1310:今後の課題
ダンジョンで潮干狩りを
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官用ダンジョンの民間転用。人も設備も必要だが、ダンジョンからはモンスターがあふれ出さないとダンジョンマスター会談でセノが明言したことで、官用としてダンジョンの監視名目で防衛省が率先して潜ってモンスターの駆除を名目に潜っていたいくつかのダンジョンの内、複数個を民間にも開放することによって一部のダンジョンに人が集まりすぎる問題を解消するために持ち上げた企画である。
高輪ゲートウェイ官民総合利用ダンジョンのように最初から官民両用のダンジョンとして名前を出しているダンジョンは複数あるが、官用から民間へと間口を広げることで地方にも職を、という面では活躍するのだろう。
「ダンジョン探索者が散らばるのは良いことですね。今のところは特殊なダンジョンというものは場所が限られてますから、それを理由に潜るのでないなら誰だって近い所に行きたいのは正直なところだと思います」
「そういう点で見ても、実家暮らしならなおさら金も貯まるだろうしね。探索者続けながらたまに都会に出て豪遊する、みたいなサイクルを繰り返してくれるとありがたいんだけど……最近安村さんは何か豪遊したかい? 」
豪遊……飲み歩いたりはしてないから豪遊となると盛大に金を使ったことか。
「火魔法スキルを購入したのと、雷魔法スキルの購入をして消滅させてしまったのが一番大きい出費ですかね。普段の収入からすれば微々たるものとは言え痛い出費でした。後は個人事業主ということで社用車を持つようになったぐらいですかね」
「スキルオーブの消滅とは前にレインで報告してくれた、六重化できなかったという話だね? 」
真中長官が興味深そうに身を乗り出してきて質問してきた。真中長官に伝えるだけなら問題ないだろうな。
「スキルの多重化の話になるのですが、どうやら順当に多重化する場合、限界点は五重化……つまり同じスキルを五個覚えるまでは問題なく力を発揮するようなのですが、六個目、つまり六重化させるためにはそれ相応の訓練というか熟練度というか、そういうものがないとスキルを覚えても途中でキャンセルされて使ったスキルオーブは消滅してしまうようなのです」
「消滅の理由はどうしてわかったんだい? 」
「ダンジョンマスターに直接聞いて回答を得ました。六重化するためにはなんか気づきというか、身体的にいけるかも! みたいな内側から湧き上がる何かがあるらしいです。それを身に付けるまでは五重化でしばらく自分の限界にチャレンジすることになるかと思います」
ダンジョンも進捗はないし、現在の階層でどこまで自分を追い込んで、そしてスキルを使いこなしていけるのか。それに今は集中したいところだ。
「ふむ……五重化が最大か。この話、他ではしてないよね? 」
「芽生さんだけじゃないですかね、知ってるの。六千万の買い物だったのでまあ、一日で取り戻せる金額ではありますがそれが一番の買い物だったんじゃないでしょうか」
「他のスキルの進捗はどうなんだい? 」
「そうですね、索敵を多重化させた以外は特には。スキルの数で言えば芽生さんのほうが色々とつぶしが利くようになってきたような気がしますね。サポーターとしてもアタッカーとしても優秀だと思います。ただ、荷物をほとんど持ってない前提の動きですので、荷物が増えたりした際はまた別でしょう」
芽生さんは背中に私物しか入れてないので精いっぱい戦えているが、大きく重いバッグを持ち歩きながらの戦闘となると動きが阻害されたりして思う存分戦闘が出来るとは限らない、という点は報告しておくべきだろう。
「それは安村さんが保管庫でほぼ無限収納できるからドロップ品を持たなくて済む、という理由からかな」
「そうですね、あと無限じゃなくて限界はありました。少し前に調べたのですが、千トンの重さまでなら収納できる、ということらしいです。あれからまた使い込みましたからもっと大きくなっている可能性はありますが、とりあえず現状解ってるのはほぼ千トン、といったところですね」
あの時の魔素水、捨てずにそのまま持ち歩いていたらまた保管庫のレベルも上がりやすくなっていたりはしたんだろうか。そうなるとわざわざ吐き出す理由はなかったな、ちょっと惜しいことをしたかもしれない。
「その辺の映像が残ってたりしたら是非共有したいところなんだけどさすがにないかな? 」
「そうですね。流石にないですが、ダンジョン庁内で共有されているかどうかわからない動画や撮影画像についてはスマホに全部入ってるので念のためにここで渡して共有する、ということは可能ですよ」
「お、じゃあやってもらおうかな。保管庫に一通り入っていそうではあるし、ぜひとも頼むよ」
スマホをパソコンにつないで適当にフォルダを作るとデータを転送する。しばらくかかっているうちに俺のコーヒーを淹れてくれたらしい。助かる。
「ここには小西ダンジョンの観光ガイドやモンスターデータ、階層の様子や二十四層おきにあるというビジュアル的なギミックまで色々と詰まっているってことだよね」
「まあ、そうですね。集合写真や到着報告に使った写真も混じってますが、基本的にはダンジョンの物しか映って……あ」
「ふむ。女の子のほうも仲良さそうで羨ましい限りだね」
結衣さんと二人で映っているシーンをばっちり見られてしまった。この辺は個人情報ということで後で消させてもらおう。
「その辺はあまり広めないで頂けると色々と助かるのですが」
「まあ、話題の会談翻訳担当が女の子二人と仲良くスキンシップ……二人だけだよね? 」
「二人とスキンシップというか良い仲というか、介護されてるというか……まあ、色々あるものですよ」
「最終的にちゃんと責任を取るならまあ個人の関わり合いには口を出さないつもりだから良いけど、ちゃんとしてねその辺は」
諭されてしまったがここばかりは俺自身の踏ん切りの悪さとか二人の結束力が高いというか、まあ色々が招いたことでもある。今更解消するほうが逆に誠実ではないだろうし、両方に誠実な対応を取る、ということで前向きに検討していこう。
「まあ、安村さんの個人情報はさておき、今後のダンジョンの出来上がり方、と言っても旧システムのダンジョンに限っての話だろうけど、いろいろ情報をもらえるのは良いことだ。この調子でどんどん深く進んでもらいたいところだね」
真中長官に合格ラインの点をもらったらしい。とりあえず現状として問題になるようなことはない、ということだろう。だとすれば後は新ダンジョンがいつオープンするか、という話題だけが残ることになる。
「あまりネタバレになる話は避けようとは思うのですが、具体的に何層ぐらいまで今できているのかとか、モンスターに色々変更があるのかとかは気になる所ですね。新熊本第二ダンジョンの場合はモンスターの種類も違うそうですが」
「そうなんだよ。ゴブリン一つにしても色々種類があるようでね、中々創意工夫を凝らしてもらっていると評判だ。もう開場してかなり経つが、今のところ最深部までたどり着いたという報告は聞いていないし、出てくる食品も何故かキノコ類が多いらしいんだが、あれは安村さんがキノコ類ばっかりお薦めしたせいもあるのかな? 」
「そうですね……確かに思い起こせばキノコ類が多かったようにも思えます。その辺のスーパーで購入できる品物を適当にピックアップしただけですので、もっとこういう品物が出てほしい、みたいな要望があれば誰か今手の空いているダンジョンマスターを経由して出してもらうようなことはできるとは思いますが」
食品と言えども色々ありすぎるのだ、一通り常用しそうな食べ物をピックアップしたりして見たはずだが、今思えばナッツ類や高級品や一風変わった食品なんかを選んで見せて回ってみても良かったかもしれない。アボカドとかドラゴンフルーツとか。でも今更だな。
「そういえば、新熊本第二ダンジョンから食品が産出されることで、農協や農業団体との軋轢なんかは生じていませんか? そこのところまでは頭が回ってなかったので市場で購入したものを適当にサンプルとして渡したのでそのままコピーしている可能性は高いと言えるんですが」
「今のところはないね。ただいずれ起きそうな問題ではある、と認識はできるかな。ダンジョンマスターがそういう配慮までしているとは考えにくい。安村さんがサンプルとして出して、そのままダンジョンマスターが使いまわして、ドロップ品として出てきた食物のDNA鑑定をしたら何処かのブランド品とほぼ同じ遺伝子配列をしていたから、ダンジョンは我々農業者から違法に農作物のサンプルを採取して栽培、ドロップ品として提供している、というクレームが付く可能性は高い。そうなったら相談が必要になってくるだろうね」
この手のこちらから情報を提供したものについての色んな権利問題は付いて回るものだ。今までのドロップ品ならダンジョンから産出される……ということで問題なく回っていたが、ガンテツのダンジョンに関してはこちらからこういう物をドロップしたらどうだろう? という物をプレゼンした俺にも責任があるからな。とりあえず将来的に起きる可能性がある、ということで考えておくことは悪い話ではないだろう。
「遺伝子配列とか遺伝とか植物に対する親子関係とかを説明しに熊本第二ダンジョンへ出かける可能性もあるってことになりますね。念のためダンジョン庁としてドロップ品を提出してもらって、しかるべき機関で調べてもらって、遺伝子情報が一致してしまった場合あらかじめ釈明の発言を用意しておく必要が出てくるかもしれませんね。その辺うまくやってくれていると助かるのですが」
「そうだねえ。私はガンテツ氏と直接面識はなかったはずだから直接向こうに行ってもらうなら安村さんにお願いすることになるかな。そこは問題ないかな? 」
「そうですね。責任は俺にもありますしそういうことなら向かう必要はあるでしょう。七層か十四層辺りまで一気に下りてガンテツを呼び出して調節を行ってもらう、という方向性になるかと思います」
たった一つのダンジョンからしか産出しないとはいえ、自分のブランド商品を無断で作られている、と怒られる可能性は充分にあるわけなのだから上手いこと仲を取り持っていくことは必要だし、断固禁止と言われたらそのブランドの食物のドロップ品は落ちないように調節をしてもらう必要はある。こっちの都合でダンジョンマスターを振り回すことになってしまうことになるが、納得してもらえるように両者を説得する必要はあるだろうな。
「まあ、遺伝子情報の確認はこちらでやっておくことにしよう。今まで話題にもあがらなかったから大丈夫だとは思うが、実際に問題になってから行動して後手後手に回るよりはマシだろう。安村さんのほうはそのうち出張の機会がある、ということだけ頭に入れてもらっていればそれでいいかな」
「さて……話すことはこのぐらいかな。安村さんはまた観光せずに真っ直ぐ帰るのかな」
「そうですね、いつも通り東京駅で土産物を漁って帰ろうと思いますよ。観光はまあ、その気になればいつでもできる御身分なので新しく出来たここへ行ってみたいとかそういうのがあれば別ですが」
「仕事一番お土産二番、三四がなくて五に観光ってところかな。たまにはゆっくりすることも必要だよ。今安村さんに体を壊されたり精神的に参られたら色んなプロジェクトが止まってしまうことにもなりかねないしね」
たしかに、そこそこ重要な役目を担ってはいるな。心身ともに管理はしっかりしておかないといけない。そのためにはいい布団と枕で眠って美味しいものを食べる。これが一番だな。
「そうですね、その為にも早く帰っていつもの調子に戻すのを最優先にしようかと思います。真中長官も仕事が溜まってるようですし長居をするのは失礼かなと」
チラッと机の上の紙の束を見て発言する。多田野さんはゴホンと咳をし、真中長官は渋い顔をしている。
「こうして安村さんと話してる間は仕事から逃れられるから良いんだけど、流石にそろそろ潮時ってことらしいね。今日はお疲れ様。また何かあったらレインか何かで頼むよ」
「では、また後日。失礼します」
長官室を出てエレベーターで一階に下りると、そのまま興味なさそうな感じでダンジョン庁を出る。さて、後は帰りのお土産探しだな。何を買って帰ろうか。ばな奈は確定として、それ以外にそこそこ並んでなくてすぐに食べれるもので何か見繕っていこう。帰ったら今日はもうお仕事も夕食もなし。夕食はいつものコンビニか、駅弁を買って帰って食べることにしよう。たまにはこういうゆっくりした時間も必要だ。
明日からはまたダンジョン生活が始まる。自分の仕事に集中して、より多くの人にダンジョンの資源をふるまってついでにお小遣いをもらう。それに終始しよう。
作者からのお願い
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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。
後毎度の誤字修正、感謝しております。





