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魔王は倒せるが、スライムが倒せない 〜最強魔王も倒せるけど、スライムが倒せないってどういうことですか〜  作者: 黄緑のしゃもじ
第3章「封惑の魔王」

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1話 肉の旨味の源は

3章始まりです!



「おぉぉぉっ!! やっぱりすげーなーー!!」


 風を切り、凄いスピードで空を飛ぶ。

 魔法によって受ける風は制限され、車以上のスピードを出しているのに俺が飛んでいくことがない。

 逆にこのスピードで気持ちよさがある。


「当たり前だろう! 我に乗っているのだぞ、凄いに決まっている!」


 ドラゴン姿のティオルが俺に聞こえるように叫ぶ。

 ここからは見えないがドヤ顔が目に浮かぶな。


「そうか! じゃあ、もっと飛ばせーー!」


「了解した!」


 そしてスピードが余裕で新幹線を超えた。ここまで速いスピードには興奮しか無い。


 そうだよ! これが夢だったんだよ!

 ドラゴンに乗って高速で飛行する! 夢が叶った瞬間だ!

 それに今は速さに弱いユリアもいないし、俺一人だから限界までスピードを上げられる!


「うおぉぉぉぉぉ!! やべー! これはやべー!」


 バイクで高速道路を爆走した時の比ではない。

 あの時は200キロでも恐怖を感じたが、今は高速でも恐怖を感じない、逆に安心感すらある。


「そうそう! それでどこら辺にモンスターはいるんだ?」


 今俺達はグレイバルトの城に向かう森の上空を飛んでいる。


「そうだな。グレイバルトの城より向こう側だな。我の里までは行かないが里に近い方が美味いモンスターは多い」


 そう、今ティオルと共に移動しているのは美味い肉、つまりモンスターを探すためである。


 あの日ユリアがやってきてこの国の王様からの召喚命令が下った。それも俺の串カツを食べたいと言うのだ。

 だったら王様への献上品として普通の肉ではなくて上質な肉を持って行った方がいいんじゃないのかと考えたわけだ。


 それに王様と言えば、エミリのお父さんということになるはず。

 エミリには世話になってるしお礼はした方がいいだろう。王様に顔を売っておくことは後々利益になるはずだ。

 あと、俺の串カツに目を付けるとはこの王様も中々お目が高い。テンションも上がる。


「肉については我に任せればいい! 最高の肉を用意してやろう!」


 それで肉についてアルデとティオルに相談したところティオルが張り切りだした。

 今と同じことをあの時も興奮気味に言っていたし、それだけ肉が好きなのだろう。

 知っている奴に任せるのがうまく行く方法だから、ティオルに任せる事にした。


「この辺りだな」


 グレイバルトの城を越えてから数分後、ティオルが空中で静止する。


「主、ここら辺が最高の狩場だろう! 降りるぞ!」


 そう言い滑空し始める。

 目に見えるのは一面の森。グレイバルト城ももう見えず、一面真緑だ。

 ティオルが言うにはこの先にドラゴンの里があるらしいが、その里も全く見えない。


 そんなことを思いながら俺達は森の中に降り立つ。


「で、どのモンスターの肉が美味いんだ?」


 ティオルから降り、今から何を狩るのか質問する。


「決まっている! ワイバーンだ!」


 即答だった。


 ワイバーンか。そういえばアルデも美味いと言ってたな。

 しかしワイバーンって……。


「……まさかの共食いか?」


「共食いなわけないだろ!? ワイバーンと我らを同じにするな! ワイバーンもドラゴンに近いかもしれないが、我と同じドラゴンではない!」


 そう言われるが俺にとっては似たようなものである。

 俺が知っている限り、ワイバーンの事をドラゴンと呼ぶ国だってあったはずだ。

 この世界の知識じゃないけど。


「いやいや、ほとんど同じじゃね? 火吹くし、空飛ぶし?」


「そんなこと言えば、火を吹く鳥も我と同じになるではないか?」


「それは違うだろ?」


「……そうだな、わかりやすく言えば主らも牛や馬を食べるだろ? それと同じと言えばわかるのではないか?」


「あー、なる程ね」


 ティオルの言葉に納得する。

 牛と人間では同じ哺乳類だが生き物としては全く違う。


「じゃあ、ワイバーンが一番美味いのか?」


「そうだ……いや、甲乙つけがたいモンスターはいるな。我が食べた中ではベヒモスも美味かった。それぞれに違う美味さがある」


 その味を思い出すように空を見ながら涎を垂らしている。

 しかし待て、


「……え? あのグレイバルトの所にいたのが一番美味いの!?」


「そうだな。あれは絶品だぞ?」


 マジか! それを知ってれば食べてたのに! なんであの時に教えてくれなかったんだよ! まるごと燃やしてしまったよ!

 ワイバーンの時といいベヒモスといい、俺は美味いモンスターを丸焼きにするのがお約束みたいになっているじゃないか。


「ここにベヒモスがいれば狩るのだが、ここには生息していないからな」


 少し残念そうにするティオルだが、俺にとってはどっちも食べていないからわからない。


「そういえば前にグレイバルトの城に行くまでにワイバーンと会ったぞ? こんな所まで来なくてよかったんじゃないのか?」


「ん? 多分それは、はぐれだろう。大きさは小さかっただろう?」


「大きさ? 確か全長で5メートルぐらいだったはず」


「それぐらいならそうだろう。大抵は10メートル弱ぐらいだからな。弱い個体だからここから逃げていったのだろう」


 なる程、弱かったわけか。そういえば、ユリアも「どうしてここにワイバーンが!?」って驚いていたしな。

 しかし、どうして肉食なのに美味いのだろうか。


「ちなみに、ワイバーンが美味い理由ってあるのか? 肉食ってあまり美味くないイメージがあるんだけど?」


「我は肉食が美味くない話は聞いたことがないが、簡単に言えば魔力が多いモンスターほど美味い」


「へー、魔力が多いモンスター程美味いのか」


 何か魔力が肉に作用しているのだろうか。魔力が多いと美味い理屈が理解できない。

 しかし、そこでふと思う。


「……じゃあ、お前はかなり美味いわけか?」


「……は?」


 その一言にドラゴンが固まる。


「ん? お前の理屈なら美味いってことになるだろ? だってドラゴンは魔力が多いだろ? なら美味いわけだ」


「……待て待て! 流石に我の魔力は最高だが……」


「じゃあ、美味いんじゃね? ドラゴン美味いんじゃね?」


 俺はできる限りティオルを美味しそうに眺めてみる。


「ま、待て主!? そんな目で見るな!? 我は美味しくないぞ!? それに我もドラゴンの味は知らない!!」


 止まっていたドラゴン姿のティオルが全力で首を振る。


「そりゃそうだろ? ドラゴンがドラゴンを食べたらそれこそ共食いだろ? 流石に人間は人間を食わないしな」


 しかし、そう言いながら俺はティオルをじっと見つめながらゆっくりと近づいていく。


「待て待て!! そんな目で見るな!! おい、近づいて来るな! ……ほ、本気か!? 本気で我を食うつもりなのか!?」


「……」


「おい! なんとか言え! ……あ、主? おい、主!?」


 必死に否定をするティオル。

 なんか面白いがこれ以上すると面倒臭くなりそうなので止めよう。


「冗談だよ」


 そう言って俺は近づくのを止める。


「……ほ、本当だろうな?」


「ごめん、ごめんて。そんなにビビるなよ。俺がお前を食うわけないだろ?」


「そ、そうだな。主が我を食うわけが……」


「まあ、非常食にするかもだけど……?」


「っ!?」


 ドラゴンの身ながらすごいスピードで俺から距離を取るティオル。その影響で周りの木々がなぎ倒されるがお構いなしだ。


 と、ここまで言うのがお約束だ。


「だから冗談だって。そこまでビビらなくていいって」


「な、な、何を言っている!? ビビるに決まっているだろう! 主は最強だぞ!? 我では勝てないとわかったから、主に教えを乞いについているのだぞ!?」


 ドラゴンの姿のままなのに困惑と焦りの表情がわかる。根本的な事を言わせるなと言っている様な顔だ。


「そうか。そうだったな……。てっきり俺の専用移動ドラゴンだと思ってたよ。それに非常食が加わったと思ってたわ」


「なっ……」


 笑いながら冗談交じりに言ったのだが、ティオルはガチで俺から距離を取っている。

 ちょっとやりすぎてしまったようだ。


「……そ、そうだ!」


 何かを思いついたようにティオルが人間の姿に変身した。

 真紅の髪に金色の目をした美人になったのだが……。


「こ、この姿なら流石の主も我を食わないだろう……。人間は人間を食わないと言ったからな……」


 人間の姿になってもビビって両手で自分を守る様に抱きしめているティオル。

 ここまでビビってしまうとは……。


「……まじでごめん」


 とにかく俺は謝ることにした。




     

 魔力が多いほど肉が美味くなるなら、ドラゴンが1番美味いだろ? この世界では本当にドラゴンは美味いけど倒せる奴が殆どいないので食べた事がない現状です。


 3章からは毎日更新ができない状態になりましたが、早めの更新を目指します!

次回の更新は明後日水曜日の午前です。


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