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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十八章:新ダンジョンラッシュ

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1304/1325

1304:トレジャーイベント反省会

ダンジョンで潮干狩りを

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 side:七十層セーフエリア


「では、探索者の意見をまとめたトレジャーイベント反省会を始めます」


 俺が司会をやり、十日間のイベントを終えたことで探索者の意見も反映され、ある程度俺の手元でまとめられた意見書……数スレッド分の探索者の書き込みからこれはいい意見だと思ったものをピックアップし、ギルドに届けられた質問書や苦情、それらをまとめた書類をドサッとまとめて置く。当然、読めるのは俺だけなので俺が読み上げて皆に聞かせる形だ。


 参加者はミルコ、セノ、ネアレス、リーン。残りの二人はダンジョン作りに専念するのでネアレスから二人に伝えるという形になるらしい。本当は全員に聞いて欲しいところだが、どうやら二人の進捗が遅れ気味らしく、あまりに浅い階層までしか作れていないのにオープンする、ということになってはいけないのでダンジョン拡張を進めるという建前で不参加、ということだ。


 多分理由としては人見知りするユミルと、騒がしいサムエをのけ者にしておくほうが話に集中できるとかそういう感じなのかもしれないが、ちゃんと伝えてもらえるならそれでいいかなと思っている。


「まずは肯定的な意見から。普段のモンスターを倒すだけよりは新鮮でよかった、普段行かない所にも行くのでダンジョンに対する理解度が深まった、人が散らばったのでモンスターのリポップが均一的になって純粋に探索をするだけでも普段より稼げた、行かない階層のドロップが拾えてそこそこのお小遣いになった……この辺は想定された範囲内の意見だな」

「イベントとしては成功ということでいいのかな? どうやら普段よりも探索者の数も増えたことだし、他のダンジョンから遊びに来た探索者がゴブリンキングを倒してすぐエレベーターで下りていく様子も観察できた。人を呼ぶという意味ではこれが恒常的になると人気のダンジョンにはなるだろうね」


 ミルコがどうよ! という感じで胸を張って誇らしげにする。


「後はスキルオーブの件だな。スキルオーブが宝箱から出るという情報が出回ってから更に他のダンジョンからの流入が加速した様子がある。流石に最終日は人が多すぎて宝箱もリポップしにくかったようだ。清州ダンジョンでエレベーターが出来た時のような混みようだったという証言もある。やはり小西ダンジョンの広さでこのイベントをするのは問題があったようだ。イベントに参加してない他の階層はいつも通りだったらしいが、イベント中だった二十一層から三十層は芋洗い……つまりモンスターより人のほうが多いといった状態だったらしい。諦めて帰った探索者も居たようだ。やはりある程度の広さ、空間が必要なのは間違いないらしいな」

「小西ダンジョンは狭く深くがコンセプトデザインだからそこは仕方がない所かな。その代わり深くまで作れたし、違っていればここでこうしてダンジョンマスターと探索者が会談する機会も得られなかっただろうし、ついでに会談結果を外に直接通信することもなかっただろうしね」

「そうだな……っと、ちゃんと報告してるという証拠は残しておかないとな」


 スマホを取り出して二名除いて全員そろっているところを撮影、ついでに俺も映って真中長官に「トレジャーイベント反省会中。詳細は後日伝えます」として画像を送信しておく。


「さて、問題は宝箱の中身だ。序盤はラッキーだと拾い始める探索者が現れて中には宝探しで一日を潰す探索者もいた様子だ。スキルオーブが出ることが判明してからは更に輪をかけて宝箱ばかりを探す探索者も増えたようだ。最終日には全体の二割ぐらいが宝箱だけを探す探索者になっていたんじゃないかという推測も出ている。やはりダンジョンには宝箱があっても不思議はない、という話はこっちの文化的要素として探索者間では共通認識らしい。むしろようやく宝箱が出るようになったのか、恒常的に出せ、等という意見が多いな」


 一通り説明をして全員に聞かせる。頷き続けているミルコと、何かを考えているネアレス、真面目にこちらを見て話を聞いているセノと三者三様。リーンは半分寝ぼけているが、後でちゃんと説明することにしよう。


「つまり、トレジャーダンジョンには一定以上の集客効果がある、と考えてもおかしくないわけじゃな」

「そうなる。ただ、問題は中身のほうだな。モンスタードロップの中でもモンスターの素材がそのままドロップするのは生態系としてどうなの? という意見もあるが、どちらかと言えば肯定的な意見のほうが多いな。ダンジョンだしそういう風に出来ているんじゃないかとか、今回はイベントとはいえ試験運転なんだし、否定的な意見が多ければ今後同じようなイベントが起こった場合は更に宝箱の中身の種類が少なくなるかもしれないがそれはいいのか? なんてものもあった」

「ふむ、やはり特殊な一品物を出せ、というところかの? 」


 セノが顎に手を当てながら掻いている。猫形態なら前足で耳を掻いている、という動作になるんだろうな。


「そのためには鑑定士が必要だ、というのもこっちの探索者の総意でな。ダンジョン庁で鑑定士を確保して、遠距離からでも鑑定をお願いする形が揃っていればドロップ品にも色々選択肢が出て良いんじゃないか? という話だ」

「それはこっちでも議論の途中での。まだ完璧な答えを出せた訳ではないんじゃが、ダンジョン物資の搬出という点で新しい仕組みを考えるなら新しいスキルオーブも必要になるかもしれんの、というのが宿無しダンジョンマスターの共通した意見じゃ」

「つまり、ここにいるみんなはユミルやサムエも含めて一つ鑑定スキルを出す、という話には前向きになってくれているということか」

「そういうことになるのう。今この会話を見ているダンジョンマスターにも同じことを問う形になるのじゃが、鑑定を一人増やしてデメリットは何処にあるのか、というのが問題での。レアスキルとはいえ貴重なスキルをホイホイ他人の手に渡すのはどうか、という話もあってな。この際お主に渡すのが一番有用に使ってくれるとは思うのじゃが……どんな人物に渡すことになるのかが問題じゃな」


 ダンジョン庁に献上することになるので、後はダンジョン庁がどんな人物に託すかによるが、真中長官のことだから階級とか立場を考えずに確実に任務を実行できる人を充てるはずだ。省庁内政治の結果で鑑定のスキルオーブを無駄打ちさせるようなことはしないだろう。


「真中長官はダンジョン関連においては、数少ない信頼できる人だからな。その辺の偉いだけのオッサンに渡して鑑定士のまねごとをさせるとかそういうことはしないと言えるんじゃないかな」

「そこは我も同じ思いじゃ。あれは同類の匂いがする。きっとあやつなりにベストだと思う人選をチョイスしてスキルを覚えさせる用意はあるのじゃろう。安村からも人材確保の話は向こうに通してあるのじゃろ? 」

「一応。確保できた際の人材に宛てをつけておいてくれとは連絡はしたかな。実際に宛てがついたかどうかは再連絡しないとわからない所だけど」

「あの、各ダンジョンに一人鑑定をつけるという案もあったと思うのですがそれはどうなんですかね」


 ネアレスから質問が飛ぶ。セノはゆっくりとそちらを向くと答え始めた。


「それが地上側の都合でベストなのはわかっておるが、希少スキルを放出しすぎて他の用途へ使われ過ぎて肝心のダンジョンのために使われないようになるのではないかというのが一つ。そして、この地方だけ希少スキルが希少でなくなるなら……と、他の希少スキルも込みで色々と歯止めが利かなくなるような事態を防ぐことが一つ。それに、保管庫のスキルも同様じゃがもっと所持者が居てもいいんじゃないかと勘繰られ始めるだろうという予測が立つ。これはあまり褒められた話ではないはずじゃ。なので今回は出せても【鑑定】が一つだけ、という所じゃろうと思っておる」

「この星全体のバランスを考えて、ですか。この地域だけ優遇するのは他の地域のダンジョンマスターから目をつけられてまずいと」

「そんなところじゃな。なので出せても鑑定一つ、と言うところになる。そこまでは協力を取り付けることには成功した、というより説得は出来てると思うのじゃが……ここからは説明して回ることにもなるのかの。まあそれも仕事の内じゃし、頭を下げて回る準備ぐらいはしておくわえ」


 お、【鑑定】出せるのか? この反省会もちゃんと効果が出てきたかな。真中長官にもこの話はきっちり報告書としてあげておかないといけないだろうな。


「というわけで、じゃ。安村にはこの【鑑定】をしかるべき人物に託してもらう役目を行ってもらうことになる。それは問題ないかの? 」

「もとよりそのつもりだ。きちんと託して俺の目の前で覚えてもらうことにする。これから新ダンジョン計画を立ち上げる大事なポジションだからな。それがないと宝箱探しもモンスター退治もうまく回らないことになってしまうし、それは勘弁願いたいところだしな」


鑑定を覚えた瞬間ダンジョン庁を辞めてフリーの鑑定士として独自路線を突き進んで金を儲けだす、なんてことにならないよう法律と契約でガチガチに固めたダンジョン庁職員に対して鑑定を付与させて一日八時間労働で鑑定し続ける仕事、ということになりそうだな。


過剰労働しろとは言えないのである程度時間のずれが起きてしまうことは仕方がないが、それでも鑑定待ちの行列ができるかもしれないのは予測済みだ。その上で信頼できる部下を鑑定役として任命するのだから真中長官としては大事にしたい職員か、同好の志を選び抜いてその人物に与える、というのが予想できるパターンだろう。


と、真中長官からメールが返ってきた。「鑑定を覚えさせる予定の人物は三人ほどリストアップしておいた。そっちの都合がいい時に直接出向いてくれると嬉しいね」


「どうやら準備は出来ているらしい。とりあえず候補として三人用意してくれたそうだ。こっちから出せる鑑定は一つだけだとしても、一人しか該当者がいないよりは三人いたほうがまだ選択の余地はある、ということかな」

「そうじゃの。最終的には真中と安村のインスピレーションにかかっている訳じゃが……まぁよい。いずれにせよ我々の意見は一致している。安村、【鑑定】を託すぞ」


セノが早速スキルオーブを作り出し、俺に渡す。


「【鑑定】を習得しますか? Y/N 残り二千八百八十」

「ノー。確かに受け取った」


そのまま保管庫に仕舞い二百分の一の速度になっていることを確かめると、安心して仕事を終える。


「さて、渡すものは渡したし我らも自分のダンジョン作りと公開に向けて邁進するとするかの。実際にダンジョンが出来上がった際はどう連絡すればええんじゃろうかの? 」

「ダンジョン庁にはそろそろ出来上がり始めるかも、と連絡は入れておくので、定期的に現地を見回る形になるんじゃないかな。出来た際にはニュースになって規制線が張られてダンジョンの中身を確認されて……という形になると思うので準備はできてるみたいだとだけ連絡しておけばいいかな」

「そうか。では我らは一品物としてどういう用向きの物がふさわしいかなんかを研究しておくことにするかの。では、我は帰るでな。後はよろしく頼む」


セノが真っ先に、続いてネアレスも転移していった。ミルコはリーンを起こす。


「なかなかいいかいだんだったの。まるでゆめごこちだったの」

「完全に寝てただろ。後でちゃんと誰かに話をまとめて聞いておくんだぞ」

「だいじょうぶなの。かんていをやすむらにわたしてあとはよろしくちゃんというのはわかっているの」


寝ぼけながらもちゃんと要点は押さえていたらしい。まあ、大丈夫か。


「さて、俺は真中長官にアポを取って会いに行く算段をつけることにするよ。ミルコも引き続き拡張頑張ってくれ」

「そっちのほうは出来るだけ早めに見せられるように努力するよ。どうやらここで会議することも、もうなくなりそうだしね。安心して日々のダンジョン生活に戻れるってところかな」

「俺も【鑑定】を受け渡ししたらいつもの日常に戻れるかな。後は俺の手を離れることになるし、俺が心配することじゃないがうまくダンジョン運営が行くことを祈ってるよ」


ミルコはリーンを連れて転移していき、俺は七十層から真中長官へ連絡をつけることになった。次にタイミングの合う日時について、電話越しではあるが日程調整を伝えて、数日後に東京へ行く、ということになった。今日のところは……探索はなしだな、大人しく帰ろう。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
スキルと言うことは重ねることでより深くわかるようになるのかな? それとも重ねは不可なんだろうか? 同じく収納も?
> side:七十層セーフエリア」 生きてるタイプのセーフエリア > 反省会」 どうしてこうなった > ミルコ、セノ、ネアレス、リーン」 おなじみのめんばーなの。だんじょんのしんちょくがかんばしく…
どうしてスキルに固執するのか・・・ 他の方も書いてたけど魔導具の方が融通が利くとおもったんだけどな・・・ スキルを取得した方が亡くなったりしたらどうするんだろ? 就業規則とかも気になるところ。労働基準…
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