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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第22章 天野家とみんなとハッピーニューイヤー

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天野家とみんなとハッピーニューイヤー 9話

今年の年末年始はとても良い時間を過ごせたと思う。

確かに大凶は痛手だったけどみんなと過ごした時間、思いを交わしあったこと…全てが初めての経験だった。


でも、それももう少しで終わる。


家に帰ると、みんなは振袖を着替えて帰っていく。

男性陣もやっと起きたと思えば、みんなは親族に顔を見せに行く。


「んじゃあ、なおっちそろそろ帰るわ〜今年もよろしくな。」

「うん!また勉強ビシバシ頼む!」

「おうよ!」


そう言って、友達がいなくなり少し夕陽が差し掛かる我が家を母ちゃんと片付けた。

非日常が見慣れた日常に戻る感覚は、寂しいようで……でも新年が開けて気が引き締まるようだった。


「なんか、賑やかになったね!私たちの日常は。」

「うん、たまに疲れることもあるけど、飽き飽きしないよ。」


すると、母ちゃんはふと何かを思い出したかのように納戸に言ったと思うと見慣れた小道具セットを持ち出してきた。


「ねえ直輝……書き初めしない?」

「書き初め〜?」

「ちょっとさ、気が引き締まる感じしない?」

「ったく……わかったよ。」


そう言って、和室で俺と母ちゃんは新聞紙を引いて正座をする。


そして、墨汁を墨で濃くしてまずは試し書きする。


「見て!書けたよ!」


母ちゃんはそういうと粗末な時で「AV女優」と書いた紙を見せてきた。


「………母ちゃん?やっていい事と悪い事があってだね?」

「ご……ごめん、冗談だってば。」


さて、小芝居は置いておいて胸の内の言葉を簡単に文字にするって結構難しい。

なんだろう……俺は何を求めてるんだろうか。


母ちゃんは、どんどん文字を書いては別の文字を書いている。


「友情……んー、努力……これも違う……勝利?」

「なんでジャンプなの母ちゃん。」

「だって〜なんかしっくり来ないんだもん!」


1文字を考えるのにも時間がかかる俺とたくさんも字を書くけどしっくり来ない母ちゃん。

妙に対照的だなと感じてお互いの生き方そのものが現れるようだった。



まあでも、答えはシンプルだ。

俺は今年……どうなりたい?

何を目指し、どういう文字が合うか考えて、ボキャブラリーの少ない脳みそから……有り触れた文字が出てきた。


「おおー!直輝……意外と字綺麗じゃん!」

「母ちゃんは……もう少し丁寧に書いた方がいいかも。」


俺の書いた字は、「成長」。

めっちゃベターだけど、今の俺じゃ医学部なんて到底いけっこないし、医者になったあとのメンタルだってそうだ。


まだまだ俺は目先のことにブレすぎている。

きっと大凶は今のままでは行けないという警告と俺は受け取った。

そんな俺を戒めるかのように、この気持ちを思い出せるかのように敢えて成長と書いた。


「直輝は…成長か、今の直輝らしいかも!!」

「そうかな?」

「ん!私もビビッときた!」


そう言って母ちゃんはまた次の紙を用意し書き出す。

数えたらもう16枚も書いていた。

でも、最後の文字はゆっくり、そしてシンプルに書き上げていた。


「よし!書けた。」

「輪」とかいてある。

さっきまでの雑な字とは違って思いのこもった味のある字に変わっていた。


「輪、か……どうして?」

「去年は、とにかくたくさんの人に恵まれたから、その人との繋がりを大切にしたいな〜なんて思って!」


確かに、飯田をはじめとするみんなに出会って俺は変わった。

小さな秘密から始まった物語。

きっと俺たちだけじゃ乗り越えられなかったことは沢山あるだろう。

それを一つ一つ助けてもらいながら乗り越えていった。


成長することしか見てなくて、忘れてしまったけどとても大切なことだった。


「いいじゃん!俺もその字気に入った!」

「じゃあ、後でこれリビングに並べて飾ろ!」

「だな!」


書き初めを終えると……お腹から空腹の音が2人揃ってリビングに鳴り響き、お互いに笑ってしまう。

考えるだけでもかなりカロリーを使ってしまうのかもしれない。


とても、良いスタートを切れた気がする。


「ねえ!年始だしケンタッキーでも行こうよ!」

「あ、そういえば我が家はいつもそうだったな。」

「私ね〜ビスケット好きなんだ!メープルシロップかけてさ!」

「うん、昨日は仕込みとか大変だったし、ケンタッキー行こ!」


そう言って、いつもの日常に戻った我が家を俺たちは出ていく。

暖房がほんのりと効いたリビングが少しずつ冷めていき、そして2人で書いた書き初めの墨汁が少しずつ……少しずつ乾いていき、確かな文字として刻まれていくのであった。

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