1302:日常を結衣さんと
ダンジョンで潮干狩りを
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一通りの仕事の片づけを済ませて着替えた。これで昨日一晩仕事をしてきたという感じはなくなってきた。結衣さんも着替えてリビングでくつろいでいる。
とりあえずいつもの朝食をふるまい、二人で食べる。
「最近ジャム多いの? 」
「リーンが食べ残していったものがまだ残ってるからね。それをしっかり消化していかないと」
「私ももらおうかな。バターも良いけどしっかり動いてきたし、身体強化で使った分のカロリーは補充しないと」
結衣さんにもジャムを渡してジャムパンを二人で食べる。キャベツに目玉焼きにジャムパン。このキャベツもそろそろなくなるから今日買いにいかないと明日で終わりになるな。後はクロスワードの新しい本も買わないといけない。色々巡ることになるな。
「この後はどうするの? 寝直すの? 」
「いや、買い出しだな。朝の主婦に紛れて食パンと……あぁ、朝一で食パンが焼きあがっているかどうか怪しいな。少し時間を置いてから行くべきか。うーん、昼からでいいか。午前中はどうするか。完全に暇だからニュースでも見るか」
「何もない休みってのもたまにはいいわね。普段から仕事ばかりしてるんだから、休みを満喫して完全にフリーになるのも仕事の内と考えたほうがいいわ」
「そうだなあ……なんか面白いニュースとか出来事やってないかな」
チャンネルを適当にザッピングする。流石にこの時間で特報が入ってきたりとかそういうのはなかった。ダンジョンでも出来てくれれば話題には事欠かないだろうが、今ダンジョンでイベント中なこともあるし、これの反響を踏まえてのダンジョンの宝箱の中身を吟味する話になるだろうからしばらくはないだろうな。
「ふむ、世の中は平和、そして新しいダンジョンの話もまだ出てこない、と」
「もう誰がどこにダンジョン立てるか決めたんでしょう? 後はタイミングの問題だと思うけど」
タイミングか。一番いいタイミングって何だろうな。やはり俺が【鑑定】を受け取ってダンジョン庁の誰かに託した後、ということになるんだろうか。そうなると、ダンジョンが実際に立ち始めて五つともすべてが建ち並ぶ前に俺にワンアクションあるはずだ。もしくは、俺にワンアクションあってからのダンジョン誕生ということになる。
「結局【鑑定】所持者をもう一人増やすかどうかがネックになってくると思うんだよね。それさえクリアできればダンジョンはいろんなドロップ品を産出することができるようになる」
「たしかに、魔結晶やポーションだけじゃ飽きるものね。モンスタードロップ品については賛否はあれどどちらかと言えば好意的に受け入れられているようだし」
スマホでスレッドを見ながら結衣さんが説明してくれている。ふむ、宝箱からモンスタードロップ品は出てもまあいい、みたいな感じにはなっているのか。違和感を覚えてモンスター倒してないのにモンスタードロップがでるのはどうよ? という意見もあるようだが、今のところ試運転ということもあってか、以後はどうするべきかを悩むところではあるんだろうな。
「ともかく、この試験で反応を見てそれからだな。しばらくは……イベントが終わるまでは待ちの姿勢かな。その結果をミルコやセノたちと共有して、実際どうするかはその後だろう。その間に皆にはダンジョンを出来るだけ深く作ってもらうという役目があるし、それまでは頑張ってもらう所かな。その後は……俺の考えることではないな。俺が手を出すのはそこまで。それ以上は俺の手を離れて各々のギルドで管理運営してもらう。そういう流れでお願いしようかなと思ってる」
食後のコーヒーを飲みながらダンジョン話を続ける。結衣さんはインスタントはあまり好みではないだろうが家ではインスタントが基本なんだ、すまない。
「じゃあ、【鑑定】スキルを持ってるダンジョン庁の人が新しく鑑定部みたいなポストに座らされるわけね。迂闊に仕事を辞めることもできなくて大変そう」
たしかにそうだな。覚えるだけ覚えて下野されたりすると大変な損失になる。それなりの対応や契約、もしくは高額の違反金契約を結んだうえでの話になりそうではある。ダンジョン庁の中の人も大変そうだ。
「ともかく……しばらく暇だ。イチャイチャしよう」
「さっきシャワー浴びたばかりだから問題ないわよ」
よし、食後の運動だ。いっちょがんばるか。
◇◆◇◆◇◆◇
ほどほどに頑張った後、二人でダンジョン物資の買い出しに来た。どうせ保管庫に仕舞ってしまうので車の容積を考えなくて済むのは良いことだ。二人一緒の車で出かけて、いつものショッピングモールに来た。まずは忘れないうちに百円ショップへ寄ってクロスワードや数独の参考書を数冊買いあさる。
「ボケ防止? 」
「それもあるがエレベーターの暇つぶし用だな。集中してると中々に良い感じに時間を忘れさせてくれる」
「一人だと話し相手も居ないし、暇だからってダンジョンマスター呼びつけるわけにもいかないわよね」
「そういうこと。おかげで色々と知識が身に付く」
百円ショップで小物を数点見回った後、パン屋へ。いつもの食パン四本、そのうち一本をサンドイッチ用に十二枚切り、残りを六枚切りにしてもらうとついでに菓子や総菜パンを購入。お昼か小腹が空いた時用にしよう。
後はいつものキャベツとお高い卵、それから野菜類とミルコ用のおやつを買い込む。買い込むおやつの種類と量を見て結衣さんが少し驚く。
「そんなにおやついるの? 」
「ミルコにちょこちょこと渡してるからな。機会があれば色々買い込むことにしてる」
「袖の下の金額も中々のものになってそうだけど大丈夫なの……って、安村さんにお金の心配する必要はないわね」
「一円単位で金額を考えろと佐藤税理士には言われてるんだけどね。面倒くさいときは全部私費で支払っちゃってるところはあるかな」
結衣さんも自分の買い物……多分次回探索用の食料だろうが、それらを買い込んでそれぞれカートを引き、それ以外の食品や小物、衛生用品なんかも買い足していく。特にビニール袋は切らさないようにしないとな。ビニール袋は色んなところで活躍する。
ダンジョン内で出したブツを一旦隔離するためにも必要だ。最近は袋に入れてまとめて汚いものとして生活魔法で浄化してしまっているが、それはそれとして一旦隔離する為には袋が必要だ。大きさもそれなりで出来れば半透明な物、ということでかなり余分に購入することにした。
お互い買い物を終えたところで帰宅。保管庫から買ったものを順番に出して、結衣さんの車と家の中とそれぞれに分けて積み込んでいく。
「お昼どうする? 一応食パン以外のパンも買ったけどそれ以外考えてなかった」
「そうね……お昼食べてから帰ろうかしら。何か適当に食材を見繕って私が作るわね」
「じゃあたまには甘えようかな。何が出て来るかは楽しみに待ってることにするよ」
冷蔵庫と保管庫の食材を全放出してだいたいなんでも作れるぞアピールをしておいた。結衣さんはキノコ類の多さと保管庫に入れてある食料について何か言いたそうだったが、諦めて食材を手にして調理を開始している。横から口出ししたり調理の邪魔するのも悪いのでリビングでニュースを見ていることに。
しばらくするといい匂いがしてきて、お腹がぐうっと鳴る。何が出てくるんだろう。香りからして和風の、醤油や酒の香りがしてくるが品物までは解らない。とりあえず邪魔だけはしないようにしておこう。何が出て来るかは楽しみにして、そして味でちゃんと嬉しさを表現できるように笑顔の練習でもしておくか。
「できたわよ」
「はーい」
出来上がった先には肉じゃががあった。肉じゃがか、そういえば最近食べてなかったな。そして男が作ってもらって喜ぶ料理の中でも高い順位を維持している一品でもある。たまには俺も肉じゃがを作って芽生さんに味付けを評価してもらわねば料理の腕も落ちるというもの。肉じゃが以外にはサラダとゆで卵があった。エッグカッターで切ってあるので食べやすい大きさにされている。丸のままかじりつく必要はない。
「肉じゃが久しぶりだなあ」
「味のほうの評価、よろしくお願いね。好みの味付けかどうかわからないから」
「作ってもらったものに文句をつけるのは塩を入れ過ぎた時ぐらいにしてるから大丈夫……と」
早速一口目を頂く。じゃがはちゃんと中まで柔らかくなっているし、少し粉が吹く程度にまで茹でられている。みりんの量はちょうどよい感じ。醤油の香りもしてちゃんと甘く煮つけられている。人参も食べる。硬さはない。こちらもしっかりと煮崩れしない程度に柔らかく、人参には甘みがあっておいしい。肉、さっき買った豚バラなので新鮮さもそうだがちゃんと汁に浸っていて味もしっかりついている。玉ねぎ。ちゃんと火が通っててヨシ。
「美味しい」
「良かった。頑張った甲斐はあったわ」
結衣さんがガッツポーズで喜ぶ。ちゃんとご飯も炊いてくれてあったので肉じゃがだけ出てきたらどうしようかとも思ったりはしない、結衣さんはちゃんとその辺もぬかりない。
サラダにごまだれをかけて味わう。茹で卵は固ゆでにならない程度に完熟。サラダはこれもさっき買ってきた奴だな。葉野菜だけだが、ゆで卵と葉野菜と人参と玉ねぎと、それなりに色々食材は使っているのでヨシ。また一ポイント加点だ。
「あえて一つだけ言うことがあるとすれば……もっと一杯食べたかったな。夜も余りもので更に煮詰まった肉じゃがが食べられる、ぐらいの量があっても良かった。それ以外に言うことはないよ」
「それはちょっと残念ね。でもお昼としては満点をもらえたってことでいいのかしら? 」
「もちろん。食事として文句をつける所はない。これが結衣さんの味付けなんだなというのがよく解った」
昼、ということで作ってもらったわけだが、夜も食べたかった。夜は自分で作ろうかな。味比べをしてどっちのほうが美味しいと感じたか自分の腕試しをするにもちょうどよかったかもしれない。
片付けを手伝ってウォッシュで一通り綺麗にすると、ベッドではなくリビングで何となく抱きしめ合いながらテレビのチャンネルを変えていたが、特にこれと言って身に付くような内容の番組はやっていない。せめて今日の料理みたいな番組がやっていればよかったんだがそれも今の時間帯にはない。
「さて、そろそろ帰ろうかしらね。明日の準備もあるし」
「もうちょっと長く居たい、と思えるのをあえて断ち切るのが長続きしてまた会いたくなるポイントらしい……と何かで読んだな」
「じゃあ、ここで帰るのが丁度良さそうね」
軽くキスをしてガレージまでお見送り。帰っていくのを見守ると、家の中に入ってさて、自分の仕事をするか。今から布団の山本に行っても納品するダーククロウはないし、完全にフリーだ。小西スレでも覗いて宝箱の進捗でも確認しに行くかな。
◇◆◇◆◇◆◇
どうやら、スキルオーブの宝箱ドロップがあったらしい。スキルオーブは宝箱から出した瞬間からカウントダウンが始まり、無事に競売にかけられることになったらしい。惜しいのは、出たスキルが【火魔法】だというところか。もしも【隠蔽】だったら結衣さん達にもチャンスはあったかもしれないのに残念だ。
しかし、スキルオーブのドロップがあると聞いたら更に小西ダンジョンは満員になっていくんじゃないだろうか。それだけが心配だな。昨日と今日と一昨日と……今日でイベントは何日目だったかな。それだけの間にスキルオーブが一個でも、夢があるなら掴みに行くのが探索者というもの。
それがスキルオーブの発生法則から離れた独立した事象である以上、宝箱をなるべく多く開けてどんどんドロップする可能性を集束させていくのも大事だという意見もある。このイベントが一区切りついたら、ミルコに各感想を全部印刷して持って行って、長く話し合う時間が必要だな。
セノたちも呼んでみんなで固唾を飲んで見守りながら探索者側からの反応を待っているところだろうし、俺にはそれをみんなに伝える義務がある。今日のところはネットニュースを見ながらスレを追っていってゆっくり休みを満喫するとしよう。夕飯は総菜パンでおしまいだな。
とりあえずイベントが終わるまではゆっくりしよう。今回のイベントに俺の出番はない。頑張れ俺以外の探索者。もっと有用なデータを集めて以後のダンジョン活動に活かしていくのだ。
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