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ソサリア魔導冒険譚  作者: 星乃紅茶
【第六部】 《古代龍と時の翼 編》
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7章 夢幻都市と龍の居城 6-19

 『夢幻都市』エターナル。この都市がそう呼ばれていることをリューナとトルテが知ったのは、今朝早くのことだ。これからの動きについて計画を立てたときに、この未来の世界の状況についても聞かされた。


 そのあと廃墟と化した神殿跡から荷を回収し、無事だった食料を見つけて簡単な朝食を済ませ、全員で魔導航空機ヴィメリスターに乗り込んだのである。


 隠れ場所から大空へと浮上し、朝日を浴びて金色こんじきに輝く雲の平原の上でだいたいの操縦を教わったあと、リューナは航空機の操作を任された。ディアンは他にすることがある体。


 魔導を基礎とし、万物にあまねく存在している魔力マナを使って空を翔ける機械仕掛けの乗り物――魔導航空機ヴィメリスター


 本来、魔導の技を行使できない者のために発達した人造魔導の技術ではあったが、この乗り物については魔導士が操作をするほうが遙かに高い性能を引き出すことができるらしかった。けれど魔導士はディアン以外にリューナとトルテしかいない。まさかトルテに操縦させるわけにもいかず、ディアンに変わってリューナが引き受けたという訳だ。


 金属製の空飛ぶ乗り物は、素晴らしい速度で目指す都市までたどり着いた。位置的にはおそらく現代でいうフェンリル山脈の登り口、ソサリア王国南西部の端にあるハイベルアの都市のあたりだろう。とはいえ、地形も街も現代の面影を少しも残してはいなかった。


 朝もやに白く霞んでいる摩天楼の間隙かんげきを、金色に輝く魔導航空機ヴィメリスターけた。


「すごい。僕なんかよりずぅっとうまいよ、リューナ」


「そうか? かなりおっかなびっくりなんだけどな――おっと!」


 操縦桿コントロールスティックを右に倒し、同時に左足の先にある突起を踏み込むと、機体はぐるりと回転して建造物同士を繋ぐ回廊の壁ぎりぎりをすり抜けた。後方のシートから「まあまあだな」というつぶやきが聞こえた。ちらりと振り返ると、ラハンが腕を組んで頷いている。慣らし運転にしては上等、ということらしい。


「なるほど――確かにディアンの言うとおり、感覚的に操作ができるみたいだ。こりゃいいや!」


「とっても嬉しそうですね、リューナ」


 すぐ後ろの席に座ったトルテが、にこにこしながらリューナとディアンの遣り取りを眺めていた。もちろん、その体はシートベルトに固定されている。そうでなければ彼女はごろごろと操舵室ブリッジ内を転がりまくっていたに違いない。


 ディアンは操縦席に片手をかけているだけで姿勢を保っていた。見かけは細く頼りない体格をしている飛翔族の青年だが、その魔導士としての実力と王としての力量を熟知しているリューナにとっては、そう意外なことでもなかった。グローヴァー魔法王国の建国三千二百年祭で出逢ったばかりのときと比べ、互いに成長したなぁとしみじみと思う――トルテにとっては一ヶ月も経っていないのだけれど。


「僕が乗っていたものよりモデルチェンジ前の古い機種なんだけど、能力的にはこちらのほうが遥かに上なんだよ」


「後継機のほうが、能力が劣っているのですか? とても不思議ですね」


 トルテがちょこんと首を傾げた。その間にも機体はぐるんと回転し、ツインテールに結い上げた彼女の長い金髪も元気に揺れている。


「確かにトルテ、君の言う通りなんだけど、安全の為には総合的な能力を落とすしかなかったんだ。内部構造――魔導増幅装置に致命的な欠陥があったらしくて、それが暴走すると爆発したりしてとても危険だったから」


「うーん。それってとっても問題な気がするのは、気のせいなのかしら。だってリューナが操縦しているんですよ?」


「ちょっ、こらこらこら、どういう意味だトルテ。――とはいえ、本当に大丈夫なのか? 不安になっちまって思い切り飛べなくなるじゃんか」


「問題ないよ。暴走するのは、強い魔導の渦に飛び込んだときとか、そんな特殊な状況下のことだし」


 ディアンの言葉に、おいおい……と苦笑するリューナだった。魔導の渦――そのような攻撃を食らわないとも限らないんじゃないか、とリューナは思う。何とかキャノンとかいうでっかいヤツは、魔導の大砲を撃ってくる相手なのだ。そんなヤツらがわんさか出てきたら、魔導の攻撃魔法が渦になって襲ってきそうなイメージがあるんだけど。


「まあいいか。当たらなきゃいいんだろうし……」


 リューナは顔を前に向けたまま、横目でちらりと傍に立つ親友の様子を確認した。翼ある青年は、迷いのない落ち着いた瞳を前方に真っ直ぐに向けていた。愛する女性を奪われたディアンは、何だか別人のように眼つきが変わっている気がする。据わっている、というか――まあ、良いほうに捉えておくことにしよう。これから行く場所では、並ならぬ度胸と覚悟が必要となるのだから。


 そう、俺たちはこれから、敵の本拠地に乗り込むつもりなのだ。





 今朝早く、トルテが意識を取り戻したあと――。


 昨夜の敗北に意気消沈していたふたりは、トルテの両親や伯父の運命が変わっているかもしれないという望みに元気を取り戻し、待機していた魔導航空機ヴィメリスターの内部に入った。そこでディアンやラハン、ルミララとともにエオニア奪還計画を練り上げたのだ。


 加えて提案されたのが、『古代龍をぶちのめそう』計画である。


 誰だ、トルテに乱暴な言葉を教えたのは――と思うリューナだったが、それが他でもない自分だということに気づいたので口は閉ざしておいた。両親の怖ろしい運命をこの未来で知るという過酷な状況に直面した少女は、まるでたがが外れたように勢いのある強気な態度を見せている。だがそれはリューナに言わせれば『彼女らしくない』強さであった……無理をしているのだろうと、非常に心配ではあった。


「ラスカというヤツがエオニアを連れて行ったのは、エターナルの城とかいう場所か」


「うん。古代龍――シニスターが言っていたエターナルというのは、僕がリューナとトルテに再会したあの都市のことだよ。永遠に変わらず、世界にただひとつ存在し、繁栄を極めた大都市――」


「永遠だ、繁栄だと? ――そんなものは幻なのだ。住民たちですら真に生きているとは言えないのだ……!」


 ディアンの言葉に割って入ったラハンが、吐き捨てるように言った。


「エターナルは死んでいるも同然の都だ! だから『夢幻都市』と我々は呼んでいる」


 リューナは、この時代に着いたときに初めて目にした光景を思い出した。過去に栄華を極めていたグローヴァー魔法王国の王都より遙かに高く大きな建物が林のように建ち並び、どこまで続いているのか見極められないほどの広さがあった。繁栄しているからこそ、あれだけの規模を誇っているのではないのか? しかし、そういえば住民の姿を見ていない。


「死んでいるも同然って……どういう意味なんだ?」


 リューナが問うと、ラハンは重い口調で答えた。


「そこで暮らしている者はすべて、自分の明瞭な意思を持っていない。傀儡くぐつか人形のようなものだ。個々の区別はナンバーのみ。滅多に出歩くこともせず、文明は停滞し、個人の自我は稀薄でほとんど無いと言ってもいい。ただ植えつけられた記憶と知識のまま、無感動に日々を送り、結婚し、子を育てる。子もまた定められた通りの人生を送っていく」


「うわ、何だよそれ。……そんな人生冗談じゃないぜ!」


 リューナは、昨夜戦った兵士たちの反応速度の遅さや、ギクシャクとした動きを思い出した。鳥肌が立ってしまった腕を撫でさすっていると、リューナの隣にいたトルテが考えを巡らせながら口を開いた。


「それって付与エンチャントのことですか? 魔導の傀儡くぐつとして胸に魔法陣を描かれたひとの話を、おじさまから聞いたことがありますけど」


「そういうのとは違う。異質の力だ。かといって神々の力ではなく、間違いなく魔導の技なのだろうが……わたしには理解できないものだった。かつてその呪いを破ろうと抵抗運動レジスタンスに及んだ同輩は何人もいたが……失敗に終わったよ」


「どうしてラハンさんたちは、その呪いに影響されていないんです?」


「わたしたちはもともと、都市から外れた場所に住んでいた世捨て人たちの子孫なんだ。当時、どこの国家にも属していなかったから、把握されずに終わったのだろう……あのおぞましい支配からのがれられたんだ。全知全能と畏れられる古代龍シニスターだが、案外この現生界すべてを隅々まで把握できているわけではないのかも知れんな」


「……あるいは、わざと泳がされていたのかも」


「何だって!?」


 ぽつりとつぶやかれた言葉に、ラハンは眼を剥いて小さな魔導士の少女を見つめた。その瞳に恐怖のいろが広がっていくのがわかる。そのような考えをはじめて指摘され、愕然としたかのように。


「あ、いえ、すみません。そんな気がしてしまったのです。それに……ひいおじいさまの話をしているとき、ルシカかあさまが決まって言っていました――目に見える道だけが最短のルートではない、と。未来まで予見よけんできるおじいさまであるからこそ、普通では思いつかないような方法を取ることもあったみたいで」


 慌てたように言葉を紡ぐトルテに、ふぅむ、とラハンが唸るように言って腕を組んだ。


「なるほど……怖ろしい指摘だが、確かに可能性はある。しかし……わたしたちとしては目に見える道を選ぶしか方法はないのだ。未来まで予見するなどできるわけがない。わたし自身魔導士でもなく、シニスターや機関に属するやつら以外に、魔法というものを自由に使う者を見たのはディアンが初めてだったくらいなのだから」


 それを聞いたトルテが口を開いた。


「そういえば、エオニアさんのことはご存知でしたか? エオニアさんは魔導の力を持っています。けれど自分自身でも気づいていなかったみたいで――」


 ラハンもルミララも初耳だったらしく、眼を見開いたまま動きを止めた。見かねたディアンが口を開いた。


「トルテも知っているとおり、血として受け継いだ大量の魔力マナがあるというだけで魔導が使えるようになるわけではないんだ。魔導というものは、確固たる意思と知識をもって事象を支配し、現実として対象を変化させる力なのだから。根本となる知識というか、記憶というものが……彼女には、その」


 言いにくそうに口ごもる。リューナにはディアンの気持ちが理解できる気がした。エオニアを我が子のように想っているふたりには、言いにくいこともあるのだ――リューナは友の気持ちをおもんばかり、その言葉を継いだ。


「失われた記憶とともに魔導の知識も無くしたのだ、ということだろ。あるいは……ここに送り込まれた際に、送り込んだヤツによって故意に消されたか。俺が話を聞いた限りでは、やっぱり彼女もこの時代の者じゃないみたいだし。――違うかな? 俺はあんまり考えるのが苦手だからさ」


「ううん、違わないさ。僕もエオニアは別の時代から来たひとだって気がしていたから。ふと出てくる言葉や考え方がさ、リューナやトルテと話していたときと同じ雰囲気を持っているんだよ。僕はおそらく、シニスターによってこの時代へ連れてこられた。彼女も……そうなんじゃないかな」


 その言葉にラハンが息を呑んだ。震える声で言う。


「そうか……彼女をここに送り込んだのがシニスター自身だとすると……わたしたちははじめから利用されていた、と」


「あなた」


 夫の言葉を静かな声で遮ったルミララは胸を押さえ、何かがつっかえてでもいるような口調で言った。


「わたしはうすうす……気づいてはいたのです。あの子が着ていた服からして、わたしたちの時代とはまったく異なるところから来たのでは、と。むしろいまのリューナさんやトルテさん、あなたたちと同じ文化水準で作られた織物と縫製の技術でしたからね。それで確信できたのです」


 わたしはこれでもお裁縫や織物が得意なのよ、とルミララが付け加えるように言って、微笑んだ。その瞳には何ともいえない複雑な感情と涙が滲んでいる。


「それでもあの子を、愛さずにはいられなかった。本当に優しい、いい子でしたから……」


 トルテは彼女に頷いてから背筋を伸ばし、静かに口を開いた。


「エオニアさんの胸に現れた魔法王国の宝物『従僕の錫杖』。おそらくこの時代に送り込まれる前に、エオニアさんの体内に封じられたのだと思います。あれがシニスターの願いを叶える手段なのだと、あたしは考えています。そのために必要な事柄を、あるいはこまを、シニスターはひとつひとつ揃えていったのではないでしょうか」


 ずばり物事を指摘するときのトルテは、彼女の母親を思い出させるよな――リューナは思った。国王たちもみんな無事だといいが、とも思う。現代に残してきたリューナ自身の両親も。まあ、あんな父親だけどな――リューナはポケットに突っ込んだまま持ってきてしまった例の魔石を指先で転がしながら思い、顔をあげた。


「けどトルテ、あいつの狙いは百パーセント思い通りに進行している訳ではないんだろ?」


「ええ、あたしもリューナの言うとおりだと思いたいです。ルシカかあさまたちのこともあるし……。でもね、いまは何より、エオニアさんを取り戻すことが先決だと思うの。あれほどまでにシニスターが求めているんですもの、野望とかいうものを叶えるためにエオニアさんが必要だということですよね」


「だからこそ、エオニアを古代龍に渡さないことが重要なんだな」


「それに『従僕の錫杖』を体内に具現化されたら――つまり封印を解かれてしまったら、心臓に相当な負担を強いられるらしいんです。マイナさんも苦しそうだったことをおじさまから聞いていますし……。それに、寿命も短くされてしまうとか」


 その言葉に、黙って聞いていたディアンの表情が変わった。


「エオニアが!? そんな……。彼女は体内の封印と、自分の失われた過去と、自分がシニスターの野望に使われることを知っただけでも凄く悩んでいた。……なのに、それ以上の苦しみを与えられたっていうのか」


「ならなおさら、すぐ助けにいかないとだろ! それにエオニアをさらったヤツが、いつシニスターに引き渡してしまうかもわからないんだ」


「あたしも賛成です。だからその為にどうすれば良いのかを、いま論じるべきだと思うのです」


「……連れ去られた場所についてはわかっている。『夢幻の城』と呼ばれるエターナルの奥宮殿内に、ラスカが与えられている部屋がいくつかあるのだ。そのなかのひとつが、そのような用途に相応しい部屋になっている」


 ラハンが言った。情報を流してくれる間者がエターナルの内部にいるらしく、一度エオニアをさらわれたときディアンが救出に向かった際にも役立ったということだ。だが――その間者も、いまはもう生きているかどうかわからないとのことだった。昨夜以来、連絡が途切れているのだという。


「その部屋にエオニアが捕らえられ、監禁されているとして……そこまでは、どうやって侵入するんです?」


 ディアンの問いに、ラハンは少し沈黙したあとで悩みながら口を開いた。頭のなかでさまざまな方法を検証しているのだろう。


「城の正面ゲートから続いている回廊からでないと、たどり着くことはできないようなのだ。実質、不可能と言わざるを得ない。いまは警備も何倍にも膨れあがっているだろうし……あやつがシニスターにエオニアを引き渡すタイミングで奪いかえすか……いやそれも実行するには危険だし……」


「エオニア……。そうだ――はやくしなければ、彼女は自分の命を絶ってしまうかもしれない」


 ディアンが思い出したように蒼白になった。


「なんだって?」


「彼女自身がそう言ったことがあるんだ。シニスターの道具になるくらいならば死を選ぶと。もちろんその時の僕は、絶対に助けに行くから待ってくれと、しっかり伝えたつもりだけれど……意思の強いひとだから、すごく心配だよ。僕はいますぐにでも助けに行きたい」


「助けが来るから待っていて欲しい――まず何よりも先に、そう彼女に伝えることができれば良いのですよね?」


 トルテが言った。その静かな口調と眼差しに、リューナは漠然とした不安を感じてしまう。


「ああ。だが迅速に伝える手段がないのだ。換気のための通風孔や通路があるから、それをたどってエオニアのもとまで行くルートも考えた。だが、その通路の幅がおとなには狭すぎるのだ。正面突破では時間もかかるだろうし、何よりその騒動が刺激にならなければ良いのだが――」


「狭いルートからは、あたしが行きます」


「何だってッ?」


「トルテ?」


 リューナとディアンの声が重なった。トルテは落ち着いた口調でふたりに答えた。


「だって、そこはとても狭いのでしょう? リューナもディアンも大きいんですもの。あたしでしたら、子どもが通れるくらいで大丈夫です。それにあたしなら武器が要りませんし、荷物も持たなくて済むでしょう? いざとなれば魔導の技で身を隠すこともできるんですから」


 トルテはにっこりと笑った。


「ね? ラハンさん。一番小さなあたしが行くのが最良の方法であると思いませんか?」


「しかし……!」


 ディアンが言葉を続けようとするが、トルテは首を振ってオレンジ色の瞳に揺るぎない光を宿し、言った。


「あたしが行くのです」


 ディアンがリューナの顔を見た。その視線に込められた気持ちは痛いほどによく伝わったが、リューナにはわかっていた。トルテは心に決めたことを絶対に曲げようとはしないだろうことが。ましてやそれが、友人の為であるのならば。


「――では、彼女がエオニアと接触している間、わたしたちで正面から攻め込むというのが正攻法だろう。正面門には魔法破りの結界があるから、こっそり忍び込むというわけにはいかないだろうから」


「望むところだぜ! トルテから注意を逸らし、こちらに注目されることができるなら、派手に暴れてやるさ!」


 リューナの心も決まった。その言葉に他でもないトルテが不安そうな表情になったが、こちらが自信たっぷりに微笑んでみせると、彼女の表情は再びきりりと引きしめられた。


「でも、連絡手段はどうするんだい? エオニアとその場所で会えたかどうかわからなければ、僕たちもそのまま進撃していいのか確信が持てなくなる」


 ディアンの質問には、トルテがよどみなく答えた。


「あたしとリューナで意識を共有させます。とはいっても、ほんの一部ですけれど。『精神感応テレパシー』という魔導の技があるのを知っていますから。ただ魔法構成がわかりませんので、その分はあたしが既存の知識から補填して行使します」


「そんなことができるのかい?」


 ディアンが眼を剥く。リューナにはさっぱり理解できなかったが、すごい魔法なのだろうことは想像できる。しかし――意識を共有するとは、どういうことなのだろう。不安を感じるのは気のせいか?


「それに、たとえそれが途切れたとしても、あたしはリューナを信じていますから。必ず来てくれるって。ですから、エオニアさんと一緒に待っていますね。きっと、だいじょうぶです」


「トルテ……。よし、それでいこう!」


 自信たっぷりに言い切ったトルテの笑顔に、リューナの不安も吹き飛んだ。――この世で一番大切に思っている相手から信じていると告げられたのだ。彼女の期待に応えるのが、俺にとって為すべきことだ。


「そしてエオニアさんを救出したら、あたしたちの手でシニスター、いえ、『古代龍』をぶちのめしてやりましょう!」


「おう!」


 リューナはトルテの瞳を見つめ、きっぱりと頷いた――俺たちの手で、この間違った未来に幕を下ろすのだ。


 心が決まれば、もう迷うことはない。目の前のことにただ全力で挑むだけだ……!



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