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魔王は倒せるが、スライムが倒せない 〜最強魔王も倒せるけど、スライムが倒せないってどういうことですか〜  作者: 黄緑のしゃもじ
第3章「封惑の魔王」

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3話 王都センリスク

すみません。更新遅くなりました。



「おいスノハラ! 今日乗る馬車はこれで良いのか?」


 アルデが馬車乗り場で楽しそうにはしゃいでいる。


「えっと、あれが予約してある馬車か。アルデその隣のだ」


「わかったのじゃ!」


 俺達の為にユリアが予約をしてくれていた馬車を指さしアルデに伝える。


「こんな物に乗るより、我が飛んで行った方が早いのではないか?」


「そうだけど、お前に乗って行ってこの前みたいに騒がれると面倒くさいだろう? それにユリアに普通に来るように言われたからな」


「そうか。ユリア嬢が言うなら仕方ない」


 ユリアが「普通に来てください」と言っていたから仕方なく馬車に乗る事にするが、何も考えなしならティオルに乗った方が断然速い。原付と飛行機の差ぐらいだろう。


「おい、貴様ら早く乗るのじゃ!」


「おー、すぐ乗る」


 先に馬車に乗り込んでいたアルデが急かすので、俺達も乗り込む。


「遅いのじゃメイドトカゲ!」


「黙れ! 貴様が先走っているだけだ。行動が行動だ、頭まで幼女になったのか?」


「なんじゃと! 貴様はまたもや妾を侮辱しおって!」


 そう言いながらアルデはハリセンを出す。


「ふん! やるなら相手をするぞ?」


 それに釣られてティオルもハリセンを出す。


「ちょっとお前ら馬車の中は狭いんだから、仲良く戯れるのは王都に着いてからにしてくれ」


「仲良く戯れてなどない!」

「戯れてない!」


 ハモって俺に言い返す2人。

 それぐらい仲がいいんだよな。


「真似をするな幼女!」

「貴様が真似をしたのじゃろ!」


 また睨み合う2人。まじで狭いから暴れないで欲しい。


「まじで大人しくしてくれ。せっかく王都に行ったら美味い物食おうと思っていたのに、お前らの分は無しにするぞ?」


「なっ! それは待つのじゃ!」


「そうだ! 主それはあまりにも酷いぞ!」


「だったら大人しくしてろよな。1時間ぐらいだから」


「わかったのじゃ……」


「わかった……」


 大人しくなった2人に俺は満足する。

 常にこれぐらい静かだったらいいんだけどな。


 さて、まさか王都で串カツを出すことになるとはな。

 串カツの常連さん達は俺が串カツを王様に献上することになったと伝えたらとても喜んでくれた。みんな行ってこいと言ってくれて、3日間ぐらいは待ってくれるらしい。

 こんな変なタイミングで休んでも良いと言ってくれる常連さん達はとても優しい。

 戻ってきたらもっと美味い串カツを食わせてやろう。


 そんな事を考えながら窓を見ていると新鮮な景色が飛び込んでくる。


「おー」


 目の前に広がるのは大草原だった。風で低い草が揺れ、馬車の中だけど草の風に靡く音が聞こえる気がする。

 そういえばあの街からこっちの方向は全く来ていなかったよな。

 普通なら最初は魔王城に行かずに王都に行く方が先だろうし……いや、魔王城から一番近い街から始まる事がおかしいんだ。


「こんな感じなら馬車もいいかもしれないな」


 久しぶりの静かで落ち着いた状況だ。

 串カツや魔王討伐などでこの異世界に来てからゆっくりした日はない。それにこの2人が大人しくしているのがいい。


 2人に目をやると今のところは大人しく座っている。

 まあ、これも1時間ほどの猶予なのだろうけど。


「スノハラー腹が減ったのじゃー」


「主、我もお腹が減っている。肉は無いのか?」


 ……1時間も持たなかった。

 お腹を鳴らしながら騒ぎ出しそうな雰囲気に俺は「アイテムボックス」から串カツと肉の塊を出す。


「……というか、お前ら行く前に渡した食べ物はどうした?」


 お腹がすいたと言った2たりに素直に食べ物を渡して、ふと疑問に思った事を質問する。

 受け取りながら2人は答える。


「ん? 朝飯に食ったぞ?」


「ああ、あれだけでは我の腹は膨れぬ」


 マジか。そういえば最近食費が多くかかってるなーと思っていたのだが、こいつら絶対隠れて食ってるな。


「……わかった。王様に献上用以外はお前らに渡しておくから、勝手に食え。その代わり大人しくしていろよ?」


「わかったのじゃ!」


「了解した!」



 そして2人の食べる音と、馬車の揺れる音を聞きながら1時間の移動は終わった。

 馬車の中から外を眺めながらゆっくりしているだけで王都に到着した。


「おおー」


 目の前にそびえ立つ門を馬車のまま通り過ぎる。

 王都の門は俺達がいた街の門とは比べ物にならないほどの大きさで、これぞ王都の門だと言う程立派である。

 それに受付を通らず門を通ることができた。ユリアが手配していた馬車なのでこれが当たり前なのだろう。


「ではお客様、楽しんでいってくださいね」


 御者さんがそう言って馬車が去っていった。


「着いたのじゃ! 飯じゃ!」


「人間が多いぞ! っ!! いい匂いがする! これは肉の匂いかっ!」


 こいつら着いた早々飯の事しか考えてないとか、マジで元魔王なのだろうか。


「しかし、これが王都かー」


 目の前に広がる都市らしい都市、王都センリスク。俺達がいた街に比べたら人の量が違う。

 見える限りきれいな建物ばかりで清潔感があり、こんな所に住めれば上級人になれそうだと感じるぐらいだ。

 もしかすると中世ヨーロッパより発達してるんじゃないだろうか。中世ヨーロッパ自体は知らないんだけど。


「スノハラもういいか?」


「主、我も行っていいか?」


 2人がそわそわしている。

 まあ、こいつらがはしゃぐのは俺もわかる。今でもいい匂いがするからな。

 降ろしてもらった所が屋台街の近くだったとことで俺の腹も鳴りそうだ。


「よし。じゃあ、時間までは遊んで来い。お金はこれだけな。あと騒ぎは起こすなよ?」


「わかってるのじゃ!」


「わかっているぞ。我は肉さえ食えればいいのだからな!」


 アルデはいつも通りだが、ティオルはいつの間に肉キャラになったのだろうか。戦闘狂のイメージが全くなくなってしまっている。

 

「時間になったら「念話」するからな。集合場所はここな。絶対戻って来いよ!」


 こいつらを呼び出すのに最近覚えた「念話」という魔法が便利である。思っているより魔力を使う様で使い手は少ないみたいだが、アルデやティオルなら何も問題がない。ユリアも使えたらいいんだけどな。


「では行ってくるのじゃ!」


「行ってくるぞ!」


 2人が匂いの元へ走って行った。

 よし、俺もせっかくの王都なので楽しもうか。


 王都は新鮮なものが多い。

 見渡す限りきれいな街並み。街を歩く人の身なりも良い。もしかしたら貧民街などもあるかもしれないが、今の所何もない。

 見た目も様々で異世界らしく猫耳などの獣人が目に入り、色々な人とすれ違う。


「おお、美味い!」


 いい匂いがする屋台に入り、焼きたての串焼きを頬張る。

 あの街とは違う味付けだ、少しスパイシーか? 王都で串カツを出すならソースをもう少し辛くしてもいいかもしれないな。


 串カツを進化させるための市場調査もかねて食べ歩きをする。

 所々で知っている声と歓声が聞こえるが、俺の知り合いじゃないことを祈りたい。俺は静かに王都を回りたいのだ。数時間は一人で楽しませてもらおう。

 多分ユリアもその時間を含めてこの時間につくように馬車を頼んだだろうからな。


「あら、串カツのスライムさん?」


「……ん?」


 1時間ほど食べ歩きをしていたら、後ろから知っているような声が聞こえて振り返る。


「やっぱり串カツのスライムさんだわ。王都に来ていたの?」


「あっ、おっぱ……常連さん」


 危ない危ない。おっぱいさんと言うところだった。

 声をかけて来たのは、透明感のある水色の髪にピンク色の目、それに揺れる放漫な胸の常連さんだ。

 この人を忘れる男はいないだろう。


「覚えていてくれたのね。うれしいわ」


「いえ、常連さんですから。でも最近見ないなと思っていたら、あなたも王都に来ていたんですね」


 この数日間見る事がなくなった事でハマさんと愚痴を言っていたのだが、ここで合えたのはラッキーである。帰ったらハマさんに自慢しよう。


「ええ、元々センリスクに滞在していたのだけど、リンディンには旅行気分で行っていたのよ」


「へーそうなんですか。えっと、リンディンって……?」


 知らない名前が出て来たので質問をする。

 多分どこかの街の名前だが、俺と関係があるのだろうか。


「……え? えっと、リンディンは貴方がいた街なのだけど……」


「えっ!? そうなので……あー、そうでしたね。街にいると自分の街の名前を言わないので度忘れしてました。あはは」


「そうですよね。ふふふっ」


 いや、初めて知りました。自分の街の名前。

 常連のお姉さんも愛想笑いしているし、覚えておこう。


「あっ、そうです! もしよかったら一緒に回りませんか? ここに来たの初めてなのでおすすめのお店とか教えていただければ」


 こんなチャンスはないと、少し誘ってみた。

 こんな美人のお姉さんと歩けるなら嬉しい限りである。


「そうね、ぜひ……と言いたいところだけど、わたしこれから用事があるの。ごめんなさいね」


「用事ですか。それなら仕方ないですよ。でしたらまた機会があれば。それにリンディンに来られたら串カツサービスしますよ。また来てくださいね」


「ありがとう。またの機会にね。串カツ、あれは美味しいからまた行かせてもらうわ」


「はい是非!」


 常連のお姉さんは手を振って去っていった。


 一緒に回れなかったのは残念だが、ここで話せたのは良かったんじゃないだろうか。

 よし、次回に誘おう。


 切り替えて俺は俺の一人の楽しみ方をしよう。


「さて、他に行くならどこがいいかな……」



 それから残り時間色々と回った。

 全てが新鮮で俺がいた街リンディンとは少し違う様式が興味を注ぐ。

 まだまだ回りたかったが、時刻を示す鐘が鳴った。


「あっ、もうこんな時間か。思っていたより時間が経っていたんだな。もう少し回りたいけど向かうか」


 まだ数時間ほどしか回っていないのに、思っているより時間が経っていた様だ。


「『念話』(おい、アルデー、ティオルー……)」


 そしてアルデとティオルに「念話」をしながら集合場所に向った。





「お前らもう一回言うけど、騒ぐな、要らない事するな、勝手に動くな、俺の言うことは聞け。わかったな!」


「わかっているのじゃ。妾は馬鹿ではないぞ」


「わかっている。何回も言わなくても大丈夫だぞ」


「大丈夫じゃないから言っているんだよ! お前らさっきも「念話」したのにすぐに戻ってこなかっただろ! 俺が探して連れてこなかったら間に合わなかったわ!」


 本当に。お前らが時間が過ぎても全く戻る気配がなかったので俺が探しに行ったんだぞ?

 まあ、騒いでいるところにいるので見つけやすかったが。


 そんな奴らが1回程度の指示で動けるわけがない。

 この城の中まで来るのに時間ギリギリだったんだぞ。


「とにかくお前らはじっとしていろよ!」


「わかったのじゃ」


「わかった」


 こいつらが勝手に動かなかったらそれでいい。


「おい、お前ら時間だ! 入れ!」


 扉の前に立っていた兵士が俺達に指示を出す。

 王様の御前だ少し緊張してきたが、ここが肝となる場面だ。慎重にいくぞ。


「わかりました。アルデ、ティオル行くぞ」


「うむ」


「ああ」


 そして重厚で3メートル以上ある扉が開いた。





     

さあ、ついに王様に串カツ献上だ!


次回の更新は明後日、日曜日の昼ごろです。



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