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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第10章 俺の後輩は死にたがり

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俺の後輩は死にたがり 6話

※100日チャレンジ27日目

名古屋に着いた俺たちは一先ずバスまでの時間があるのでとある喫茶店で腹ごしらえをしていた。


名古屋というのは独特なソウルフードが多い。

例えばきしめんや味噌カツ、そして小倉トーストなどここでしか味わえないものが沢山だ。


帰りになおっち達にお土産できしめんでも買ってあげよう。

手羽先も喜びそうだ。

あいつらが恋しくなる。


まあ、それはさておき今俺たちは喫茶店で小倉トーストを食べることにした。


「お待たせしました……小倉トーストです。」

「わあ……!」


フェイスカバーとサングラスをつけてるので分からないが彼女はとても喜んでるみたいだった。


小倉トーストには、小粒の粒あんがのっていてマスカルポーネチーズがしいてある。

口に入れると、マスカルポーネのさっぱりとした味と、粒あんのスッキリした甘さがトーストの味を引き立てていた。


「おいしいです!先輩!」

「お……おう……美味そうに食うな。」

「はい!私ココ最近はいつもカップ麺でしたから……それ以外を食べるのが新鮮です!」


うん、きっとこいつは可愛い表情で食べているのだろう。

周りから見るとフェイスカバーの変態が食べているに過ぎないのだが。


「ねえ、先輩。宿泊先とか決まってるんですか?」

「ああ、今回目指すのは阿智村ってとこだから、近くに温泉がある宿にした。」

「ええ!?温泉!?」


御坂はテーブルをバンっと叩いて喜んでいた。

温泉とかはいるのかな?なんか、入ったこと無さそうだけど。


「どうやら、この辺りだと昼神温泉ってとこが評判らしいんだ。単純アルカリ温泉で肌が綺麗になるらしい。」

「へー!でも私……既にめっちゃ綺麗だから惚れちゃうんじゃないですか?」

「かもなー。」


美白効果があってもこいつの場合は真っ白だからな。

アルビノが温泉に入ったらどうなるのか気にはなる。


「もう〜、美しすぎて突然襲わないでくださいよ〜。」

「うるせえ、ばーか。」

「あー!ばかって言った!ばかっていう方がばかなんですー!ばーか。」

「それ、お前もばかってならないか?」

「……一緒ですね、先輩♡」


ふざけてるのか、それともじゃれてるのか。

いや、両方だな。

そんなことを話していると、既に時刻は15時を回ろうとしていた。


「おっと、そろそろバスの時間だ。行くぞ。」

「はい!先輩。」


俺たちはバスに乗り、隣の席に座る。

窓際に俺……通路側に御坂を乗せた。

あくまでこいつはアルビノ、日光を浴びすぎるのは健康に良くないからだ。

そんな最低限の気遣いをしつつ、バスに乗る。


こっから1時間ちょい高速に乗ることになった。


ルートは……意外とシンプルみたいだ。

名古屋から北上して先ずは多治見や土岐市に行って、そこから恵那山トンネルを超えた先に阿智村に着くようになっている。


宿まではタクシーで予約を取れば良い。

先ずは宿にチェックインしてからナイトツアーに行く段取りでいいみたいだ。


そうやって何となく段取りを考えていると……急に肩に重みがかかっていった。


御坂が俺の肩に頭を当ててウトウトしているのだ。

普段昼夜が逆転してるこいつは普段寝ている時間だ。

慣れない旅で疲れてるのかもしれない。


普段ならデコピンで起こすのだが、今回ばかりは許してやることにした。

俺はこいつの死にたがりを治療しなければ行けない。

だからこそ、共に生きる道を考えるのだ。


少し暇だったので俺は参考書を読んだのだが、驚くほど頭に入っていった。

分からない単元を分からないまま問題に臨んでいたのだけど、頭が冷静になったのかなんで間違えたのかが明白になった。


今まで、本当に無理して勉強していたんだなと自分の非効率さに少しうんざりしつつ、それに気づかされた御坂には感謝しないと……。


しかし、1時間のバスは思いのほか俺も眠気を誘っていて、気がついたら眠っていた。


☆☆


「……ぱい。先輩。」


いけね、少し眠っていた。

少しぼやけた脳を無理やり起こして状況を把握しようとする。


目が覚めると、逆に俺が御坂に体を寄せて眠っていたことに気がつく。


「……。」

「あ、先輩やっと起きた〜。先輩寝顔可愛いですけど、なかなか起きなくてヒヤッとしましたよ。危うくチューしちゃうとこでした。」

「おい、離れろ。」

「えー?私たち一応付き合ってるんですよ?こういう時にイチャイチャしないと不自然じゃないですか?」

「うるせえよ、起こしてくれてサンキュー。」


俺たちはバスを降りる。

そして、タクシーを使って昼神温泉に向かった。

昼神温泉は河川をまたいで幾つもの宿泊や温泉施設があるところだった。


山奥にあるので雰囲気もどこが静かである。

この辺りは蕎麦や馬刺しが名産品のようだった。

実は俺は馬刺しが好きなので食欲がそそろれる。


この赤みから出る臭みのない味が好きだ。

少ししょうがなどの薬味をつけて、濃口の醤油を付けるとこれがまた絶品なのだ。あとで頂くとしよう。


タクシーで進むと、目的地の宿に着くことが出来た。

みると、木でできた歴史と威厳を感じる門があった。


「先輩……なんか、お城みたいなもんがあるんですけど。」

「いいだろう、お城の雰囲気。」

「ラブホテルも昔はお城に見えることありませんでした?」

「いや、せっかくの感動ぶち壊すなよ。なんてこと言うんだよ。」


そんな漫才をしつつ、宿に入ると着物を着た若い女将がいて、一流ホテルのようだった。


「予約していた虎ノ門だ。」

「虎ノ門様、お待ちしておりました。こちらのお部屋になります。」

俺たちは威厳のある外観と、中庭の緑と調和したような内装を見ては唖然としてしまった。

想像はしていたが見事である。


部屋に入ると、御坂は驚きのあまり慌てていた。

想像以上のクオリティに驚いているのだろう。


「先輩!ここめっちゃ凄いですけど……星あるところですか?」

「あ?あー、5つあった気がする。」

「5つ!?なんで先輩の為にこんな凄いところ……、なんとお礼を言っていいか……。やっぱ脱いだ方がいいですか?」

「うるせえ、俺が行きたいからここにしたんだ。変な気負いをするなばか。お前は何となくここを楽しんでくれたらいいんだよ。」


そう、ここは5つ星のホテルに区分される一流の宿だった。

単に浪費のためではない。

親父にはある教訓を教わっているのである。

機会があればとにかく一流に触れるべきだとな。

だから、親父に5つ星ホテルに人生経験で泊まりたいと頼んだら快く承諾してくれたのだ。


流石はANAの役員。金はたんまりとあるらしい。

帰ったらお土産の一つや二つ出さないといけないな。


「先輩って……口悪いですけど本当にかっこいいですよね。いつか大物になりそうですよ。」

「ありがとな、もしあれなら温泉入ってもいいんだぞ。ナイトツアーまであと2時間以上あるしな。」

「んー、じゃあ……人前怖いので部屋の温泉にしてもいいですか?」

「あ?まあいいけど……。」


まあでもアルビノって歴史上でみると、迫害であったり珍品とした扱われていたりと人間の残酷さが前面に出ている。

ここで見られると御坂は心無い人間に傷つけられる気もしなくもないので、良い判断だ。


それに、せっかく部屋に温泉が着いてるのなら使わなきゃ逆に損である。


「……先輩、みててね。」


すると、御坂はフェイスカバーとサングラスを外すと服を脱ぎ出した。


「ばか!脱衣所で脱げよ!」

「……先輩、目を逸らさないでください。」


すると、御坂は1枚……また1枚と脱ぎ出した。

別にそんなに緊張する必要はないのだが、何かいけないようなものをみているようで焦ってしまった。


目を向けると、御坂は新雪のような髪と肌を見せていて、下着がはっきりと見える状態だった。


この真夏の中フェイスカバーなどの厚着をしていたため、少し汗が滴る漢字がする。

いつものおちゃらけた御坂とは打って変わって……表情は恥ずかしそうで純白の肌にほんのりと赤みがかかっていた。


「先輩、私……気持ち悪くないですか?こんな見た目で、人として扱えますか?」


御坂はきっと怖いのだ。

さらけ出すことで自分を恐怖や迫害の対象にされるのが、今……俺は試されている。


「綺麗だけど……俺と何が違うんだ?アルビノとか関係ない、化け物でも吸血鬼でもなんでもない。お前は俺と同じ人間だ。」


そんな、少し無神経に取れる俺の言葉に御坂は嬉しそうな顔をしていた。

恥ずかしそうだったけど、承認されたことで安堵したような……そんな暖かい表情をしていた。


「きゃー!先輩のえっちー!」


御坂は急に脱衣所にかけ出す。

御坂は大人びているけど、やっぱり子供のようなところがあった。まったく……本当に困ったやつだ。



森の深淵と、川のせせらぎ……少し夕日がさす尊厳な和室にて俺は静かに勉強道具を取り出して、少しだけ晴れた気持ちで机に向き合うことにした。

ナイトツアーまで、あと2時間。


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