【prototype】 blue
*題名の通り、『あおいろ』のプロトタイプ。
但し同じなのは『RPGの街の名前を教えてくれるモブ』という語り手の位置だけで、雰囲気は全くもって違います。
最早別物だろう、どうしてああなった、というほどこちらは暗いです。
そしてとても短いです。
“貴方”は何度でも死ぬ。そして、何度でも生き返る。
“貴方”の旅がまた始まる。
「こんにちは」
話しかけられて、私は振り向く。
きらきらと陽光に輝く金の髪、空の色を映したような碧い瞳。爽やかな声音に、温かい笑顔。
胸が躍っても仕方の無い完璧さ、けれど私はただ口を開くだけ。
「此処はレファの村です」
私は決められた科白を一つ。何度話しかけられても変わらず、私はそれだけを口にする。
私の役目は村の名前を告げる村人。その他の記号は、ない。
一体何回繰り返したのかしら、なんて。答えなど必要無い。
私は、何度でも、繰り返すだけ。
何度殺されても、“貴方”たちは繰り返す。
ただ、魔王を倒す、それだけのために。
何度世界が終わろうとも、私はいずれ再び此処に立つ。
ただ、“貴方”たちに村の名を教える、それだけのために。




