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魔王は倒せるが、スライムが倒せない 〜最強魔王も倒せるけど、スライムが倒せないってどういうことですか〜  作者: 黄緑のしゃもじ
第4章「最強の勇者」

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1話 お留守番

4章始まりです!



 エンスラッドの屋台街が賑わう前の早朝。

 いつも通り串カツの準備をするのではなく、俺は3人を集めて発表する。


「さて、お前ら。俺達はドルグランドに行く事にした!」


 あれからゲンダルフィンの政治も安定し始め、エミリとユリアもエンスラッドに戻って来ている。

 大変な時期は過ぎたみたいで、少し仕事にもゆとりが生まれているらしい。


 結局エンスラッド的にはかなりいい貿易内容になり、双方WIN-WINの関係になれたらしい。

 元国王であるグレイバルトが思っているよりしっかりとした政治ができる事に驚いたけど、エミリ達にいい方向に動くのであればいい。


「なんじゃそんな事か。前から言っておったではないか」


「そうだな、改まってどうした?」


「そうね、ゲンダルフィンで何かに出会ったのでしょ?」


 そう、前々からこいつらには言っていた。そして俺にもゆとりが出来たので近々醤油を求めにドルグランドに行こうかと思ったわけだ。

 だからこそ改まって発表する事がある。


「だから留守番を1人決めようと思う!」


 そう発表すると、


「なに! 留守番じゃと!!」


「1人を留守番にするのか……我は行くぞ!」


「そうね、わたしも行きたいわ。ご主人様から離れたくないもの」


 留守番と言う言葉に何を言ってるのかと言う様に3人が反対した。


「残念だけど、留守番に1人は決定事項だ」


 全員を連れて行くのは無理だ。誰かに留守番をさせる事は決まっている。

 あと、連れて行く1人は決まっている。


「お前ら考えてみろ。今串カツはこの街の名物だ。もし1日でも閉めてしまったら売上が減る。そしてお客様の笑顔も減る!」


 お客様は神様である。

 と言っても、別に数日ぐらい売上が減ってもいいんだけどな。それぐらいの余裕は十分にある。


「それは其方の言葉に一理ある。じゃが、妾もドルグランドに行くのじゃ! 醤油と言うものに興味がある!」


「そうだ! 我も串カツばかり揚げているのでは体が鈍る。この幼女の様に脳天気に生きているわけではないのだ!」


「なんじゃと貴様! 脳天気とは、貴様も肉の事ばかり考えておるではないか!」


「黙れ幼女! 肉は力だ! それに貴様はゲンダルフィンに行ってただろう! その間この店を切り盛りしてたのは我だぞ! ここは我が行くべきだ!」


「馬鹿か貴様は! 貴様が串カツを上げるのは決まってあるじゃろ! 貴様ほどエプロンが似合う奴はいない! メイドはメイドらしくスノハラの言う事を聞いておけばいいのじゃ!」


 いつもの様にアルデとティオルの喧嘩が始まる。

 ……俺はまだ何も命令してないんだけどな。


「なんだと! 貴様は串カツのアルデちゃんだろう! なら貴様のいるべき場所はここだ!」


「それを言えば貴様も串カツのメイドさんであろう!」


 ……それは褒め合ってるのではないだろうか?


「ならわたしには関係ないわね。まだ串カツを作れないもの」


 そう言ってクレナリリスが自分は関係ないと手をあげる。


「待てクレナリリス! 作れる奴が残れるとは誰も言ってないのじゃ。貴様も候補じゃぞ!」


「その通りだぞ? 何を寝ぼけた事を言っている」


「いいえ、わたしは免除よ。ねえ、ご主人様?」


「ん? いや、お前も候補だぞ?」


「ええっ!?」


 驚いた表情で俺を見るクレナリリス。

 どうしてお前が免除されると思っていたのか。


「と言うか、ティオルは連れて行くと決定しているんだけどな」


「流石主だ、わかっているな!」


 俺の言葉にティオルが満足そうに頷くが、


「なんじゃと! 何故こやつが行く事が決定しておるのじゃ!」


「そうよ! ティオルリーゼが行く理由がないわ!」


 アルデとクレアが不満を言う。

 しかし、ティオルがいる事で俺にはメリットがある。


「だってこいつならひとっ飛びじゃん? 俺のアッシーちゃんだぞ?」


「その通りだ。我は主が行く所ならどこまでも連れて行くぞ! 残念だったな貴様ら! ふははははっ!」


 アッシーちゃんと言われてティオルが笑っているが、それに対してクレアが、


「だったらわたしも転移ができるわ! それなら……」


「まじで!? ドルグランドまで行けるならクレアでも全然いいんだけど?」


 転移と言う言葉に食い気味に反応してしまう。

 転移は魅力的だ。それこそ一瞬で着くじゃないか!


「なんだと主! だったら我は……」


「でしょ? でも、実はドルグランドには転移できないのよね。隣のユーロザキアなら行けるのだけど……」


「だったら残念だな。ティオルにしよう」


「ふははははっ! 残念だだなサキュバス!」


「なによっ! だったらもう一つの枠にわたしが……」


「スノハラ、妾は元々ドルグランド出身なのじゃが……」


「決定!」


 一瞬で勝敗が決した。


「よしなのじゃ!」


 ガッツポーズをする幼女。


「どうして!! わたしもドルグランドには行った事はあるわよ!」


「いや、貴様も知っている通り妾の魔王城はドルグランド内にあるのじゃぞ?」


「そう言えばそうだったな。貴様がまだリッチーだった頃、我もよく行ってたな」


「ふん! 思い出したくもないわ! 毎回妾の城を破壊しおって! 面倒臭かったぞ!」


「はははっ! 我が全力で戦える奴が少なかったからな、仕方ない」


「仕方なくないのじゃ!」


 何やらアルデとティオルが懐かしそうに話している。

 そう言えばこいつら昔から知り合いだったんだよな。


「ちょっ、ちょっと待って! だったらわたしが残るって言うの!? わたしまだ串カツは作れないわよ? 何も役に立たないわよ!」


 なに自分が役に立たない宣言してるんだよこいつ。

 まあいい、少し発破をかけてみよう。


「なに言ってるんだよ? お前ならすぐに覚えられるだろ? あー、やっぱ無理か? 悪魔では難しい事だったかー」


「あら? 何を言っているのかしらご主人様。無理なわけないでしょ? わたしは悪魔でも悪魔王よ? 串カツぐらい揚げれないわけないでしょ?」


「だったら余裕だな。任せるわ」


「ええ、任せなさい」


 言質が取れました。


「あっ……」


 ちょろいな。


「うむ、なら妾が串カツの真髄を教え込んでやろう!」


「そうだな、我もみっちり教えてやろう!」


「嫌よ。貴方に教えてもらうならご主人様がいいわ」


 そう言ってクレアが俺を誘う様に見る。


「よし。ティオル、アルデ! こいつに教えてやってくれ。1日で作れるようにスパルタでいいぞ」


「ええっ! どうしてご主人様!?」


「ふははははっ! わかったのじゃ! 作れる様にしてこいつを立派な留守番にさせるのじゃ!」


「ほう。久々に意見があったな幼女! 我も全力で教えてやろう!」


「ちょっとご主人様!? 百歩譲って串カツの作り方を覚えるのは良いわ。でも、この2人に教えてもらうのはわたしのプライドが許さないわ! だからご主人様が……」


「よし! じゃあ任せたぞアルデ、ティオル!」


「任されたのじゃ!」


「任せるがいい!」


「うそっ! ご主人様っ!?」


 俺もしないといけない事があって忙しいんだ。

 串カツの事は一人前であるアルデとティオルに任せる。


「じゃあ、俺は予定通りユリアの所に行くから今日の店番ついでにみっちり教えてやってくれ!」


「わかったのじゃ!」


「了解した!」


「ちょっ、ちょっとご主人様っ!! ま、待って、待ってよ……!!」


 アルデとティオルに腕を掴まれたそんなクレアの叫び声を後ろにしながら、俺はあの約束を果たしにユリアの下、センリスクに向かった。




     

クレアのキャラが変わってしまった……。

さて、ユリアとのあの日の約束を果たしに行こうか。


今日から隔週です。

次回の更新は来週水曜日の昼ごろです。

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