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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第23章 AV女優でも母親でもない私

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AV女優でも母親でもない私 1話

沖縄には太陽が強く照りつける。

夜勤明けの私は、眠い目を擦りパソコンと向き合っていた。


私は天野遥香、今年で35歳にもなる。

今はこの総合病院で念願の医者になってから、10年にもなった。

ふと鏡の中の自分を見る。


目にクマが出来ていて、疲れてる顔をしていた。

私は自分に喝を入れて頬をバシンと叩く。


「天野先生!お疲れ様です!」

「ああ、山崎さん!お疲れ様!」


この子はよく夜勤で被る今年5年目の看護師である山崎ちゃん。

年齢は27にもなる私にとっては人周り年下の可愛い妹のような存在だった。

でも、看護師であり助産師でもあるから若くもこの病棟を支える私にとってはある意味相棒だった。


「もー、聞いてくださいよ!この間の合コンでー!」

「うんうん。」


この子は行動力はあるのだけど、少しだけ幸が薄い感じがする。

男関係や、お局の愚痴など、ナースコールがなりにくい時間帯だとこうやって愚痴をしていた。


「もー!ほんと……男って最悪ですよ!好きになった途端!実は既婚者でしたーって、じゃあマッチングアプリやるなって思いません?」

「まあ……そうね。でも、トラブルに巻き込まれなかっただけマシじゃない?」


すると、突然ナースコールが鳴り響く。

私たちは直ぐに応対をする。


「やべ!304の上田さんじゃん!あの人喘息持ちだから、何らかの気管支障害の可能性があるかもです!」

「行きましょう!」


二人で病棟に駆けつけ、山崎さんの仮説通りの症状が発生したので診断をする。

そして、ふたりで処置をしてなんとか事なきを得た。


気がついたら、そのナースコールの対応で1時間が過ぎていた。


「いやー、疲れましたね。先生、迅速な対応ありがとうございます!」

「山崎ちゃんこそ、きちんと根拠と優先順位を明確に覚えてくれていつも助かってるわ。」


そう言って、ふたりでハイタッチをする。

これが、私にとっての日常だった。


☆☆


その後も私は医者として患者に向き合い、最大限努力をしている。


「うんうん……宮田さんは、確か妊娠して9ヶ月でしたね!そろそろ予定日だったかしら?」

「はい、そろそろ楽しみです!」

「いいわね!きちんと大きくなってるし、私も楽しみ!」


基本的に私は産婦人科の業務をやることが多い。

内科とかもやってきたけど、産婦人科が私にとっては生命が生まれる瞬間がとても好きで、ある時期から先行していた。


「産む時は、是非とも天野先生に対応して欲しいですね!」

「まあ!嬉しいこと言ってくれる!多分男の子だけど名前決めてるの?」

「はい!ナオヤって名前にしようかなって思ってます!」

「ナオ……ヤ……。」


ふと、その名前に妙に心が撃たれるようだった。

自分が生む予定だった子の名前が直輝だったからかな。


もし、あの子を有無決断をしていたら……彼女のように明るい私もいたかもしれない。


「天野先生?どうしたんですか?」

「ご!ごめんなさい!ナオヤ君ね、いい名前だと思って感動しちゃったの!」

「そうなんですね。」


実際、私は妊娠した時の相談から出産まで携わっていてその過程がとにかく好きだった。

そして、産まれる瞬間を目の当たりにすると、自分も嬉しくなって泣いたこともあった。


でも、妙にその嬉しさが胸を締め付けるようでもあった。


☆☆


「お疲れ様でした、お先に失礼します。」

「「お疲れ様です!」」


そういって、私は沖縄の街を歩いてもうすぐ昼だと気がつく。

南海トラフ地震の後は復興には時間がかかったけど、人々が手を取り合い、少しずつ街としての機能を取り戻していて、相変わらず私はこの街が好きだった。


私の実家は、瓦礫の波に飲まれて今ではよく分からないビルになっている。

あの角は……直人君の最期を見届けたところ。そこも今ではコンビニになっている。


歴史というのは、こうして景色か新陳代謝されることがやっとこの歳になってわかってきた。


でも……この景色だけは変わらなかった。


コバルトブルーの大海である。

砂浜は白く煌めき、太陽の光を乱反射している。

ほのかにザザーっと波の音と潮の香りが私の背中を押していた。


夜勤を終えたあとのこの景色にはいつも救われてきた。


私はそこで深呼吸をして、背を向ける。

大丈夫、私はは私の選択でここにいる。

前を向いて歩いている。


そう思い、迷うこと無く帰り道へ進む。


これは、誰も知らない天野遥香のもうひとつのアナザーストーリー。

直輝を知らない彼女は何を見て、何を感じるのだろう。

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