が無い。
「バカ?」
「いや……正確に言えば、その剣と能力には向いてない」
ずん! と俺の体が重くなる。
竜一のやつが余裕で歩み寄ってくる。
やっぱりだ。
こいつは自分が強いと信じ切ってるやつだ。
いや、正確に言えば……。
自分の持ってる剣が一番強いと、そう思ってるのだろう。
なるほど、複数の凄い能力を使える神器か。
おもえば神器使いはみな、1つにつき1つの特殊能力しか持っていなかった。
そんな中で複数個の力があってことは、周りからはさぞチヤホヤされただろう。
だが……竜一。
その強さが、おまえを殺す。
「死ね……獣が!」
ザシュッ……!
「ガハッ……!」
口から、血を吐いて跪く。
俺の前にいる……聖なる騎士がだ。
「ば、馬鹿な……貴様……動けぬはずじゃ……」




