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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第四章:中年三日通わざれば腹肉も増える

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264:回 3/3


 十一層をグルグル回る。ひたすら肉集めに回る。肉のためにグルグル回る。さすがにバターになってしまうほどには回らないが、目標の数を集めるまでは回る予定だ。


 肉を集める作業はあの後緊張する場面も無く、酸を受ける事も棍棒が飛んでくることも無く、安全な探索を続けることが出来ている。


 一時間でおよそ十個ほど肉を集めることが出来た。ヒールポーションランク2も二本手に入った。これは結構運が良いほうだ。このペースで進むなら一時間半ほどで目標の五十個を集めることが出来るだろう。


 念のためこの辺で一度休憩を入れようと提案する。水分とカロリーを補給し、五分ほど休む。


「お肉後何個? 」


 文月さんは肉の目標にご執心らしい。目標にしているんだからそりゃ気になるわな。


「後十八個。このペースでやるなら一時間半。ペースを上げるなら……一時間ぐらいで達成できそうではある。ペース上げる? 」

「戦闘には余裕があるのでペースを上げても良いと思います。ここでもタイムアタックしてみますか」

「よし、やってみるか。今の個数と時間を記録して……よし、いくか」


 休憩を終わり頭も完全に戦闘モードに切り替える。いかに早く移動していかに早くモンスターを屠ってドロップを確実に拾っていく事に意識を持っていく。


 狩りというお仕事に意識を集中すると、自分の体の動きとモンスターの動き、ドロップが落ちたかどうかと相棒の動き以外の事は意識から何処かへ飛んでいく。その分体感時間が長く感じるがこれもまた一つ一つ自分の動きを確認するためには大事だ。


 親指、五、三。ステータスブーストの段階を一つ上げてより早く、より効率的にモンスターの相手をする。酸が飛んできてもゆっくりに見える。そのゆっくりさに体がなじんでいるので避けるときも余裕を持って避けれる。なんなら近寄って行って保管庫に収納も出来る。


 ジャイアントアントがゆっくりに見えるようになった。前はもうちょっと素早かったな。これも経験値的なものが十分に溜まってきている証拠なのだろう。もっとゆっくり動いてくれるまでには今しばらくの時間がかかるだろう。


 小指、三、二。オークに素早く駆け寄りオークが棍棒を振り上げている間に懐に入り込み腹にグラディウスを突き刺し、そこから心臓マッサージの雷撃を流し黒い粒子に還らせるとすぐさま奥に居たオークに照準を合わせ、同じ動きで二匹目も倒す。


 そういえば、ジャイアントアント六千匹なんて目標を立てたこともあったっけ。数を数えておくべきだったか。すっかり途中から抜け落ちていたな。……っと、戦闘から思考が外れ始めている。つまり戦闘に余裕があるという事だが集中しないとな。


 小指、四、二。相手の姿勢に寄って懐に入り込んで刺し殺してから後のオークを倒すか、腕だけ跳ね飛ばして奥のオークを先に始末するかがだいたい決まってきた。相手の攻撃態勢に対してこっちの手札を変えていく事でよりスマートな倒し方を心がける。


 腕を大きく振りかぶってきた時はその間に懐に入り込む。攻撃姿勢に移る前ならそのまま腕を斬り飛ばして奥へ。仮にもう一本の腕で棍棒を持ち替えてくるとしても、その間に奥のオークは倒しきれる。俺のパターンはこれで決まりだな。


 パターン化してしまった後はひたすら単純作業だ。そうするとまた意識が遠い宇宙へ旅立ち、体と視線、音だけで対処が出来て行く。


 十三層はいつ挑もうか。十二層で苦戦しなくなってからか。いやその前に武器の交換が先だな。戻ったら文月さんとどこかで調べものをして、時間が余ったら鬼ころしへ行こう。あそこぐらいしかこの辺で装備を扱っているところもなさそうだ……って、それも調べればいいだけか。


 後はそうだな……そろそろ水も補充しておこう。文月さんから無限水源が湧き出るとはいえ、毎回毎回出してもらうのにも気が引けるし、寝起きの身支度の為にわざわざ早朝バズーカを放ちに行くわけにもいかない。


 それ以外に消耗してる物資は特に今思い浮かばない。後で落ち着いたときに確認しておこう。さて酸を時々飛ばしてきているのを時々回収しては、そのまま打ち返さず保管庫に入れっぱなしなのでだんだん酸が溜まっていく。


 大体五百ミリリットルぐらい溜まってきている。試しに家以外のどこかのトイレ掃除にでも使ってみるか。意外と綺麗になるかもしれないな。この酸はどういうカテゴリになるんだろう。調べてみたいところだが、どうやって持ち出したんだという話にもなりそうだ。


 とりあえず蟻の酸はダンジョンからの持ち帰りが出来る品物という事になるな。サバンナマップの草もそうだったが、そうすると森の木も持ち帰ろうとすれば出来ることになるんだろうか。移植はできないが接ぎ木用としては使えるみたいな。境目は何処にあるんだろう? ダンジョンの謎に加えておこう。


 しかし、せめて容器に入れたいな。保管庫の中で混ぜたり出来たら化学反応も百分の一のはやさで起きたりするんだろうか。そういう面倒くさい事を考えると保管庫の中同士で物をやり取りできるようになってしまうかもしれないので、そうはならないほうが都合がいい。


 そう言う事は考えない事にしよう。また保管庫の中の尻がむずかゆいリストが一つ出来てしまった。しかし、その辺にペッて捨てていいものではないからな。処理する時は何処かの公衆トイレを綺麗にするときか誰も来そうにないダンジョンの中にしよう。


 避けるより酸を回収したほうが手数が減って行動が早くなってきた。その分タイムアタックには有利になる。ためしにオークの顔にぶつけてみたが、目が見えなくなって肌が荒れ見た目がとても可哀想になった。しかし確実に動きを止めることは出来る。ちゃんと使い道あったな。


 これを使えば十二層でもオークに棍棒投げる隙を与えないのでは? と考える。次で試してみよう。しかし喉が渇いたので水を直接保管庫から出そうとして、うっかり酸取り出したら大変なことになるな、という事に気づく。やはり保管庫に入れっぱなしにしておくものではないな。


 使い切ってしまおう。そして酸は出来るだけ保管庫に入れないようにしよう。そうと決まればここからは大盤振る舞いだ。一発ずつモンスターにぶつけながら安全にかつ素早い狩りを構築していく。


 オークの顔に酸をぶつけるのは割と効果的らしい。その場で目を潰されたオークはどちらにも向かうことなくその場でうずくまって顔を掻きむしっている。かわいそう。


 酸を効果的に使っていく事で五秒ぐらい早く集団を倒せることが分かった。十二回やれば一分早くできる。三十回やれば戦闘一回分ぐらい早くできる。どんどん使っていこう。


 ジャイアントアントから飛んできた酸はそのままジャイアントアントにお返ししながら、保管庫の中の酸を吐き出し続ける。もうちょっとで在庫は吐き出せそうだ。


 ……と、在庫の酸を全て叩き返したところでちょうどアラームが鳴った。一時間が経過したらしい。崖側に寄って一息休憩を入れる。


「どう? いくらほど? 」


 戦闘モードから休憩モードに入った文月さんが出来高を気にしている。


「……ざっくり三十万円。お肉は二個オーバーだな。魔結晶がきっちり五十個溜まった。戦果としてはジャイアントアントとオークが半々ぐらい……かな」

「よし、しっかり稼いだ気がする。ここらで帰りますか」

「そうだな……時間的にもそろそろ帰ったほうが良いかもしれない。まずは十層への階段まで戻るか」


 今の時刻は午後十時。七層から数えて五時間ほど活動していたことになる。意外と長かったかな。それほど疲れを感じていないがここから帰りの決死行だ、疲れを残しておくのはまずいのでその前にゆっくり休憩を取りたい。


 現在位置がこの辺だから……よし、二十分も行けば階段に着くな。それまでは気を引き締めて行こう。行く先も目標も決まっているので後は進んでいくだけだ。休みまではきっちり仕事をするぞ。


 道中出てくるオークとジャイアントアントを片手間に処理しつつ、階段までたどり着いたところで長めの休憩を取る。カロリーと水分をきっちりとって……カロリー、取り過ぎかな? まぁ取り過ぎた分は七層で補充するかどうかを考えてからでいいか。ガス欠おこすよりはマシだ。


 三勢食品のカロリーバーも徐々に数が減ってきている。バニラ味は出来るだけ開けないようにしている。確実に満足してダンジョン探索のQOLを上げたり自分にやる気を満ち溢れさせたりする時だ。つまり今。


 バニラ味をもにゅもにゅと噛みながら全身にカロリーを行きわたらせていく。多少パサパサしてるカロリーバーは水を口に含み、一緒に咀嚼する事で口の中全体に味わいを行きわたらせる。やっぱりバニラは美味しいな。


 カロリーを補充した後は体をキチンとほぐし、十全に動けるように確認する。ステータスブーストをON/OFFし、きちんと稼働している事を確認する。何ならその場で反復横跳びをする。よし、体調は大丈夫だ。体もしっかり動く。ストレッチをして大きな伸びをし、そして元に戻る。


「こっちは準備できた。そっちは? 」

「こっちも大丈夫。さあタイムアタックよりも厳しい三十分に出かけましょう」


 行きも怖いが帰りも怖い。無事に切り抜けることは出来るか、いい加減心理的に慣れたいところではあるが、油断するよりはマシだな。さぁ行くか。



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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お肉、タイムアタック。…は肉体作業。 幽体離脱して意識は別次元へ。 もう人間やめてません? れべる凄すぎwww
[良い点] グロいのはあまり好きじゃないはどこにいったのかww
[一言] チビクロサンボなど、時々小ネタが挟まれる(笑)
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