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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第一章:四十代から入れるダンジョン

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62:清州ダンジョン 1/3

 清州ダンジョンの出入り口から清州ダンジョン内部へ入る。

 いつもダンジョンに入るときのあのつぷっという感触はやはりこちらでも感じ取ることが出来た。この感覚はダンジョン共通のものか。つまり、たった今正式に清州ダンジョン第一層に立ち入ったことになる。


 清州第一層の内観は小西第一層と変わらず、ごつごつとした岩肌が光るコケによって薄明るく照らされている。ここに来て気づいたが、もし暗かったらLEDライトなり明かりなりを準備しておかねばならなかったのではないか。また一つ勉強になった。


 清州第一層は小西に比べて広いせいか、入った瞬間に広間があった。ここから複数の入り組んだ道と、第二層へ直通する広小路通りともいえる道が続いているらしい。道まで名古屋なのか。


 とりあえず真っ直ぐ道なりに進む。同じように二層へ向かおうとしているのか、同じ道を進む探索者が幾人か見受けられる。地図によるとこのまま千メートルほど進むと二層への階段があるらしい。


 ちょっとわき道にそれてみるか。適当な横道を見繕って本通りから外れる。


 しばらくすると第一スライムを発見する。腰に止めた熊手を手に取ると、手慣れた作業でスライムに向き合う。どうやら清州でもスライムはスライムらしい。


 優しく包んであげると核を狙って熊手を掻き入れる。核が転がり出ると俺はこなれた動作で踏みつぶした。スライムは消滅する。後には何も残らない。


 うん、問題なく行けるな。何かドロップを落とすまでスライムを狩って、それから大通りに戻るか。

 どんどんわき道を進みつつ、自分が居る方向を見失わないようにする。


 小西より広い分、わき道の行き先も多い。当然、道の先には他の探索者がいるわけで、スライムと交戦している横を邪魔しないように通り過ぎる。


 熊手、持ってる人いないな。やはり熊手スライムはマイナー競技なのか。


 他の人の作業を横目で見つつ通り過ぎる。剣で核だけを潰し抜こうとしたり、そのまま核ごと切り裂こうとしたり、バリエーションは豊かだ。


 そういえば他人がスライムを倒そうとしている様をまじまじと観察するのは初めてかもしれないな。一番初めにバールで掻き出していたころを思い出す。今カバンにしまい込んであるグラディウスはバールに比べれば軽いが、それでスライムの核を潰せと言われるとちょっと苦労するかもしれない。


 なんせ、その気になれば素手で潰せるのだ。わざわざ溶かされるかもしれない武器を使って核を取り出そうとするより、手慣れた熊手でもって行うほうが何より効率的である。


 そう思いながら歩みを進めていく。人、スライム、人、人、スライム、人、スライム……やっぱり人多いな。スライムより人のほうが出会う回数が多いぐらいだ。いっそのこと人を狩ろうか、などと思いたくもなる。

 というか、この人口密度でスライム狩ってて黒字にできるんかいな?


 もっと奥のほう、わざとメインストリートから外れたほうへ行かないとスライムの大群には出会えない気がする。ぜひそうしたいが、それは今日の趣旨じゃない。今日はあくまで清州ダンジョン体験だ。サッサと二層へ行くか。


 これが地上の名古屋市内だったら名古屋高速を目印に広い道へ出られるんだけどな~などと思いつつ、広小路通り(命名俺)へ無事に出れた。


 とりあえずすれ違った人に二層へ向かうのはどっちかを尋ねて、教えてもらったほうへ行く。そこから更に十五分ほどかけて歩いたところ、下層への階段を見つけた。そこそこの人が小休止している。


 俺も小休止したい気分になったが、二層へ行こう。見回ってしまえるうちにそうしたい。なんだかんだで都合一時間ほど一層を巡ったことになった。ドロップはスライムゼリーが六つ程だけだった。


 二層へ降りる。やはり人が居る。むしろ一層より多いぐらいじゃないか?とも思える。

 熊手を腰につけなおすと、バッグからグラディウスと盾を取り出す。準備はばっちりだ。


 二層から三層への道はこれまでとは違い多少入りくんではいるが、三層を目指す人の流れがあるので迷わずに済みそうだ。


 まず横道に入ろう。そしてウルフ肉を手に入れるまでそのまま横道を進もう。私が決めた今決めた。


 さすがに横道へ入ってすぐあたりは人がいて、手が出せそうなグレイウルフはいない。スライムがちらほらいるだけのようだ。グレイウルフだけを相手にしてスライムを相手にしない人がほとんどのようなので、置いていかれたスライムはグレイウルフとともに遅れて黄泉路へ跳ねていってもらおう。


 五分ほど歩いて、手つかずのグレイウルフ二匹連れを発見する。周りに人は……居ないな。横殴りはノーマナーで通報されるので気を付けなければいけない。こいつはどうやら大丈夫のようだな。


 スキップ気分でグレイウルフのほうへ近寄っていく。グレイウルフはこっちに気づき、一直線に向かってくる。いいぞ、そういう単純な動きを俺は待ってたんだ。


 こっちへ来た順に一撃ずつお見舞いして、グレイウルフに黄泉路へ旅立ってもらう。向こうでも二匹仲良くな、達者で暮らすんだぞ。


 その後こっち側では人通りが比較的少ないのか、グレイウルフにちらほら会うことはできた。密度的には小西ダンジョンと変わらないか、少し少ない感じか。ここで少し稼いでおこう。


 出会うたびに一刀のもとでグレイウルフを屠り去っていく。もうグレイウルフでは満足できない体になりつつある。これは三層に向かっても良い頃合いかな。肉が出るまでグレイウルフを堪能した後、元の道に……どっちだっけ。


 えっと横道にそれてこうやってきたから……三層階段まで三十分ぐらいかかりそうだな。俺は駆け足で三層への道へ行こうとするが、そういう時に限ってエンカウントが発生するのがフラグというやつである。


 三十分で走りぬける予定のところを四十五分ほどかかってしまった。その分ドロップはしっかり確保したので結果的に良しという事になった。


 保管庫縛りをしてるおかげで、徐々に背中のバッグの重さが増加していく。三層ではあまり派手な動きはできないかもしれないな。ここからが本番だ。気合入れていこう。





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― 新着の感想 ―
[気になる点] >>そういえば他人がスライムを倒そうとしている様を見るのは初めてかもしれないな。 流石にいくらでもあったでしょ、大量発生の時とか。
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