96.
七色に光る剣を手に、竜一が斬りかかってきた。
「!」
俺は影転移で逃げることで精一杯だった。
なんだ……今の?
俺とやつとの間にあった間合いが、一瞬で詰まったぞ?
「さすが獣、逃げ足は速いな」
「…………」
わからん、なんだ今のは?
剣の技術って感じではなかったぞ。
じゃああの神器の力だろうか。
「その程度で我らに刃向かおうとはな。片腹痛いわ」
竜一が剣を振り上げる。
……ん? なんだ。
さっきとちがう色合いをしてるような……。
そうだ、さっきは青色の刃をしていた。
でも今は黄色……?
ずんっ! と俺の体が突如として重くなった。
「これで避けられまい」
「!」
竜一が斬りかかってきた。
……だが、さっきのように、一瞬で間合いを詰める感じではない。
普通に走りながら斬りかかってくる。
さっきより……遅い。
俺は手で印を組み、影の触手を作る。
竜一……ではなく、俺の体に触手をまく。
そして一気にひっぱって、やつの間合いから外れる。
フッ……と俺の体にかかっていた重さが消える。
「なんだ……今の……なにがおきてる……?」




