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魔王は倒せるが、スライムが倒せない 〜最強魔王も倒せるけど、スライムが倒せないってどういうことですか〜  作者: 黄緑のしゃもじ
第2章「邪龍の魔王」

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17話 魔王城からの帰還



「……助かりました。本当にありがとうございます」


「流石にあいつはやばかった……ベヒモスって……」


「……ああ、今回は素直に感謝する。助かった」


「おう」


 健治が素直にお礼を言うとは、そこまで大変だったのだろう。


 俺達が健治の所に行ったときはもうベヒモスと戦っていた。

 思っているより前戦していたが、目に見えて押されていた。

 それはここまで来るのにかなりもモンスターと戦っていたからだろう。それにこのベヒモスは他のとは別格だったらしい。

 健治達の力量はわかった。

 ベヒモスは倒せないが、道中には他に強いモンスターはいたのでここまで来れる実力はあるという事だ。

 ユリア曰くS級冒険者ぐらいの実力らしい。


 あと、助けるついでにどのように戦うか見ていたのだが、思っていたよりしっかりしたパーティで、3人の役割がしっかりと分かれていた。

 俺もパーティを組む時に参考にしてもいいかもしれないと思ったぐらいだ。

 まあ、パーティを組む予定がないけど。


 あ、ちなみにベヒモスは一撃で終わった。いつも通りに燃やし尽くして終わりだ。


「よかったです。無事にケンジ様達がそこまで来ていて」


「いえ、実際は危ない事ばかりでした。前回よりモンスターの数が少なかったのですが、急に魔王城が凍ったり、燃えたり、大きな地響きがしたり、前回とは違う怖さがありました。ユリアリア様は大丈夫でしたか?」


「……はい。大丈夫でした」


「……ん?」


 こっちも色々あった。というか全てこっちが原因である。

 そう考えると一番苦労したのはユリアかもしれないな。


「しかしユリアリア様、これはどういう状況ですか?」


 そう言って健治達が魔王の間を見渡していた。


「どうしてドラゴンがいるんですか……!?」


 今健治達の目の前にはドラゴンがいる。ドラゴンといってもティオルリーゼだけど。

 さっきまで人型だったが、少し魔力が戻ったので帰るためドラゴンに戻ってもらった。

 念願のドラゴンに騎乗だ!


「それに魔王はどうなりましたか!? そこにいるのはおっさんだし……どうなってるんだ?」


 そりゃ、ここが魔王の間だから魔王がいないのは疑問に思うよな。


「えっと、魔王の事は一応片付きました。ちょっと色々ありまして……」


「色々って……ユリアリア様、どういう意味ですか?」


「えっと……つまり、この前と同じでお兄さんが魔王を倒したわけです」


「そ、そうなのか……またか……」


 ユリアの言葉に健治が安心したが、悔しそうにため息を吐いた。

 今回ユリアと話し合って魔王の事は話さないことにした。ユリアは今の現状を見て話さない方が良いと言うことに感じたようだ。

 俺もその方が良いと思う。目の前に元魔王が3体もいるなんて考えられないしな。


 健治達が訳が分からないような顔をしているが、何を聞いたら良いのかわからないのか黙ってしまう。

 質問が無いならもういいだろう。


「さて、疑問もなくなったら帰るぞ!」


「この状況で何を言ってるんだ……!? 疑問だらけだぞ!」


「……そうですよ! ……って、帰えるんですか!?」


 健治が俺に突っかかってくるが、早紀が帰ると言う言葉に驚く。


「もちろん。ここにいたって何もならないからな。する事は終わったんだ、帰ろう! それに帰りは一瞬だぞ?」


「一瞬って?」


 そして俺はティオルリーゼの前に立つ。


「ドラゴンに乗ったら一瞬だろ!」


「「「はぁぁぁっ!?」」」


 驚いていた。

 そう、この反応が欲しかったのだ!

 今の俺は気分がいい。夢だったドラゴンの背中に乗るんだ。それを分かち合える者がいるなら分かち合いたい。

 俺は独り占めしない主義である。


「ど、ドラゴンの背中に……!?」


「嘘みたい……」


「まじか……!」


 やはり同郷、感覚は同じなのだろう。

 3人の目が輝いている。


「さあ! 乗るぞ!」


「「「はい!」」」


 素直に返事をする3人。これが今までの中で1番俺の株が上がった気がする。


 そして全員がティオルリーゼの背中に乗り始める。


「これは主が言うから仕方なく乗せるんだからな! しっかり感謝するがいい幼女!」


「ふん! 貴様は黙って飛べば良いのじゃ!」


「なにぃ! 振り落してやろうか!」


「できるものならしてみるが良い!」


 アルデとティオルリーゼがいがみ合っている。

 ここまで来ると仲が良いようにしか見えない。


 そんな2人のやり取りを見ながら俺もティオルリーゼの背中に飛び乗る。


「お師匠様! また来てください」


「アルデミス様、ひと月程はここにいますので、是非に!」


「うむ! また来るのじゃ!」


 アルデはティオルリーゼとのやり取りを止め、手を振ってグレイバルト達と挨拶をしている。


「あの2人……ここに残るのか? どう言う事だ……? それにアルデミス……?」


「け、ケンジ様! 気にしないでください!」


 健治の頭に疑問符が浮かんでいる。

 この世の中には知らない方が良い事もある。


「よし、全員乗ったか!」


 乗っている人数を確認する。

 よし、挨拶も済んだし、出発するか!


「じゃあ出発だ! 行け! ティオルリーゼ!」


「了解した!」


 そしてティオルリーゼが翼を一振りして飛び上がる。

 力強い翼の羽ばたきだが、急な上昇ではなくゆっくりと飛ぶ。それは俺たちに配慮しているのがわかった。


「おぉぉぉぉっ!!」


 すげー!! やばい! 飛んでるっ!!

 激しい音もなくすんなりと上空まで昇る。無理して飛んでいると言う感じはない。

 そして街に向かって飛び始める。


「風が気持ちいい!! すげーな!」


 空にいるからどれだけのスピードが出ているかわからないが、下の景色は次々に進んでいく。それでも快適さは崩れず、安定している。

 飛行機とは違い360度周りを見渡すことができるが、怖いという感情がわいてこない。

 俺が強くなったのもあるかもしれないが、それほどの安定感がある。


「ドラゴンは魔法で飛べるからな、無駄な動作はしないのだ。もちろん翼だけでも飛べるがな!」


 そう言うティオルリーゼの声は嬉しそうだ。


「……うむ、割と快適じゃな」


「ですね。ドラゴンって、空を飛ぶって、こんな感じだったんですね!」


「すげーな!」


「凄いね健ちゃん!」


「ああ! すげー!」


 各自飛んでいる事に感動している。

 ティオルリーゼと犬猿に見えるアルデさえ褒めている。


「なあ、ティオルリーゼ。街まではどれぐらいで着きそうだ?」


「本気を出せば数十分で着くが、これぐらいのスピードなら1時間ぐらいだ」


「い、1時間ですか!?」


 ユリアがティオルリーゼの言葉に驚く。

 まあ、飛行機と考えたらそれぐらいが妥当か。


「じゃあ、このスピードで! 空の旅を快適に行こうぜ!」


「了解した!」


 夢のドラゴンの背中に乗れたんだ、ここは楽しもうじゃないか!

 まあ、街に戻ってもすぐにこいつに乗って遊びに飛んでいくのは目に見えているけど。


 ドラゴンの背中に乗って空を飛ぶのは想像以上に気持ち良かった。





「あっ! お兄さんあれ!」


「ん? おお、街が見えてきたな」


 俺は心地よい風と適度な揺れに気持ち良くなりウトウトしていたところ、ユリアに声をかけられる。

 ティオルリーゼが言っていた通り街まで1時間ほどで着いたようだ。


「ティオルリーゼ、そのまま街の門の前で降りてくれ」


「ああ」


 ティオルリーゼは緩やかに滑空し始める。

 空から見る街は新鮮だ。白い壁が丸く街を囲むように立っている。

 こう見るとこの町で1番大きい建物が東門の冒険者ギルドで、この街はやはり冒険者が多いのだとわかる構造になっている。


「ん? あれ何してるんだろ?」


 街の中が騒がしく動いている様に見えた。

 ここから見たら蟻が動いている様にしか見えないが、バタバタと人が走り回っている。


「……あっ!? もしかして、ドラゴンが来た事で緊急発令が出ているのかもしれません!」


「……絶対そうですよ!」


 ユリアの言葉に健治が反応する。

 まあ、そうだろうな。ドラゴンって超危険生物だもんな。

 だったら襲われる前に対応した方がいいだろう。


「ティオルリーゼすぐ降りるぞ。急降下で良い」


「……えっ!? お兄さん!?」


「了解した!」


「ちょっと待っ……っ!! きゃぁぁぁぁっ!!」


 そして急降下する。


「うおぉぉぉぉぉ! すげぇぇぇっ!!」


「ふははははっ!!」


「「「わぁぁぁぁ!」」」


 これはもうジェットコースターを超えてバンジージャンプレベルである。

 俺と同郷組そしてアルデが楽しそうに叫んでいるが、ユリアだけが死にそうに叫んでいた。



   

念願のドラゴンの背中に乗れました。

これでティオルリーゼを仲間にした価値がある!(スノハラの感情です)

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