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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第22章 天野家とみんなとハッピーニューイヤー

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天野家とみんなとハッピーニューイヤー 5話

「…おき!……ろ!」


ん…。


「直輝ー!……るよ!」


うっさいな……。

歪んだ声がどこまでも続いていて、頭の中に妙に響いてくる。

そうだ、俺は家でみんなで集まって……紅白を見て、それからどうしたっけ?


俺は目を空けるとソファーに座ったまま寝ていて、瑞希が俺を起こしに来たみたいだった。


「瑞希……?」

「ったく!やっと起きたな〜もう紅白も終わったぞ!」

「……まじ?すまん、めっちゃ寝てたみたい。赤組と白組どっちが勝った?」


テレビを見ると皆が一同にホタルノヒカリを歌っていた。

この歌ってどうして聞くと「終わり」って言葉が脳によぎるのかいつも不思議だ。


「今年勝ったのは!白組の皆さんでしたー!」

「うおーー!」


テレビの中の拍手喝采がどこか上の空である。

どうやら、今年は白組の圧勝のようだった。


「……ほら、もうみんな着替えてるし行くぞ!」

「うーん…。」

「重い……でかい赤ちゃんじゃねえか!!」


こうして、いつの間に睡魔に襲われた後の俺はワクワクも意気消沈として新年を迎えそうになった。


☆☆


「ごめーん!直輝やっと起きた!」

「おせーよ!なおっち!」


みんなは既に寒さ対策バッチリの格好で待っていた。

本当に俺だけ残されそうだったけど瑞希が最後まで気にかけてくれてたみたいだった。


「じゃあ!まずは神社にレッツラゴー!」


そう言って瑞希はいちばん楽しみにしてたのか先導していた。

いかん、少しだけ手が冷たいかもしれない。

冬の深夜は驚く程に冷たくて、冷蔵庫の方が暖かいのではと錯覚してしまうほどだった。


ソファーで寝てたいで体温も放熱されている。


すると、誰かがこっちに近づいて俺の手を握る。

触りなれた長細い指と少し長めのネイルでその手の主が舞衣だと気がつくのにそう時間はかからなかった。


「えへへ……直輝くんの手冷たい。」

「舞衣は……暖かいな。」


ただ手を繋ぐのではない、手のひらを合わせ指を絡ませた恋人繋ぎに途中変わってこの時間は離さないと言わんばかりの握り方だった。


「こうしないと……直輝くんまたどっかに行きそうだから、もう離さないよーだ!」

「その……諸々申し訳ない。」


そう、俺たちは付き合っている。

なのに俺は彼女を見てやれない時が多々あった。

きっと、思うことが沢山あるのかもしれない。


だからこそ、この手の握りがより重く感じてしまう。


「直輝くんは……私の事好き?」


彼女の顔は見えない。

でも、きっと不安で試してるのかもしれない。

答えなんて一つだった。


「そんなの、好きに決まってるだろ!」

「うん、知ってる。」


どうやら、その思いでさえも手のひらだった。

少し知らない間に彼女は一段、また一段と強くなった気がする。


「俺は……思い返せば君に助けて貰って強くなったし、やっと夢を見つけることができたんだ!まだ……舞衣に恩返しも、何もしてやれてない。なのに優柔不断で……そんな自分が、情けない。」


みんなが少し離れて紅白の感想を楽しく話してる中、俺達は少し離れた最後尾で少しだけ本音をはなしていた。


俺が選んだのは……この日常で、俺が好きなのは舞衣なのだ。

それは揺るぎない事実だし、腹を括らなきゃ行けない。


「んーん、私も優柔不断だよ。最近学校で言い寄られる事もあってさ……1回デートしちゃった。ごめん。」

「え………。」


胸が張り裂けそうな喪失感がある。

舞衣がもしほかの男を好きになったら?そんなの耐えられるだろうか?

いや、俺も同じことをしてるから同罪……彼女は許されるべきなんだろうけど……少しだけそれに怯えると彼女の手を強く握ってしまった。


いつの間に冷めた手のひらが少しだけ汗ばんでるのを感じた。


「でも、やっぱり断ったから安心して。」

「そっか……それなら。」


妙に安心してしまった自分がいた。

それだけ俺は彼女のことを好きだと感じてしまった。

今は勉強の優先順位が高いけど、彼女のことももっと大切にしなきゃ行けないと腹を括った。


「舞衣……改めて俺は、君のことが好きです。来年は受験だし……医学部になった時にもしかしたら離れ離れになるかもしれないけど、でも俺には君が必要です。こんな俺でも……これからも付き合って貰えませんか?」


つい、そんな言葉を彼女に伝えてしまう。

もう付き合ってるのに、どこかリスタートのように彼女に告白をしてしまった。

きっと、1度揺らいだ決意を入れ直したいためかもしれない。

彼女の顔は……一瞬だけ見えた。

新年の花火が上がり、彼女の顔が照らされていた。


「はい、私でよければ。」


その顔は……一切の疑いもない無条件の愛に溢れた笑顔だった。

冬の空は澄み切っていて、オリオン座が一際美しく輝く。

花火が上がり、新年を無事に迎えることができた。


「ほら、急ぐよ!だいぶみんなから離れちゃった!」

「……だな。」


少し二人で駆け足になる。

冷えきったからだは歩いたからなのか、それとも心が暖かくなったのか少し汗ばんでいた自分がいた。


今年は……確か午年、馬は勝負の象徴とも言われていて、どこまでもかけ巡る年にしたいという思いを抱き、みんなの元へと走っていった。


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