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魔王は倒せるが、スライムが倒せない 〜最強魔王も倒せるけど、スライムが倒せないってどういうことですか〜  作者: 黄緑のしゃもじ
第4章「最強の勇者」

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12話 串カツのおもてなし

2ヶ月に一回の投稿になってる……



 隆聖と握手を交わしながら心の中が落ち着かない。

 はははははっ! これで俺の食卓がより最高のものになりそうだ!


「よし! じゃあ、行こう! すぐにでも行こう!」


 俺はみんなを急かすように出発できるように用意をしようとするが、


「お兄さんまだ食べてますよ。リュウセイさんに関してはまだ一口も食べられてませんよ」


 ユリアに引き止められる。

 そう言われればそうか。


「ごめん。ちょっと急いだな」


 そう言いながら再度席に着く。

 話していたら食べる間もなかったからな。でも仕方ないだろう、なんせ美味い米が食べれるって聞いたらそりゃ興奮するだろう。

 でもまあ、隆聖にとってはせっかくの久しぶりの揚げ物だったな。


「じゃあ、食べてから……」


 と机にある皿を見ると……殆ど無くなっていた。


「えっと、串カツがもう殆どないんだけど?」


 その状況をユリアに確認する。


「アルデちゃんが食べてましたよ」


「うむ。流石妾が作った串カツじゃ」


 そして最後の一つの串カツを手に取って、食べた。


「美味であった!」


 満足そうに口元を拭うアルデ。


「って、全部食ってんじゃねぇー!!」


 隣に座っていたアルデの頭を掴みながら叫ぶ。

 思ってるより話に入ってこないなーと思っていたらそう言う事か!


「離せ! 離すのじゃ! と言うか、作ったのは妾じゃ! 妾が全て食べて何が悪い!!」


「いや、隆聖の分も残しておけよ!!」


「意味がわからん! 妾が作ったものは妾の物じゃ! 采配は妾が行うのが当たり前であろう!」


「だからなんだ!」


「じゃから妾が全て食べる前に食べない其方らが悪いのじゃ!」


「うるせぇー!」


 おもてなしをしようと考えていたのにそれはないだろう。アルデの言う理屈もわかるが、この場でそれはない。

 何も食べられないとは悲しすぎるわ!


「春原さん! 僕は別に大丈夫ですよ! そんな事で争わないで下さい!」


「いや、隆聖がそう言っても俺は許さん」


 隆聖が止めに入るが関係ない。

 せっかく米の在処を教えてくれる恩人におもてなしができないとは俺のプライドが許さない。


「アルデ、お前はいつもそうだ! 大事な所で毎度アホをする!」


「なんじゃと! 誰がアホじゃ! アホと言った方がアホなのじゃ!」


「うるせーわ! アホにアホと言って何が悪い!」


「アホじゃないわ!」


 アルデとの言い合いが白熱する。


「春原さん! だから僕は大丈夫ですから……」


「どうするんだよ! 隆聖へのおもてなしは!」


「じゃったら新しいのを作ればいいじゃろ!」


「おう! じゃあ、作ってこい!」


「言われなくても作ってくるのじゃっ!!」


 そう言ってアルデは机をバンと叩いて立ち上がる。


「ふん! 作ればいいのじゃ、作ればっ!」


 ぷんぷんと怒りながらアルデが串カツを揚げに行く。

 人に食べさせるために作ったんだ、全部一人で食うなよな。


「ごめんな、あいつが全部食べちゃって」


「いえ、こちらこそ申し訳ないです。また作ってくださるみたいですし、ご馳走になる身ですから僕は何も言えないです。それにこの音と匂いだけでお腹が空いてきますから、また聞けて幸せです」


 横で串カツが揚がるいい音を聞きながら隆聖はそう言う。

 なんていい奴なんだ。


「次のは思う存分食べてくれ」


 俺はそう満足そうに言ったが、


「お兄さん。流石にリュウセイさんがいる前であれは……お兄さんもお兄さんですよ?」


「なっ……」


 ユリアに正論をぶつけられる。

 そう言われればそうだ。何しょうもない事で怒ってるんだよ俺。


「すまない。見苦しい所を見せたようで……」


「いえ、気にしないで下さい。仲が良いんだなって微笑ましく思えましたよ」


 そう笑いながら言う隆聖は、本当に勇者たり得る人間だと思えた。

 こう言う人間が勇者であって、俺みたいのは勇者になれないわな。


「では、話を変えましょうか」


 そう言って隆聖は咳払いをする。

 すぐに空気を変えるところも空気を読んでる。


「えっと、春原さん達はエンスラッドから来られたって仰ってましたよね? エンスラッドと言えばドルグランドと反対の国ですよね。ここまで遠くなかったですか?」


「まあ遠いっちゃ遠いけど、あいつがいるからそんなに時間はかからなかったからな」


 そう言って「美味い!」とか言いながら肉を食い続けているティオルを指さす。

 と言うかいつまで食べてるんだあいつは。


「成る程、そう言われればそうですね。僕もフェルダに連れて貰ったらそこまで時間がかからないですからね」


 そう言う隆聖は隣に座るオレンジ色の髪を靡かせた女性に目をやる。


「あいつは、本当にドラゴンか? 肉をかなり好むのはドラゴンの特性だが……私が知っているドラゴンのそれとはまったく違う……。それに、見たことがある気が……いや、ないか? 気のせいか?」


 そのフェニックスはティオルが気になって仕方ないみたいだ。

 ドラゴンとフェニックスは何か関係性があるのだろうか。ティオルは全く気にしてなさそうだけど。


「エンスラッドはそうですね、確か『剣魔の魔王』グレイバルトの城が近くにありますよね。あとは『龍の谷』がその奥にあると聞いてます」


「そうだな。グレイバルトがいる城があるな。何回か行ったけど、『龍の谷」』はまだ行ってないな」


「えっ? 何回か行かれたのですか?」


「ああ、戦ったぞ。あいつのおかげで強くなれたからな感謝はしている」


「っ!! あの『剣魔の魔王』と戦われたのですか!? そう言えば今はあの城に誰もいないと噂で聞いたのですが……まさか! 春原さんが倒されたのですか!?」


 そんな情報がもう広まっているのか。


「いや、あれは倒した、わけではないのか?」


 実際倒したわけではないからユリアに確認を取る。


「そうですね、倒したわけではないですね。現にまだ生きてるわけですし」


「そうだな」


 実際は勝手に自滅したから俺が倒したわけではないからな。


「倒してはいない、生きているが城には居ない……成る程……」


 俺らの答えに真剣に考える隆聖。

 何を悩んでいるのか知らないけど、魔王では無くなった事を伝えた方がいいよな。

 いや、国同士の探り合いになるから言わない方がいいのだろうか? あくまでも隆聖はドルグランドの勇者だからな。

 魔王の存在がある事で責められないなど相手国に対するカードになり得る。

 一応ユリアに確認を取るか。


「ユリア、グレイバルトって……」


 小声でユリアに確認を取ろうとした時、


「作ってきたぞっ!!」


 アルデが大きい皿に大量の串カツを盛って、机の上に激しく置いた。


「おっ! 早かったな!」


「ふん、妾が作る串カツは早い、美味いが当たり前じゃ! リュウセイとやら、たらふく食うが良い!」


「これは美味しそうですね! ありがとうございますアルデさん」


 そう言って隆聖は出来立ての串カツを見る。


「この香り、この見た目、本当に懐かしいです!」


 本当に嬉しそうに串カツを見る隆聖を見たら、さっきアルデに突っかかった事を謝った方がいい気がしてきた。


「ありがとうなアルデ。さっきは言いすぎたわ」


「なぬっ!? スノハラが謝るなど気持ち悪いのじゃ! まあ良い、其方も食え」


 俺が謝った事に気持ち悪いと言うアルデ。

 せっかく謝ったのにもう謝らんぞ!


「春原さんアルデさん頂きます!」


 隆聖は串カツを一本取り隣に置いてあったソースに一度つけて一口で食べる。

 そして、目を見開く。


「っ!! 美味しい!! 凄く美味しいです! 今まで食べた物以上に美味しいですよ! これ春原さんが考案されたのですか!」


「ああ、もちろん!」


「妾が完璧に作り上げたのじゃ!」


 隆聖の言葉に俺もアルデも満足そうに頷く。


「凄いですね! こっちの世界でこの味を食べれるなんて……」


 嬉しそうに、美味しそうに食べるその姿は串カツを作るものとしてはかなり嬉しい。

 口の中にあったものを飲み込んですぐに次の串に手を出す。


「この世界で揚げ物ってあまりなかったですから、本当に懐かしいです」


「それはよかった。串カツぐらいならいつでも用意できるから言ってくれ」


「はい!」


 嬉しそうに2本目の串カツを口に入れる。


「あっ、でしたら……」


 そして串カツを飲み込み、


「トンカツは作れないですか?」


 そう質問を投げかけられた。


「トンカツか! 作れるぞ!」


「本当ですか! 作れるのですか!」


「もちろん!」


 材料は殆ど同じだし、この世界の豚も完璧な養殖じゃないが美味しい。トンじゃないワイバーンカツも作れるが。

 それはそうと、今から米を食べに行くんだ。だったら最高のおかずは必要だよな! 米に合うのは串カツよりトンカツだ!

 よし決めた!


「トンカツ……聞いた事あるのじゃ……っ! そう言えばユリアを助けに行った時そんな言葉を言っておったな! まだ妾は食ってないぞ!」


「そうだったな。じゃあ、その村で作るか! 決定! 俺はトンカツを作る!!」


「本当ですか! もし良ければ僕もそれを……」


「当たり前だろ! 一緒に食うぞ!」


「ありがとうございます!! でしたら早く行きましょう!」


 俺の提案に隆聖も興奮気味に賛同する。

 揚げ物は本当に男の子は大好きだからな。男の子って歳じゃないけど、好きなものは仕方ない。


「だったらまずは材料も買わないとな!」


「それでしたらセントリアの市場でなら殆どの物が買えますよ」


「おお、いいね! よし、まずそこに行こうか!」


「はい! では、案内します!」


 元々セントリアに行くのが目的だったんだ、それが米が食える村に目的地が変わっただけで行く事には変わらない。


「お兄さん新しい食べ物も良いですけど、せっかくアルデちゃんが作ってくれた串カツを食べてから行きましょう」


「そうだな、さっさと食べて行くか!」


 そして、串カツを食べる。

 そう言っても隆聖とフェニックス、アルデとユリアが食べてたらすぐに無くなる。

 と言うか、また殆どアルデが食べているんだけどな。


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