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魔王は倒せるが、スライムが倒せない 〜最強魔王も倒せるけど、スライムが倒せないってどういうことですか〜  作者: 黄緑のしゃもじ
第2章「邪龍の魔王」

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22話 串カツ祭り②



「で、スーさん? 気になってんだがあの美少女は誰なんだ?」


「本当ですね。見ない顔ですし、気になります」


 俺をからかう様にティオルリーゼを目で指しながら、質問してくるおっさん2人。


 ……少女か? そう言われるとユリアより年上に見えるが。しかし、あいつはただのドラゴンである。あまり気にしてなかった。

 まあ、ドラゴンと言ったら混乱するだろうし伏せておくが。


「メイドかな? まだメイドって言っても成り立てだから、見習い? まあ、とにかくさっき出会って……あれは助けた形になるのか?」


 俺達が襲われて、倒して、命を奪うところを奪わなかったから、助けた形になるのかな?


「助けたって……何かに襲われてたのか?」


「襲われてたって……スノハラさんなら助けそうですけど」


「襲われてたって言うか、襲われた? で、ついて来たって言うのが正しいか?」


「……まあ、何だかわからんが危ない事はするなよ?」


「そうですね。このレベルの串カツを作れるのはスノハラさんか、アルデちゃんしかいないですから、私が……いえ、この街が困りますので」


「おう、そうだな」


 意味不明な事を言う俺に釘を刺すように言う2人。

 しかし街が困るか……。そこまで俺の串カツが浸透してくれていると考えると嬉しい事だな。

 そんな雑談をしていると、人だかりの中からティオルリーゼが抜け出してきた。


「あ、主! なんだあれは!? 人間か!? あんなに我に向かってくる人間など、初めて見たぞ!」


 何故か興奮気味に伝えてくるのだが。何かこいつの琴線にでも触れたのだろうか。


「大丈夫だ。お前に向かってきてないから安心しろ。ソースを持ってたら集まるから」


「なんだと! このソースというのがそこまでの力を持っているのか!? 興味深い……」


 まじまじと手に持っているソースの壺を見てつぶやくティオルリーゼ。


「って事で、あと少し頑張りますか! アルデ、今からは普通の作り方だけど、手伝ってくれないか?」


「いーやーじゃ。妾はもう疲れたのじゃ」


 嫌だと駄々をこねるアルデだが、これはいつものパターンである。


「アルデの力が必要なんだよー。後で、新作のポテチ作ってやるから!」


「新作ポテチっ! わかったのじゃ! あと少し頑張るとしようか!」


 はっ、チョロいな。扱いやすいのはいい。

 どれだけ食に貪欲なんだよとは思うが。


 ってことで、アルデと屋台で串カツを作ろうと材料を出そうとしたのだが、


「……あの、俺はどうしたら……」


 ……忘れていた。

 そうだ、この油のおっさんがいた事を忘れてた。


「えっと、どうもしないんだけど……」


 全く使い物にならなかったおっさんをどうするかだよな。

 今回俺が雇ったわけだし、このまま帰らせるのもな。後始末ぐらいはさせた方がいいだろう。


「そうだな、あんたは残っといてくれ。店が終わるまで雑用な」


「……っ! お、おう……」


 俺の言葉に少し安心した様な顔になるおっさん。

 しかし、他の2人が黙っていなかった。


「おい、スーさん! 甘くないか?」


「そうですよ、あそこまでぐちゃぐちゃにした原因はこの人ですよ。スノハラさんが早く帰って来なければ、多分串カツ屋は無くなってたかもしれません」


「あー、そう言われたらそうだけどな。実際俺が帰ってきてうまく纏まったんだしいいかなって?」


 2人が言うように甘いかもしれない。でも、謝ったし無事に終わったから俺にとってはどうでも良くなっている。

 まあそう思うのも、優しくしておいたら後々油が安く買える可能性があるという思惑があるからだが。

 今は様子を見ておこうと思う。


「あんたがそう言うなら追求はしないが、しっかり考えろよ?」


「そうですね。考えてください」


「わかってる」


 やはり2人には釘を刺される。

 どっちも俺より長いこと商売をしているわけだから、言う事は聞いておいて損はない。


「ですが、今回の事でやはり貴方がやり手だと理解しましたよ。私は貴方と組んで良かったです」


「まあ、それは言えてるな」


 ハマさんとサッさんが顔を合わせて笑っている。そう言われるとなんかむず痒い感じがする。


「そこまで買いかぶらないでくれ。今回はたまたま上手くいっただけだしさ」


「ふふっ、そう言うことにしておきましょう」


 サッさんに笑い流されてしまった。


「って事で、あんたが戻ってきたから俺らは戻っていいか?」


「そうですね。今私達が居ても邪魔ですからね」


 逆に自分達の仕事を放って来てくれてるから戻って貰わないと。


「2人共、今回は助かった。ありがとう!」


「いえ、出来ることしかできてませんので。ですが、そう言ってくださると嬉しいですね」


「だな。まあ、あのおっさんはどうにかしておけよ? オレたちのフォローが追いつかねーからな」


「わかったよ。じゃあ、お疲れ様」


「おう、お疲れー」


「お疲れ様です」


 3人が向かい合って言葉を交わし、それぞれが自分の店へと戻って行く。

 さて、俺も仕事するか。


「アルデー、手伝ってくれー? ってどこ行ったあいつ? まあいいか。ティオルリーゼ、油を持ってきてくれー」


「わかった」


 しかし、今日の様子を見るに、まだまだ串カツは盛り上がりそうだ。今思うと、冒険してるよりこっちの方が性に合ってるかもしれない。


「あの、お兄さんわたしもいいかしら?」


「はい……っ!?」


 そんな事を思って準備をしていると女性から声をかけられて、目を見開く。


「あら、どうしたの? わたしの顔に何かついてるかしら?」


「あっ、いえ……」


 少し黙ってしまった。

 初めて見る、見かけない顔っていうか、凄い美人なんだけど! 今まで串カツを買いに来たことがあれば忘れないぐらいだろう。

 それと、エロい。服装の露出は少ないんだけど、なんというかエロい。透明感のある水色の髪がよりエロい。

 あとおっぱいがでかい。


「えっと……」


「ふふっ、あたしも串カツをもらおうかしら?」


「あ、はい」


 言われるままに揚げた串カツを美人のお姉さんに渡す。


「ありがと。じゃあね」


 そう言って去って行った。


「……なんだったんだろ? あの人?」


 意味深に話して来たからもあるが、多分あの人はもう忘れないだろう。


「どうしたのじゃ?」


 少し離れていたアルデが戻ってきた。


「いや、ちょっとな。それよりどこ行ってたんだ?」


「ん? お客に呼ばれてたんじゃが。あっちのパーティーには持っていかないのかと言っておったぞ?」


「あ」


 串カツがやばくて忘れていたが、そう言えばあいつらはパーティー中だったんだよな。

 最大の功績者である俺があの場にいないのもおかしな事だが、今回はこっちの方が大切だったから何とも言えない。


「そうだな。後でユリアの所にも持っていくか。まだ、魔王討伐パーティーは終わってないだろうし」


 まあ、別に行く意味もないけどな。報酬も貰えないかもしれな……っ!!


「あっ! そうだ! ユリアと約束があったじゃん!」


 それも忘れかけてたよ! ユリアとの約束があったよな! 俺の報酬を貰わないと! ユリアに会う意味はあった。


「よし! さっさと捌き切るぞ、アルデ!」


「顔が気持ち悪いのじゃが……」


「よっしゃ! 串カツ揚がりましたよー!」


 そんな悪口を言うアルデは無視して、俺は串カツを揚げ始めた。



   

おっさんに対して甘いと言われたスノハラですが、自分が雇ったので責任は自分にあります。まあ、勝手に行動するおっさんも悪いですけどね。

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