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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十八章:新ダンジョンラッシュ

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1313:精一杯の努力

 そのまま七十二層を巡る。グリフォンを形ながらも一発で倒せたのは俺の自信につながったのか、だんだん成功率が上がってくる。精一杯の努力作戦は実を結びつつある。このまま精一杯の努力を撃ち続けて確殺できるようになれば俺もいっぱしの探索者として自分を認められるのかもしれない。


 そう思うと更に力は入り、グリフォンを連続で四匹一発で倒すことに成功していた。これは、だいぶ、行ける感じか。芽生さんも後ろで応援しつつなので、芽生さんの応援のおかげで成功している可能性もあるが、今のところ順調だ。


 芽生さんのほうも、エイのほうにヒラヒラ避けられていた当初と違い、エイの逃げる先を読んで上手いこと当てられるようになったので問題なし。後は俺の技が完成するのを待つのみだな。それが終わったら、後はひたすらここで金を貯め続けることになる。


「もうちょいだな……もうちょい努力が必要だな」

「がんばれー、大体は出来てるぞー」

「おー。精一杯の努力のその先の努力が必要だな。ここを乗り切ればなんとかなる気がしてきた」


 声援を後にして何度目かのグリフォンに相対する。グリフォンが突っ込んでくる間に精一杯の努力でイメージした雷撃を投射。紫色の太い筋がグリフォンに向かって一瞬で飛んでいき、グリフォンを焦がし切って黒い粒子に還る。今の、今のだな。紫色の太い筋で目いっぱいの雷撃を詰め込んだ今の一撃。これを複数回打てるように努力しよう……と、眩暈が来た。流石に最大出力で撃ちこみ続けるのは難しいらしい。


 ドライフルーツを一気に四枚齧って緊急回復。流石に無茶をしすぎた気がしないでもないが、今は芽生さんがいる。芽生さんに任せればこの階層、階段まで一時退避するぐらいの余裕はあるし、退避中に俺も回復することができるので安心安全の旅と言えよう。


「今一気に四枚ぐらい行きませんでしたか」

「ドライフルーツ一枚であの雷撃一発撃てるとは思えないからな。ちょっと余分に回復しておいたほうがいいかと思って」

「まあ、実ごと齧ってワイルドに回復でも良いのかもしれませんが、在庫と消費量を考えたらたまにはいいものかもしれません。もっと鍛えて、自然回復量で今のを打てるようになれば無限砲台と化した雷撃砲が七十二層に響き渡ることになりそうですね」

「とりあえずコツの端っこは掴んだんだ、あとは回数をこなしてなんとかものにして見せるさ」


 後はサメとエイに関しては自然回復でも充分対応できるだけの火力は備えていることは解ったので、グリフォン倒す時だけあれが撃てればいい。そう考えると多少楽になってきた。気負うことはないのだし、もし倒し切れなくてもその後切り刻むなりトドメの雷撃を撃つなりで充分倒すことはできる。良いところまで仕上がってきている気がしてきた。


 そのまま七十二層を巡り、ドライフルーツを二十枚ほど消費したところで今日は時間となった。七十一層に上がって真っ直ぐ七十層方面へ戻る。途中にいるグリフォンも余さず俺が倒すように仕向けてくれるようになったおかげでかなり戦闘自体は楽なものになっている。そういえば、雷切でグリフォンの爪って切れるのかな。次でスタンさせた後爪を切断しようとしてみるか。


 次のグリフォンに精一杯の努力を超えた努力をぶち込んだが、ちょうど失敗したので圧切から柄に持ち替え、出力を強化。太くてぱっと見硬そうな雷切を出現させると、動けないのをいいことにグリフォンの爪を切ろうと試みる。それなりに抵抗はあったが、雷切なら爪を切り落とすことはできるらしい。


 つまり、圧切に頼らず柄で最初から戦っていればもうちょっと苦戦せずに済んだし籠手なんてわざわざ買わなくても良かったということか。これは無駄な出費だったな。まあ、つけてるとなんかかっこいいしいいか。


 そのまま雷切でグリフォンの首を刎ね飛ばして戦闘終了。このマップでは圧切よりも柄のほうが使い勝手がいいらしいことが分かったのでそのまま柄を握って戦闘を続行する。エイとサメとグリフォンをそれぞれの戦い方で倒しつつ、グリフォンはいつもの精一杯の努力を超えた努力でぶちのめす。


 成功率は今のところ六割ぐらいまでは良い感じに伸びてきた。このまま修練を続けて十割まで持っていければここでの課題はクリアだ。次回か、次々回か。そのぐらいを目標にしてやっていけばいい感じに仕上げていけるんじゃないだろうか。


 七十一層の最後のサメを倒すと今日のお仕事終わり。車でエレベーターまで乗り付け、収納するとリヤカーをエレベーターに引き入れて七層まで倍速でポチ。


 いつも通りフカヒレと魔結晶とポーションを分けて積み込んで、帰る準備は後は茂君だけ。茂君の納品も明日辺りに行ければいいかな。


「良い感じに戦えていたんじゃないですかねえ。相性の比較的悪そうなグリフォン相手に一撃で倒したケースは今回が初めてでしょうし、イメージと威力を忘れないように次回まで残しておいて、次回はそれを超えたイメージで上書きする、みたいな感じで良ければいいと思いますよ」


 スキルを使いこなすという意味では俺よりも習熟の早い芽生さんが言うことなのだから、多分そっちの方が正解に近いんだろう。素直にコクコクと頷いてその用法用量を守って次回に活かそうと思う。


 雑談がてら分け切らなかったお土産を小腹に詰めてしばし談笑。鑑定の時の面接の様子や巽君の第一イメージなんかを伝えておく。せっかくだから記念写真でも撮っておけばよかったかな。更についでに言えば、一度ダンジョン庁長官の椅子にも座ってみたかった。どんな座り心地だったんだろう。


 七層についてダッシュして木にメッシュして拾ってダッシュ。一日の総仕上げの運動と思えば段々心地よくもなってくる。良い感じにテンションが上がったところで七層に戻ってくる。爽やかに汗をかいたのでウォッシュして気分を一新すると、リヤカーに座り込んで待たせておいた芽生さんをリヤカーごと運んでエレベーターに押し込む。


「私荷物じゃないんですけどー? 」

「リヤカーに乗って休んでいたからついでだ」


 そのままエレベーターで一層に上がって退ダン手続き。リヤカーに座ったままの芽生さんに受付嬢がハテナマークを浮かべていたが、そのまま芽生さんの探索者証も受け取ると査定カウンターへ移動する。


「査定お願いします」

「すいません、人間の査定はやってないんですよ。それに、お金に換算したら買われちゃいますけどそれは大丈夫なんですか? 」

「そう言われるともったいない気がしてきました。芽生さん降りて」

「乗せたり降りさせたり勝手な人ですねえ」


 プリプリと怒ったふりをしている芽生さんを着替えに行かせている間にこっちの査定を終わらせる。五分ほど待って査定が完了。本日のお賃金、二億七千七百五十万六千円。中々良い感じ。二人分合わせて税込みで六億一千六百万と端数ってところか。一日分としては充分に稼いだな。


 帰ってきた芽生さんにレシートを渡してそのまま二人支払いカウンターに並ぶ。もう金額がいくらと言わなくなってきたのは慣れられたのか、それとも探索者の個人の懐を詮索しないよう教育が行き届いているのか。どちらにせよ、俺と芽生さんがいくら振り込んだとしても顔色一つ変えないようになったのは企業努力の賜物だろうと思われる。


 振り込みを済ませてぬるま湯をちょっと温かくして飲む。ほどほどに温かい美味しい水が体に染み込み、一日の終わりを知らせてくれる。


 芽生さんも同じことをしているが、薄める水の量を間違えたらしく少しばかり熱かったらしい。あちち……と言いながらもなんとか飲んでいる。バスの時間まではまだ充分にあるからゆっくりでいいんだぞ。


 バスの時間になりバス停に向かって歩く。流石にそろそろ寒さが気になってくるところだな。やはり今日から冬布団を出すというのは間違ってない選択なんだろう。遅く出し過ぎて風邪をひくよりは早めに出してぬくぬくと温かさを享受するほうが心身にいいはずだ。


「そろそろ冬布団の出番ですかねえ」


 芽生さんも同じような感想を持っていたらしい。


「我が家は今夜からだな。今日一日干してあるから夜にはフカフカの布団がご用意されて待っているはずだ。家に帰るのが楽しみだな」

「私は明日からにしましょうかね。生活魔法を覚えたこともありますし、家に帰ったらとりあえず掃除から始めるとしましょう。どのぐらい綺麗になるか楽しみです」


 そういえば芽生さんは生活魔法を覚えたんだったな。割と忘れていた。それだけ精一杯の努力に夢中だったということだろう。戦闘とは言え、夢中になれることはいいことだ。この先もしばらくは退屈せずに済みそうだな。


 駅で芽生さんと別れ、家に着く前にコンビニへ立ち寄り夕食を物色する。ふわとろオムレツにするか、中華丼にするか、パン数種類にするか。夕飯予定のシチューを全て食べられてしまったので調達する羽目になったのだ。さて、今日はカロリーだけを摂取するための食事、ということで好きなものを選ぼう。


 店や専門店には味は及ばないが軽くレンジアップした後オーブントースターでリベイクするべくカレーパンをまず選ぶ。それから、チョコクリームパイ。純粋にチョコが食べたくなった。そういうのでいい。後は……弁当を何か一つ選んでそれで終わりにするかな。サラダチキンでたんぱく質を摂取しておくのも大事だが、今日はそういう気分ではない、が、サラダは欲しいな。ふむ……サラダチキンとサラダで謎ドレッシングをかけて一品ということにしておこう。


 後はメインを何にするか。限定商品でネギ塩竜田揚げ弁当というものがあったのでこれにしようと思う。ネギ塩も竜田揚げも作ろうと思えば作れるが、まとめて作ったことはなかったはず。ここで他人の腕で味を確かめて、自分流にアレンジするというのもアリだろう。ここはこの一品で行く。


 買うものを選んだら後は会計……と、その前に探索雑誌の最新号もついでに購入しておく。探索・オブ・ザ・イヤーと月刊探索ライフ二冊ともだ。これでしばらくは一人の探索のエレベーターが多少マシになる、読むのは後のお楽しみだな。


 改めて会計を済ませて家に帰る。片づけをして洗い物をして洗濯をして着替えてスーツにウォッシュをかけて……一通りの仕度を済ませると、早速夕食の時間だ。まずはカレーパンのリベイクとネギ塩竜田揚げ弁当のレンジアップ、そしてサラダに謎ドレッシングをかけるところまではうまくいったが、カレーパンのリベイクに失敗。


 良い感じにリベイクすると、外はカリッと、中はふわっと、レンジアップをせずにオーブントースターで焼くだけでは中まで温かさを通せないのでうまくカリカリにするのがポイントだったんだが、ちょっと塩ネギ竜田に気を取られているうちに少し焦がしてしまった。だが、食えないほどではない。失敗は失敗だ、次回はうまく焼いてやることにしよう。


 かじってみるが、やはり焦げてしまった部分は焦げとして扱うしかないが、まるで出来立てのカレーパンのような食感と、レンジアップで中までしっかり温められたカレーの温度差が小さくて非常にいい。レンジアップは表で十秒、裏で十五秒、そしてトースターで三分がベストだな。


 続いてネギ塩竜田弁当だ。ネギ塩牛タンは散々体験してきたが、ネギ塩を竜田揚げに合わせるというのは初感触。早速食べてみるが、さすがにコンビニ弁当に揚げたてサクサクを期待することは不可能だったが、程よくとろみのあるねぎ塩うまだれとジューシーな鶏肉がしっかりとした味をもたらせてくれている。これはやみつき系の鶏肉レシピとしてはありだ、充分にありだ。


 副菜としてついてきているきんぴらといいナムルといい、構成のポイントは中々高い。この弁当一つで飯にも酒のあてにもできる便利な弁当だ。これは中々……うむ、飲む習慣がないのになんだか飲みたい気分になってくる。


 レンチンのおかげで温かくなってしまっているポテトサラダと漬物だが、この際温かいままでもいい。舌をリセットするには大事な存在だ。更に添えられているコロッケでジャガイモが被ってしまっているが、この際気にすることはなし。


 気が付くと、竜田揚げはなくなってしまっていた。もうないのか。残念だが今日の弁当はここまでらしい。少し多めに盛り付けられていたご飯を食べ終わると、食後のデザートがてらチョコクリームパイを食べる。これは……もうちょっとクリームが多いほうが嬉しかったかな。このままではチョコを練り込んだパイにちょっとだけクリーム足してみました見たいな割合だ。チョコレートの原料であるカカオも最近は値上げが激しいと聞く。


 もしも食料ダンジョンで出るなら面白いところだが、チョコレートメーカーにどんな顔で受け取られるのだろうかとか、そもそも俺はカカオの実の実物を見たことも触ったことも手に入れたこともないのでカカオの実と説明しても伝わらない可能性が高い。この線はなしだな。


 さて、食事も済ませたところで風呂に入るかな。今日の感触を忘れないようにしてまた次に芽生さんと潜る時の練習と思っていこう。精一杯の努力を続けながら。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
探索・オブ・ザ・イヤーと月刊探索ライフは別会計にすれば経費で落とせそう 億円単位の収入から見れば誤差レベルだけど、それを言い出すと万円未満の金額は手間に見えてきそうなんですよね(´・ω・`)
> 自信につながったのか」 増長するおじさん > 精一杯の努力」 最終奥義名が「明日もきっといい天気」になるおじさん > 後ろで応援」 がんばえー > もうちょい努力」 (魔力) > がんばれ…
カカオとかバニラのドロップはマジいいかもしれん
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