7話 「剣魔の魔王」①
「やっと来たな勇者よ! この前の続きをしようではないか!」
「剣魔の魔王」から声と威圧が激しく吹き荒れる。
漆黒の中に深紅が混じった戦士という見た目と2メートルを超える身体はこの前よりもオーラを放っている、が……。
「……えっと、俺とユリアとアルデはいるな。健治達は……いないのか」
「転送魔法でここに飛ばされたのは妾達だけだぞ。あいつらは今頃まだ入り口にいるはずじゃな」
「そうか……だったら都合がいいな」
何か魔王が叫んでいるがおいておこう。
とにかく先に今の現場を把握しないと。
服は……着ているな。よし。
今までのパターンなら転移したら大抵裸になることが多かったからな。
「で、ユリア大丈夫か?」
「本当じゃ、顔色が悪いのじゃ」
「……ど、どうして貴方達は普通に、出来るのですか……」
ユリアが青ざめた顔で座り込んでいる。
腰が抜けて動けないのに逃げようと後ずさっている。
そうか、普通は魔王の威圧に耐えられないのか。
「おい、聞いているのか勇者? ここに来たって事はオレと戦う気があると言う事だろ。お前も強さを求める人間なのだろう?」
「……」
よし、何か訳のわからん事を言ってるから無視をしよう。
「おい勇者、聞いてるのか……?」
「……なあ、アルデあいつお前の弟子なんだよな?」
「む? そうじゃが?」
「おい! 無視するのではない!!」
「ま、魔王様! 落ち着いてください!」
何か魔王の声が震えてきてる。
ちょっと面白いから放っておこう。
「お前も戦いが好きだから、あいつも好きなんだよな?」
「ん? 強敵と戦うのは誰だって好きではないのか?」
アルデは俺の質問にキョトンとした顔で答える。
なんか前にも聞いた事あるな、これ。
まあ、これでアルデの弟子だと再確認できたが……。
「はぁ、一度戦ったからわかるけど、あいつ割と強いんだよなー。それに前よりも強くなってそうだし。初めから覚醒状態だし」
「お、おい! オレを無視するな!!」
……できれば一瞬で片を付けたいけど、これは長引きそうだ。
「まあ、小僧とは戦うしかないのじゃ」
はあ、諦めるか、あとそろそろ無視やめるか。魔王が今にも襲ってきそうだ。
俺は魔王の方を向く。
「……わかった、わかった」
「や、やっと喋ったか! 良かろうオレを無視したのは今回ここに来た事で許してやろう! だから戦おうではないか!」
やっと話しかけてもらって嬉しそうにしている魔王。
許すって何を許すのかわからんが……。
「しかし今回は仲間を2人も連れて来るとはな。しかも1人は情けなくそこに座り込んで、もう1人は幼女とは。仲間の選定はしっかりした方が良いのではないか?」
その瞬間俺の後ろで声があがった。
「ほう? 妾を幼女扱いじゃと? 小僧の分際で妾を馬鹿にするとはのう!!」
あっ、アルデが怒ってる。
やっぱ弟子に幼女呼ばわりされるのは嫌だろな……って!
アルデの魔力が膨れ上がってるんだけど!?
「スノハラ、少し魔力をいただくのじゃ! 『生命吸収』!」
「ちょっ、お前っ……!?」
アルデが俺から魔力を少し吸い取る。
「……なんだその幼女は? 魔力が上がったぞ?」
「っ!? あの魔力は……」
「小僧! また幼女と言いおったな! 寝小便垂らしの小僧がもう許さんぞ! 一瞬で終わらせるのじゃ!」
「え? アルデ? ちょっと待てっ!!」
やばい、言葉が幼女の顔から発する事じゃない。
って、そんな事よりもアルデの魔力が段々膨れ上がってるんだけど!
俺からそんなに吸い取ってないのに、魔力少ないって言ってただろ!? 全然あるじゃねぇか!
やばい、これはやばい奴ですよ!
知ってる! 俺も一度受けたし!
アルデの魔力によって空気が凍る。気温が零度と化す。
「……っ!! やはりこの魔力は! 魔王様!!」
「ふっ! 中々の魔力だ! 受けてやろう!」
「ふっ! 小僧なんぞ一撃じゃ!」
そしてアルデが叫ぶ。
「死に晒せ!『絶対零度』!」
「そ、その方はアルデミス様です!!」
「……っ!? なっ! なにぃ!? お師匠様っ!!」
魔王とその側近が叫んだ瞬間、アルデの極大魔法が放たれた。
俺は咄嗟にユリアを庇い「絶永結界」を発動する。
その判断は正しかったと後で思うだろう。
そして魔王城が凍った。
かなり文が少ないので、今日の夕方(多分16時頃)に次話を更新します!




