36:オープンワールドゲーでも隅々までは回らないタイプ
本日は二回更新する予定です
ダンジョンで潮干狩りを
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朝だ。今日も元気に筋肉痛だ。もう慣れた。嘘、痛い。
トースト二枚に目玉焼き、キャベツを千切りにして朝食セットを用意して食事にする。
ダンジョン通いで体をよく動かすせいか、少し物足りなさを感じる。今度グレイウルフ肉を持ち帰って自分で料理してみるのもいいかもしれないな。中華屋で出してもらったウルフカツも刺しも美味かった。
次は生姜焼きにしてみるのもいいな。それともにんにくを効かせて山賊焼きにしてみるか。皮算用で夢が広がるな。トーストを追加でもう一枚焼きつつ、俺は次回の予定を組み立てていく。
朝食を食べて一服したところで、今日何するか決めようか。
一つ、ダンジョンに行く。しかし筋肉痛引きずって三日続けてダンジョンというのもあまり体に良くないんじゃないか。あくまでダンジョンへ潜るのは……再就職までのつなぎだ。
言うなれば休暇だ、ロングバケーションだ。労働ではなく余暇を利用して潜っているに過ぎない。無理に消化する必要は無いのだからして、今日はダンジョンへは行かない。
じゃあ何をするのかというと……やる事これといって思いつかないな。俺今まで仕事の休みは何をやっていたんだっけ?
◇◆◇◆◇◆◇
ボーっとネットの海に潜る。気が付くと検索するのはダンジョン関連のワードばかりだった。
ふと、手元にあるヒールポーションに目が行く。そういえばこのヒールポーション、どういう原理で回復効果を付与しているんだろう。
飲んで治る間には化学的、もしくは非化学的作用でもって身体に反応しているはずだ。
ダンジョンが出来て三年も経つんだからなんらかの研究は為されていて、それについての結果はセンセーショナルな話になっているだろう。
医療研究にも役立てられるだろうし、ポーションをダンジョンからだけではなく、化学的に合成することも目指すはずだ。なら論文か何かが出てるはず……とネット上を検索したら確かに何本か論文が出ていた。
それによると、ヒールポーションには主に……赤血球で……未分化の……多能性幹細胞……の自己複製機能……を促進し……ムズカシイコトハヨクワカラナイ。
ざっくり言うと、細胞を無理やり活性化させて元の形に戻る様に分裂・再生を働きかける力があるという事は解った。
ヒールポーションランク1が手元にあるという事はランク2とかランク3とか、よりレベルの高いものがある。現在ランク4までが確認されており、ランク4なら四肢切断ぐらいまでなら治してしまうことが出来るらしい。
ただしヒールポーションの副作用として、細胞を無理やり活性化させるためのカロリーが大量に必要だという事らしい。要するにすごくお腹が空くようだ。
たしか人間には限界摂取量というものが存在し、それを超えて摂取しても吸収分解されないらしいので、消費された分以上をその場で一気にとってしまうとかはできず、脂肪として蓄えられるとか昔減量する時に目にした覚えがある。
そうすると、そういった人体形成上の限界を無視して回復させる効果があるということか。切り傷や指一本程度の怪我から四肢再生にいたるまで瞬時に回復してしまうという事は、ポーション自身にそれらを乗り越えるダンジョン力みたいなものが作用しているという事になる。すげえなダンジョン。
ダンジョン二十四の不思議に加えておこう。
ちなみにヒールポーションの親戚にキュアポーションというものがあり、こちらは肉体的には何ら作用しないが精神的・病理的な作用があるらしい。主に風邪・腹痛・下痢・中毒症状等に効果があり、神経系統の病気に効果があるらしい。
ランクの高いポーションではもしかしたら現在ではまだ治療不可能な認知症にも効果があるのではないか、と研究という名の人体実験が進められているらしい。
そうすると擦り傷切り傷軽い出血なんかを即座に回復するというのは救急救命や簡易治療品としては非常に助かる一本なわけだ。一本一万円での買い取りも納得である。
色々ポーションについての知見を得たので、ついでに探索補助グッズについて調べた。
昨日考えていた尿意・便意の件だ。探索者専門の店には必ず置いてあり、探索者以外にも建設現場やトイレを運び入れることが物理的に不可能な場所での危険作業でも有効活用されているそうで、ホームセンターにも今では普通に手に入れることができるらしい。いつものところ行ってみるか。
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いつものホームセンターについた。探索者用品をいろいろ見回ってみようと思う。
普段行かないコーナーのほうを見回ってみると、探索雑貨のコーナーに確かにあったよトイレ用品。しかもお安く、一個から百個まとめていくらまででドサッと置いてあった。なんで今まで気づかなかったんだろう。寄り付かなかっただけか。この際、もっと隅々まで見ておくべきか。
普段見回らないコーナーで商品を見て回る。ダンジョン用品一つとっても色々あるもので、ドロップ回収用のずだ袋一つとっても種類がある。
行きは荷物をできるだけ軽めにしても、帰りはドロップ品を持ち帰るために容量を工面しなきゃいけないからな。逆に、複数日かけてダンジョンに潜る場合には持っていく糧食も増えるし、さっき見たような衛生用品も多くなる。
どれだけダンジョン生活を豊かにできるかはモチベーションにも関わるだろうし、できれば俺もボソボソのカロリーバーよりも温かいシチューか何かを食べながら挑みたい。飲み物だって水だけじゃなくて冷えたコーラを飲みたいときもあるだろう。
そういう部分に関して俺はどうも鈍感であるというか利口ではないというか、無頓着であるらしい。駄菓子屋に売ってるような風味の変わる粉ジュースでも、ただ水を流し込むことに比べればはるかに理性的というか生活味があるというか、欲求により忠実であるというか。
今まで重点を置かずに済んだのはあくまで浅い階層にしか潜っていなかったのと、日帰りだからと一時的な食欲を満たすためにしか補給をしてこなかったという主に二点。
今後はそういう部分にも精力的になったほうがいいのかな。ダンジョンライフスタイルは人それぞれとはいえ、あまりにストイックすぎるのも人生面白くない。
とりあえず排泄用品は大事だ。これは購入しておこう。今まで偶々催さなかっただけで今後立ちションベン野グソなんて事をして、バレてダンジョンから追い出されたりしても困る。多めに買っておこう。
どうせ保管庫に放り込んでおくんだ。量があっても困ることはないだろう。
というわけで百個セットをお買い上げしておく。ついでに簡易トイレ用の携帯衝立もあったのでそれも購入しておく。後は水で溶かす粉ジュースもあるといいな。これも何種類か買っておこう。
なんだか楽しくなってきた。これもこれもと買い物をしていく。カロリーバーも複数種、ゼリータイプもいくつか、それから飲むタイプのカレーとかISSでも食されているらしいミソカツとか……買い物楽しいな。
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防具のコーナーにやってきた。最初に目についたのは空調服だが、ダンジョンの中は基本的に気温が一定なので、必要とすることはなさそうだ。
灼熱や極寒のエリアがあればその限りではないが、しばらくの予定でそんなところに行くことはないのでパスした。防刃仕様の物には少し惹かれるものがあったが。
この間調達した小盾も傷やへこみは目立つものの、交換するというところまではすり減ってないと判断しこれもスルー。
避けれるものは避けていく回避タイプの戦闘をする場合重くなるような装備は動きを阻害するのでよろしくない。そうなると防具の選択肢は狭まる。今のところ問題ないならこのままでいいかな。
防具の隣の武器のコーナーも寄ってみたが、同じく今の段階で展示されてる商品と交換して使っていこうというピンとくる武器は無かった。
しいて言えばもう少し長いマチェットを用意するか、予備のマチェットを用意するかという事ぐらいしか思い浮かばなかった。予備のマチェットと小盾を一セットさらに持ち歩くというのは荷物が怪しまれる点からベターではない。
予備武器は熊手のままでいいだろう。
◇◆◇◆◇◆◇
気が付いたらカート一杯の商品が目の前に積まれていた。買いすぎたか?
でもいずれ使うものをチョコチョコと買い足していくのと、まとめ買いするのとはその度に時間を使うか使わないかの差でしかない。
それに探索者割引も利くんだからそんなに高い値段にはならないはずだ。一応財布の中身は把握しているしそれから足が出ることは無いだろう。
そう思って会計に進んだが、確かに足は出なかったが目玉は出そうになった。買いすぎた……
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