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魔王は倒せるが、スライムが倒せない 〜最強魔王も倒せるけど、スライムが倒せないってどういうことですか〜  作者: 黄緑のしゃもじ
第2章「邪龍の魔王」

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8話 「剣魔の魔王」②

「剣魔の魔王」とのバトル再開です!



「すいませんでしたぁっ!」


「許さんっ!」


 「剣魔の魔王」が幼女の前で土下座をしている。頭が地面にめり込む程の勢いだ。

 この世界でも謝る時は土下座なんだね。


「魔王が幼女に土下座してるよ。笑ける」


「ん? 土下座ってなんですか?」


 ユリアが俺がこぼした言葉に反応する。

 へー、格好は土下座だが、土下座と言う言葉ではないらしい。


「それよりもユリアは大丈夫なのか?」


「はい、今ぐらいなら耐えられます……。さっきは死にかけてましたが……」


 ユリアの顔色が少し戻っている。

 それもこれも魔王が幼女に怒られているからだ。

 それでも魔王の気には当てられて少し辛そうだけど。


「アルデミス様、それぐらいで……」


「黙れジェミラ! 其方もじゃ! 何故妾が来た瞬間にわからんのじゃ!」


「すっ、すみません!!」


「はははははっ! ジェミラも怒られて……」


「貴様はもっと謝らんか!」


「ぐはぁぁっ!?」


 魔王が幼女に頭を踏みつけられてるぞ。

 2メートル超えと120センチ……凄いなこの光景……。


「私、ここに来て常識って言う言葉が崩れ去っていきます……」


 ユリアが魔王と元魔王を見てから、遠くを見ている。

 わかるよその気持ち。魔王という恐怖の塊が幼女に土下座ってシュールだもんな。


「で、どうするのじゃ? 妾を侮辱して生きていられると思ってるのか?」


「い、いや……生きてるも何も魔王城が凍ってるわけで……」


「黙れっ!」


「ぐはぁぁっ!」


 また魔王が幼女に踏まれてるんだけど。


「さて、どうしようかのう。なぁ、ジェミラ?」


「は、はいぃっ! あ、アルデミス様の仰せのままにっ!」


 魔王の側近のジェミラもビビってるよ。

 あの関係って、やっぱ何かあるんだろうか?

 ジェミラってリッチーっぽいし、フードを取って見える顔は美人だった。


「……お兄さん、あれどうするんですか?」


 ユリアが不安そうに魔王と幼女を見ている。

 収集をつけないといけないのかな?

 このまま様子を見てもいいと思うんだが。


「そうだな。アルデがもし魔王を倒すなら別に止めないし、俺が楽なだけだし」


「そうですね……」


「まあ、このまま様子を……」


 俺がこいつら様子を外から見ようとした時……。


「なら、妾のかわりにスノハラに消滅させられるがいい。最後の情けじゃ、妾より人間に殺される方が嬉しいじゃろ?」


 ……アルデが意味不明な事を言った。


「あ、アルデミス様!? やはり魔王様を殺すつもりですか!!」


「何を言っておるジェミラ? 当たり前じゃろ? 師匠を侮辱したのじゃ、戦わず黙って消滅させられるがいい」


「お、お師匠様っ! それは情けでは……」


「黙れ!」


「ぐはぁぁっ!」


 また踏まれてる……。

 しかし、そんな事より俺はアルデに近づく。

 そして……。


「ってことで、スノハらぁぁぁぁぁっ!?」


「『生命吸収』。だったら魔力返してもらうな?」


「すの……は……ら……。ばたっ……」


 幼女はその場でうつ伏せに倒れた。


「……なっ!? お、お師匠様!?!?」


「……アルデミス様!?!?」


 俺の「生命吸収」によって倒れた幼女に驚く2人。


「スノハラ……何を、するのじゃ……」


「いや、お前に魔力を取られたから返してもらおうと思って。あと、師弟のいざこざを俺にまで持ってくるな」


「……くっ、そぅ……」


 悔しそうにするアルデだが、そんな事は知らない。

 アルデの顔は地面を見ているからどんな表情をしているかはわからん。


「ちょっ、ちょっとお兄さん……」


「ん?」


 ユリアが俺の後ろで戸惑いながら引っ付いている。


「あまり魔王に近づかないで、下さい……もし、何かあったら……」


 俺の服の裾をキュッと握り、不安そうな顔で俺を見る。

 何これ、ユリアが凄く可愛い。


 まあ、この場に1人でいるのは怖いのはわかる。

 しかし、魔王に近づいた俺に着いてくるって事は俺の側の方が安全だと感じたんだろう。

 やばい、ここまで不安そうな顔をされると、とても守りたくなる。


「俺の側から絶対離れなかったら大丈夫。何があってもユリアは守るから」


「は、はい……」


 そう言ってもこの距離まで近づくと怖いのか、まだ服の裾をキュッと握っている。

 よし! この魔王を一瞬で消し去ってやろう!


「さて、ユリアも怖がってるわけだし。ちょっとかっこいい所を見せようと思うんだが?」


「そうじゃ! 妾の事を幼女と言ったこの小僧を倒すのじゃ!」


 そううつ伏せになりながら叫ぶ幼女。


「アルデその状態で威張ってるとアホみたいだぞ? それにお前は幼女じゃん? 諦めて受け入れろよ幼女」


「幼女、幼女言うでない!!」


「まあ、こいつは置いておいて、やり合おうか、「剣魔の魔王」?」


 俺がそう格好つけて魔王に目を向けた。

 

「ちょっと待ってくれ! どうしてお師匠様が倒れてる!?」


「今の技は「生命吸収」!? どう言う事だ!」


「なっ!?」


 すごい剣幕で魔王と魔王の側近が近づいてきた。

 えっ、なに!? 近すぎるんですけど!?


「有り得ない! お師匠様がうつ伏せで倒れるなど……初めて見たぞ!」


「まさか、アルデミス様……ご冗談ですよね……?」


 2人の勢いが凄すぎて俺は一歩下がる。特に側近の勢いが凄い。


「どういう事だ貴様! 人間のお前に使える訳がない!」


 その勢いに俺は素直に答えてしまう。


「俺「大賢者」持ちだし?」


「……は? いや、お前は「剣聖」のはず! 魔王様の剣技を使えるのはその力を持っているからではないのか!?」


「それよりも、なぜお師匠様は幼女の姿になっているんだ!?」


「おい! 幼女と言うでない!」


「……えっと、使えるものは使えるし。嘘は言ってないし。あと、こいつは俺が「完全蘇生」を使ったらこうなった。ちなみにもう魔王ではなく、アンデットでもなく、人間になっている」


「なっ……!? い、意味がわからん……」


「どう言う事ですか……!?」


 よりすごい勢いで俺に迫ってくる2人。

 ユリアがビビってるんでそこまで近づいて欲しくない。


「えーっと、簡単に言えば俺がアルデを倒した。そしてこうなった」


「なっ!? あ、あのお師匠様を、倒した、だと……!?」


「アルデミス様が負けた……?」


 俺の言葉にあり得ないものを見るかの様に魔王達はアルデミスを見て俺を見る。


「いやいや、それはないだろう! あの傍若無人のエルダーリッチーが負けるはずない。オレに剣技以外を教えてくれたのはお師匠様だ。魔法を使わない状態でオレとまともに戦えるのだぞ? もちろんオレは剣を使わないが、体術でだぞ? エルダーリッチーなのにだぞ!?」


「そうです。アルデミス様はこの世界最強の魔導師。魔法ありの戦いでまともに戦える者はこの世界に2人いるかどうか」


「そうじゃそうじゃ、もっと褒めるが良い!」


 褒められてご機嫌そうに笑うアルデ。

 うつ伏せになりながら顔だけ上げている。


「あのお師匠様が……いや……」


 そのアルデを見て困惑する魔王とその側近。


「アルデミス様が……考えられません。ですが、よう……幼くなってるのと、魔王の力が感じられないのは……」


「そりゃ、人間だからな」


「に、人間ではないぞ! 妾はエルダーリッチーじゃ!」


「いやいや、俺の回復魔法で回復する時点でアンデットではないだろ?」


「何を言っておる! 妾はアンデットなのじゃ!」


「『ハイ・ヒール』!」


「……ん? あっ! ぬ、ぬあぁぁぁぁー」


 急にかけられた回復魔法に一歩遅れて対処する。

 だが、叫び方が棒読みだ。

 それに回復したのか、立ち上がった。


「本当にアルデミス様が……」


「お師匠様……」


「ち、違う! わ、妾はエルダーリッチーじゃ!」


「回復魔法をかけられてるのに普通に動ける時点で墓穴を掘ってるぞ? 諦めて妾は人間じゃ! って言ってみ?」


「い、言う訳ないじゃろ! 何を言っておる!?」


「はははっ。でも、あの2人のお前を見る目はもう人間を見てる目だぞ?」


 魔王とその側近の目があり得ないと、でも本当なんだと諦めたような目になっている。


「そ、そんな訳……貴様らそんな目で見るのではない! 妾は人間になっても妾は妾じゃ! 魔法は使えるのじゃぞ!」


「っ!! 本当でした! すみません!」


「すみません、アルデミス様!」


 魔王達がさっきの極大魔法を思い出して謝る。

 しかしそんな事よりも、こいつはとうとう言ってしまった。


「ふっふっふっ! アルデ、やっと人間って言ったな! ついに認めたか!」


「なっ!? い、言ってないぞ! 妾は人間じゃと言ってないのじゃ!!」


「あー、ここまで長かったなー。ついにアルデも人間になれたんだな!」


 熱くもない目頭を押さえる。


「き、貴様! 何を言っておる! そこまでにしておいた方が良いぞ! 貴様など一瞬で氷漬けにしてやるのじゃ!」


「はっはっは! 幼女が凄んでも怖くない、怖くない! そんな状態で、魔力のないお前が何を出来るんだ? ほら、早くかかってきてもいいんだぞ?」


「そうか、ならそうするのじゃ! 其方はこの状況がわかっておらぬな! そんな余裕で良いのか? 魔力がないと言っても妾の側には今、剣魔の小僧とリッチーであるジェミラがいるのじゃぞ? 魔力は豊富なのじゃ!」


「なっ!?」


 そうだった! こいつらはアルデの弟子達だ! 師匠が言えば魔力を差し出す。それに側近のジェミラはやはりリッチーか! やばい、魔力量が多いぞ!


「さあ、どうする? 謝るなら今の内じゃぞ? さあ!」


 くっ! 正攻法なら少し不利か……?

 でも俺はアルデの弱点を持っている!


「いや逆だぞ? わかっていないのはお前だ、アルデ」


「何を言っておる? 負け惜しみはよした方が良いのではないか? 妾の優位性は変わっておらん……」


「串カツ」


 アルデに対する切り札。


「……っ!? いや、大丈夫じゃ! 妾はもう1人で串カツを作れるのじゃ! 切る事から衣付け、揚げまで。そしてソース作りもマスターしたのじゃ! ほら、そんなに凄んでも意味がないぞ!」


「……そうか、1人で作れるかー」


「な、何を勿体つけて言っておる……? 他に工程がある訳……」


「あの串カツが完成形じゃなかったとしたら?」


 串カツには引き出しが沢山ある。


「な、なんじゃと……!?」


「ここに来る途中に俺は言っただろ? 今以上の美味い串カツを食わせないぞ? ってな?」


「た、確かそんな事を……」


「あーあ、残念だなー。このタイミングで俺に逆らうとか、一生今以上の串カツは食えないなー。残念だなー」


「いやいや、妾は騙されんぞ! あれ以上に美味い串カツなどないはず! それにもしあったとしても、別に充分今の串カツで美味いから良いのじゃ……」


「そっかー、それならいいんだけどなー。俺1人で味わうか。残念だなー」


「……そ、そこまで……言うのか……? 本当に、あれ以上の、串カツが……?」


「はあ、仕方ない、アルデと俺はここで決別する運命だったんだ。まあ、あれを、あの美味さを独り占めできると考えると……それはそれでいいかもしれないしな! やべ、涎が出てきた。よし! じゃあアルデ、かかってこいよ」


 そして俺はわざとらしく構えると、


「……ま、待つが良い! 本当に、本当にあるんじゃな! あれ以上が!?」


「いいよ、いいよ、別に信じなくて。ん? 来ないならこっちから行くぞ?」


「わ、わかった! わかったのじゃ! 信じる! 信じるのじゃ! じゃから、その美味い串カツを食わすのじゃ!」


 勝った! じゃあもう一歩踏み込むか。


「んー、掌返しかぁ? 流石元魔王様だなー」


「むっ?」


 アルデが眉間にシワを寄せるが、


「あっれー? そんな態度でいいのかなー?」


 俺はじと目でアルデを見る。


「なっ!! ……く、食わして、くれなのじゃ……」


「それだけか? あっ、そうだ。今なら謝れば許してやってもいいぞ?」


「なっ!? 貴様っ……」


「んー?」


「……わかったのじゃ。す、すまなかった……のじゃ」


 アルデが頭を下げた。

 ふっ! 串カツ強し!


「よし、じゃあ仕方ないから食わしてやろう。まあ、ここでは作れないから帰ってからだけどな?」


「約束! 約束じゃぞ!」


「ああ」


 そう言ってアルデが俺の方に近寄ってくる。


「なっ……」


「……嘘だとしか思えない……。あのアルデミス様が、掌の上で転がされているなんて……」


 その光景に元のアルデしか知らない2人が驚愕の声を上げる。


「さて、じゃあこれからどうするか? 「剣魔の魔王」?」


 しかし、ここで本題に入る。

 俺達が来た目的はこの「剣魔の魔王」を倒す為だ。アルデが倒さないとなれば俺が倒す事になる。


「俺はお前を倒すためにここに来たわけだ」


 その瞬間魔力を放出する。

 極大炎熱魔法をイメージする。

 周りの温度が上がり凍りついた城が溶け始める。


「「っ!!」」


 その魔力に「剣魔の魔王」とジェミラ、ついでにアルデも固まる。

 おお、ちょっと凄んでみるって有りだな。なんか自分がかっこよく見える。

 このままユリアに良いとこを見せよう。


「剣を構えろ。一瞬で……っ!?」


 決め台詞を言おうとしたところ……意味がわからなかった。

 俺が言葉を全て言う前に「剣魔の魔王」が俺の前で膝をついていた。

 そして頭を垂れて傅くように。


「……っ!? 何やってんの……?」


「オレはお前と戦う意志が無くなった……」


「ま、魔王様!?」


 ジェミラが俺に頭を下げる魔王に戸惑う。


「オレは強い者と戦いたい。しかし、その魔力に気力。先程まではまともに戦えると思っていたが、今の状態でもお前には遠く及ばないと分かった。それにあのお師匠様を倒す者が相手となると勝つ事は難しいだろう」


「……んん?」


「魔王様が戦うことなく負けを認めるなど……」


「元は俺も人間だった。強さを求め魔王になったのだが……お前を見て感じたことがある。一つ質問をさせてくれないか? それでオレは満足が出来るだろう。その後オレをどうするかはお前の自由にしてくれていい。まあ、戦うなら、全力で戦うがな」


 魔王が俺の目をじっと見つめる。

 2メートルを超える巨体が膝を立て、俺に頭を下げる姿は違和感があるが、その圧力は凄い。

 その勢いに俺は答えてしまう。

 なんだかわからないが、それぐらいの真剣な目だった。


「お、俺にわかることなら……」


「そうか! ありがたい! これはオレが魔王となってからの疑問なのだ」


「お、おう……」


 流石魔王なのか、その目力は生き物を跪かせる圧力がある。

 まあ跪いてるのは魔王の方だが。


 そして、俺はとにかく魔王の質問を聞く事にした。



    

強敵を前にして強さの心理を聞きたいがためにスノハラに跪く魔王。「魔王様が戦いもせず負けを認めるなど……!!」ジェミラさん正解です。

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