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魔王は倒せるが、スライムが倒せない 〜最強魔王も倒せるけど、スライムが倒せないってどういうことですか〜  作者: 黄緑のしゃもじ
第2章「邪龍の魔王」

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14話 妄言を吐くドラゴン

ドラゴン「邪竜の魔王」ティオルリーゼ



「…………は?」


 意味が分からなかった。ドラゴンの言っている意味が……何を言ったのか理解ができなかった。

 いや、理解をしたくなかった。


「すまない、聞こえなかったか。ではもう一度言おう! 我を貴様の下僕にしてくれ!」


「いや聞こえてるよ!!」


 もう一度言い直したドラゴンに反射的に怒鳴ってしまった。


「ふむ、そうか。ならいい」


 そう言ってドラゴンはボロボロの身体を引きずりながら近づいてくる。


「よくないから!? えっ、なに? 下僕ってなんだよ! 意味が分からないって! なんで急に!?」


 初めて言われた言葉に思考が追い付いていない。

 今までに下僕にしてくれって言われた事なんてないし、聞いた事もない。


「ん? 何をそこまで驚いている? ああ、そうか。我なら下僕は間違いだな。だとすると、配下、手駒、手下? 奴隷? ……いや、奴隷? ではないか……」


「いや、そう言う意味じゃなくて! 俺の下に付きたいって、どういうことだよ!?」


「理由はずっと説明してきただろう? お前が最強だからだ。つまり我はお前の元で強くなりたいのだ!」


「な……っ!」


 目を蘭々と輝かせるドラゴン。

 でも、輝いてるこいつの目が俺を獲物として狙っているみたいで怖いんだけど。


 誰か、この状況と空気を壊してほしい!


「アルデ助けてく……」


「……なっ!? わ、妾を見るでない! ユリア、今大丈夫かの?」


「えっ、あ、はい」


 助けを求めてアルデを見たが……あいつ、晒しやがった……!?

 くそ……じゃ、じゃぁ……。


「おい、グレイバ……」


「……」


 あ、あいつらこっちを全く見てねえぞ!

 ジェミラと二人で何か話している様子だけど、確実に耳はこっちを向いてるだろ!


「おい主よ? これから我はどうしたらいいのだ?」


「主って呼ぶんじゃねーよ! 俺まだお前を弟子にするとか下に付かせるとか一言も言ってないから!!」


「なん、だと!? で、ではどうしたら……」


「いや、魔王を仲間にするつもりはないから!!」


 とにかく何でもいいから断る言い訳を言ってみる。


「魔王を仲間に……いや、我は仲間などではなくお前の下で強くなりたいだけだ!」


「魔王と行動したくないって意味だよ!? お前は俺に倒される存在なんだよ!」


「なに……!? な、なら、なぜアルデミスは主と一緒にいるのだ? あいつも魔王だろ?」


「いや、見ての通りあいつはもう魔王じゃない、ただの幼女だ! つまり魔王であるお前は俺と行動はできないわけだ! あと、主じゃないから!」


 よし、この断り方なら大丈夫だろう。理にかなっている気がする。

 いや、なりふり構わずこいつを倒せばいいんだ!

 しかし、そんな事を考えてたのも束の間、


「成る程、そう言う事か! ならわかったぞ! では我も魔王を辞めることにしよう! 魔王になった事でドラゴンの中では最強になったが、それ以上の力を望むのであれば魔王を辞めるのも仕方ない!」


 意味が分からないことを言った。


「……は? えっ? 今なんて言った?」


「だから、強くなる為に魔王を辞めると言ったぞ? それが主に仕える為の条件なら我は従おう」


「いや、待て待て待て待て! 魔王を辞める!? いや、魔王の方が強いから! 断然魔王が最強だから!!」


 魔王を辞めるのは別にいい。この世界からまた魔王が消えるから良い事だ。

 でも、魔王を辞められて俺についてこられるのは嫌だ!

 バトルジャンキーはアルデだけで充分だから!


「いや、魔王より主についていく方が強くなりそうだ! だから我は魔王を辞める!」


「……なんで、なんでだよ! そんな簡単に魔王を辞めていいのかよ!?」


 魔王を簡単に辞める奴が多すぎるぞ!


「強さを求めるとは最善を考える事だ。主だってそうだろう?」


「違うから!! 俺は力を求めて強くなったわけではないから!!」


「な、なんだと!? 強さを求めずそこまでの力を持つとは……計り知れない! ますます主に教えを乞いたい!!」


 さ、さっきの2倍ぐらい目が爛々と輝いてきたんだけど……!?


「いや、無理! 戦闘狂とか要らないからな!!」


「はははっ! 面白い事を言うな? 我は戦闘狂ではないぞ? ただ本能に従っているだけだ!」


「尚更無理だよ!」


 駄目だ。もしこいつを仲間にしてしまったらアルデの時の様にめんどくさい事になってしまいそうだ。

 ……ドラゴンの背中に乗ってみたいと思っているけど……駄目だ。


「なら、どうすれば我は主についていけるのだ? 主が我を従えるメリットはあるだろう? 例えばいつでも最強の種族と戦えるとか。魔法なしの戦闘訓練ができるとか」


「そんなのメリットとは言わないか、ら……」


 ……メリット? こいつを従えるメリットって……ドラゴンの背中に乗って飛ぶって言う願望は叶えられるのでは!?

 いや、待て。一瞬いいと思ったが、冷静に考えてみろ、春原勇!


「ま、魔王は辞めたとしても無理だから! ドラゴンはかっこいいから良いとしても……じゃなくて! そ、そう! その巨体は俺と生活できないだろ? まず街に入らないし!」


 俺の願望より現実の方が優先だ。アルデが2人もいるのは大変すぎる。

 冷静に考えて、ただ反対するだけならこいつも引かないと思って正論を言ったのだが……。


「成る程、なら我も姿を変えよう」


 そう言ってドラゴンが黒い霧に包まれた。

 そして……。


「なっ……!?」

「ぬなっ……!?」

「うそ……!?」


「これで良いか?」


 ドラゴンが一瞬で人間の姿に変わった。


「この姿なら街にも入れるぞ? いいだろう?」


 そう言う声は女性の様に高い。ドラゴンの時とは印象に付かない程の……いや、完璧な女性だった。


 ドラゴンだったと思わせる金色の瞳。

 頭には2本の角が生えており、尻尾もある。

 しかし、真紅の長い髪を靡かせながら笑うその顔立ちは整っていて美人だ。

 エミリやユリアと同じぐらいの年齢に見える容姿で、可愛さも垣間見える。


 そして、何故かメイド服だった。


「……えっ、お前雌……女だったの!?」


「ん? 気づいてなかったのか。我をここまで傷つけたくせにわかっていなかったとは……」


 残念そうな、呆れた様なトーンで言うが……。


「ドラゴンの性別とかわかんねーよ! なあ、アルデ!」


「いや、妾はわかっていたが?」


「えっ! うそ!? ユリアは!?」


「私は知らなかったですけど……」


 いつの間にか近づいて来ていた、アルデとユリアが頷いている。

 ユリアが元気になっているみたいだ。


 そうか、アルデは分かっていたのか。喋り方で完全に雄だと思っていた。

 それと性別にも驚いたけど……。


「なんで、メイド服……?」


「この衣装のことか? 昔に滅ぼした国の王の周りに沢山いたから真似してみただけだ。下に付くとはこういう格好が良いのだろう?」


「……」


 スカートの裾を摘みながら、ハニカムように笑う。

 不覚にもドラゴンでも美人がメイド服を着ると割と似合うと思ってしまった。ドラゴンメイドである。


「……スノハラ?」


「……お兄さん?」


「ん、んんっ……!」


 ユリアとアルデから視線を感じる。

 ドラゴンでも美人だだから見惚れていたわけじゃない! メイド服だから見ていただけだ!


「これでいいだろう!」


 そう言い続けるドラゴンメイドだが、どうにかして諦めさせないと……っ!?


「……いや駄目だ!」


「なんだと……!?」


 このドラゴンメイドの状態を見て思い浮かんだ!

 ドラゴンの誇りに引っかかる事だと!


「その角と尻尾がある限り無理だな。邪魔だ」


 ドラゴンというアイデンティティを消し去る提案をする。

 自分の個性を奪う条件を言われる事は流石に嫌だろう!


「わかった。なら引っ込めよう」


 そう言ってドラゴンメイドの角と尻尾が引っ込んだ。ついでに細長かった瞳も人間の様に丸くなった。


 その出来事に開いた口が塞がらなかった。


「……は?」


「これでいいだろう?」


「あ、ああ……」


 目の前で簡単に自分のアイデンティティを引っ込ませた事に驚きながら、頷いていた。


「す、スノハラ! 何を頷いておるのじゃ!!」


「……あっ! そ、そうだぞ! まだ、お前を連れて行く訳にはいかないぞ!」


 あ、危ない。驚きすぎて頷いていたみたいだ。


「な、なぜだ!? 我は主の言う事をしたぞ? 他に何をすれば良い!?」


「ほ、他にって……」


 俺は考える……。

 いや、バトルジャンキー以外、これ以上こいつを否定するものがない。

 そして追い討ちをかける様に……、


「わかった! なら先に魔王を辞めよう!」


 魔王を辞める宣言をした。




      

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